【今から知っておきたい!墓じまいのこと】時代とともに考え方にも変化が生じ、お墓をもたないという選択肢も!?

実家じまいと並んで関心が高まっているのが墓じまい。とはいえ、具体的な墓じまいの仕方や費用、墓じまい後のお骨をどうするかなど、疑問が多数。専門家の解説を参考に、しっかり学びたい。墓じまい代行・終活サービス業の小西正道さんに教えてもらった。
墓じまい

少子高齢化と意識の変化が墓じまいを加速させている

エクラでも数年前からたびたび企画し、反響を呼んでいる「墓じまい」。

「当社でも依頼が急増していて、5年前と比べると3倍もの墓じまいをお手伝いさせていただきました」と、墓じまいや散骨事業に長年携わっている小西正道さん。背景にあるのが少子高齢化。「墓守が高齢になり管理ができない」「ひとりっ子同士の結婚で嫁(または婿)側の墓守をする人がいない」「子供がいないのでお墓の継承者がいない」といった事態が生じているためだ。

「お墓の場所が不便という理由も目立ちます。具体的には、『遠方で、お参りしづらい』『先祖のお墓が故郷にあるものの、自分たちはすでに別の地域に住んでいて、今後も故郷に戻る予定がない』といったところです」

また、お墓が自宅に近くても、敷地が広く、アップダウンが激しい墓地や、駅から遠い墓地は、高齢者にとってお参りしづらい場所。それも、墓じまいのきっかけになっているよう。

「昔ながらの家墓に疑問を抱くかたもいらっしゃいますし、家族に負担をかけるような墓を残すことを心苦しいと感じる人も増えている気がします。そうした意識の変化が、墓じまいを加速させているのではないでしょうか」

もっとも親世代の中には、「先祖代々のお墓を閉じるなんて」と眉をひそめる人もいそう……。

「親族が多数住んでいるエリアや風習を重んじる地域などでは、そうした声も耳にします。また、周囲から『バチが当たる』というような言葉をかけられることがあるかもしれません。でも、自信をもっていえますが、バチなんて当たりません。私は何百件も墓じまいしてきましたが、今も元気にピンピンしていますからね(笑)」

お墓を閉じたあと、使い勝手のいい納骨堂や永代供養墓などに改葬するパターンもあれば、お墓自体をもたないという選択もある。墓じまいとともに“その先”も合わせて考えたい。

改葬件数の推移 (全国指定都市・中核市)
※厚生労働省「衛生行政報告例」をもとに作成(無縁墳墓等の改葬を除く)

どれかひとつでも当てはまったら考え時 こんな人は今のうちから考えて

□居住地から遠い場所にお墓がある
遠距離や最寄り駅から車で数十分など立地が不便なお墓は、高齢になるとお参りに行くのもひと苦労に。“放置状態”になる前に対応したい。

□墓守をしなければいけないお墓が複数ある
父方の墓、母方の墓、後継ぎがいない親類の墓など、複数の墓守をひとりで担うのは大変。体力・気力があるうちに整理するのがおすすめ。

□将来お墓を継承する人がいない
自分が最後の墓守という状況ならば、遅かれ早かれ墓じまいすることに。自分はどうされたいかも考え、今のうちから対策を練って。

□子供に墓守をさせたくない
子供はいるけれど墓守はさせたくないと考えているなら、自分の代で整理するのがベター。ただし、子供が成人しているなら相談を。

□お墓をもつ意義を感じていない
すでに墓守をしているものの、昔ながらのお墓に疑問を感じていたり、お墓に意義を感じていないなら、今すぐ墓じまいを検討しても。

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

こにし まさみち●石材店での墓地営業を経て独立。散骨、墓じまい、終活サービスを提供する「縁」代表取締役。著書に『墓じまい! 親族ともめない、お寺に搾取されない、穏やかで新しい供養のカタチ』がある。
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