50代こそ「メモ活」がおすすめ!書くことで“もの忘れ”の改善にも効果大

「名前が思い出せない」「大事なことをやり忘れる」、アラフィーになると多くの人が経験する“もの忘れ”。この症状の改善には『メモ活』が有効で、バラバラな考えをまとめるのにも役立つという。そのメカニズムと実践法を調査!

記憶力にまつわる“あるある”エピソード

感動した本や映画のタイトルが出てこない

感動した本や映画のタイトルが出てこない

場面は浮かぶし、のど元までタイトルが出かかってるのに…(涙)。もやもやする症状をメモ活で解消!

どこにメモしたかわからない

どこにメモしたかわからない

約6割の人が「どこにメモしたかわからなくて困る」という統計も。複数のノートを使っている人は要注意

やり忘れることがしょっちゅうある

やり忘れることがしょっちゅうある

案件をいくつも抱えて脳のキャパを超えると、こんな悲劇が起こりやすい。メモ活で頭の中を整理しよう

なぜ書きとめたのか、思い出せないメモがある

なぜ書きとめたのか、思い出せないメモがある

まるで暗号のように解読不能なメモ。何が重要なのかを意識しながらメモすることで、暗号系メモの多発は防げるはず!?

50代にとって、なぜ「メモ活」が必要なの?

オリジナルのメモ活用術を考案し、「書き続ければ人生が変わる」と、メモ活の効力を解説する精神科医の樺沢紫苑先生。エクラ世代は、もの忘れの防止策としてだけでなく、自分を見つめ直し、自分の世界を広げるためのアイテムとしてもメモを活用してほしいと語る。

教えてくれたのは

精神科医 樺沢紫苑先生

精神科医 樺沢紫苑先生

かばさわ しおん●米国留学を経て樺沢心理学研究所を設立。SNSなどを通じて精神医学や心理学の知識を伝える。『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎、¥1,760)など著書42冊。

大事な気づきは、すぐにメモして記憶に定着させる

年々増えてくるもの忘れ。「年をとれば記憶力が落ちるのはしかたない」とあきらめていないだろうか。「加齢によって記憶力が衰えることはありません」と語るのは、精神科医の樺沢紫苑先生。「実は低下するのは記憶力ではなく、脳にストックされた情報を“引き出す力”なんです。大事なのは記憶を定着させることではなく、引き出す力をどう高めるか。そこで実践してほしいのがメモ活です」

例えば、読書や映画鑑賞の最中に心にグッとくる場面や名言と出会ったら、できるだけ早く題名やその言葉(場面)、感じたことなどをメモしておく。

「その瞬間は『すばらしい物語だ』と思っても、人間の記憶は長続きしないもの。感動はしたけど、どんな内容だったのか思い出せないということがしばしば起こります。一方で記憶というのは、なんらかの手がかりがあると引き出しやすくなるので、記憶のカギ、つまりメモを見返すことで作品の記憶が蘇ってくるんです。日常生活でもメモ活は有効です。仕事や家事の最中に何かを発見する、ふといいアイデアが浮かぶ、ということがありますよね。こうした一瞬のひらめきはあっという間に消えてしまうので、やはりメモにしておくことが必要なんです」

メモアプリもいいが、手を動かすと脳が活性化されるので、おすすめは紙のメモ。また、見返しやすいようにメモはなるべくひとつにまとめて、と樺沢さん。「さらに大事なのは、せっかくのメモを単なる記録にしないために、『気づき』と『TO DO』を書き加えることです。気づきとは、例えば『自分も主人公のような広い視野をもちたい』など、考えたり感じたりしたこと。TO DOは、気づきを現実にするために自分は何をすべきなのか、例えば関連分野の本を10冊読むなど、具体的な行動目標です。残念ながら人の脳は、メモに書いたことも時間とともに忘れがち。せっかくの気づきや行動目標を忘れてしまわないようにメモをときどき見返しましょう。メモに書いた情報は料理でいえば素材で、それを集めて調理することで意味が生まれます。書きためたメモを活用して、ぜひ自分の世界を広げることに役立ててください」

アラフィー世代のメモ活5カ条

❶ノートでもアプリでもOK
❷メモはなるべくひとつに集約する
❸できるだけすぐ書く
感想や考え、TO DOも書く
❺何度も見返す

50代こそ「メモ活」がおすすめ!書くことで“もの忘れ”の改善にも効果大_1_6

メモ活をすると、こんなにいいことが!

目標をメモにして何度も見返すと実現しやすくなる
メモからアイデアや気づきが生まれ、それを行動目標にして実行することがメモ活の最終ゴール。人の脳は大事な目標さえ忘れやすいので、何度もメモを見返してやる気を高めよう!

脳のメモリをすっきりさせて集中力を高める
一時的に情報を保存&処理する脳のメモリは意外に少ない。あれもこれもやらなきゃという雑念が出ないように懸案事項をメモしておくと、メモリがすっきりして目前のことに集中できる。

メモ活を続けると自己分析力が高まる
メモ活初心者は書く内容や書き方にこだわらず、とにかく書いてみる。すると、情報のストックを通じて自分の「好き」や「こだわり」についての新たな気づきがあり、アイデアがわいてくる。

メモする=アウトプットすることで情報が脳に定着する
情報をアウトプットすることで、記憶が定着するといわれている。メモをとるのはアウトプットのひとつ。さらにメモしたことをSNSに投稿したり、誰かに話したりすると記憶が強固になる。

聞き逃しやうっかりやり忘れがなくなる
人の話を漫然と聞いていると役に立つメモはとれない。何をメモすべきか考えながら話を聞くから『聞く力』が高まるし、大事な言葉を逃さずメモするので、うっかりやり忘れることがなくなる。

編集者・ライターの一田憲子さんに聞く『メモ活』

書くという仕事柄メモは以前から身近な存在だったが、50代になってあえて始めた『メモ活』が日常生活を大きく変えた、と語る編集者・ライターの一田憲子さん。メモの活用が彼女の人生にもたらしたものとは……?

編集者・ライター 一田憲子さん

編集者・ライター 一田憲子さん

いちだ のりこ●’64年生まれ。編集者・ライター。OLを経て女性誌、単行本の企画・編集・執筆を手がける。『明るい方へ舵を切る練習』(大和書房、¥1,650)ほか著書多数。
「外の音、内の香」https://ichidanoriko.com/も要チェック

メモを見返すと、新たな気づきや工夫が生まれる

編集者、エッセイストとして活躍する一田憲子さん。年齢を重ね、心や生活の変化に合わせて「日常生活の中でやめること」を増やしてきた一田さんが、50代になってあえて始めたことのひとつが「メモをとること」だという。

「すごくいい本を読んで感動したのに漠然とした内容しか思い出せないとか、50代になると記憶からぼろぼろと抜け落ちることが増えてきますよね。日々の生活で気づいたことや感動したこと、そこから生まれる考えや思いを残しておきたい。それがメモ活を始めた理由です」

どこそこのお弁当がおいしいなど、情報系のメモはスマートフォンのメモアプリに記録。心に残った言葉や考えたことなど、思考系のメモはノートに手書きしている。

「以前は無印良品の小さなノートを使っていましたが、整理収納アドバイザーのEmiさんが主宰する『マイノートのつくり方』セミナーを受けてから、B5サイズに変えました。マイノートの特徴は心に残った言葉やできごとなどをメモして、その下に自分の考えや感想を書き込むこと。小さいサイズは、書きたいことがいっぱいあるとどんどんページを使うし、気になった文章を丸ごと印刷してはるときに、ページが大きいほうが便利なので。あと、私の字が大きいというのもありますが(笑)」

記録として残すだけでなく、メモには自分を客観視する作用もあるという。

「それがいいことでも悪いことでも、自分の心がなぜ動いたかを考えて、ひと言ふた言でいいから書き出してみます。うれしい、悲しいという気持ちを掘り下げてみると、心のありさまに気づき、今の自分が求めているものが見えてくるかもしれません。また、今日あったできごとから気になったものをピックアップして、その瞬間、自分が何を感じたかを書くのもおすすめです。例えば、誰かの言葉にムカッときたら、その理由を考えてみる。『相手が悪いと思ったけど、自分の行動にも問題があった』など、書くことで冷静になり、心が整って、日々を生きるのがもっとラクになりますから」

メモを書いたことで満足してしまう人が少なくないが、何回か見返してみることが大事だと一田さんはいう。

「自分のメモを見返すと、『そういえば今日やった仕事と、3日前に経験したあのことがリンクしている』ということが少なからずあるんです。年齢を重ねると、新しい!と感じる出会いが減ってきますが、それなら、今ある自分の経験や思考を掘り下げて、AのアイデアとBの出会いを結びつけて何かを生み出すようにしたらどうだろう?と考えるようになりました。メモを書くことが、一見、関連性がないように見える物事や人を結びつけるブリッジになってくれるので」

なかには、何を書けばいいのかわからない、という人もいるが、「すごいことを書かなきゃと思わず、日常のごく身近なことから書きはじめてみては」と一田さん。さっそく今日からメモ活に取り組んで!

心が動いた瞬間をメモにすると、自分の心のありさまが見えてきます

書くメモは3種類。

書くメモは3種類。すぐやることはメモ紙(写真右上)に書いて目につく場所に置く。右下は、よく作る料理の材料&調味料を書いたレシピメモ。左は、日々の経験や考えをメモする思考系のノート

ここ数年で書きためたメモ活ノート。

ここ数年で書きためたメモ活ノート。一日の終わりに浴室に持ち込んで読み返し、6色ボールペンでメモに対する分析や新しいアイデアなどを書き込むのが日課になっている

一田憲子さんの「メモ活、5つの工夫」を拝見

メモ活の極意は、書いたメモを何度も見返して考えを掘り下げ、心と頭を整理すること。それにはシンプルで続けやすく、読み返しやすいメモづくりが欠かせない! 思考錯誤のうえに完成した一田さんのノートを参考に、あなたも自分らしいメモ活ノートづくりに取り組んで。

メモ活、5つの工夫

①なるべく濃いペンで書く

文字が薄いと、見返すときに読みにくい。ひと目で書いたことがわかるように濃い色のペンで書くのがコツ。一田さんは1.2㎜の極太ペンを使って、さらに読みやすくしている。

②気になった言葉などを書く

わくわくからモヤモヤまで心が動いたら、その瞬間に出会った人、もの、言葉などをメモする。その積み重ねから、今まで意識したことがない「自分らしさ」が見えてくるかも!?

③線を引き、その下に自分の考えを書く

メモ活の肝がこれ。なぜうれしかったのか、イラッときたのかなど心の動きを自己分析することで、現在の心のありさまや、自分が求めるもの、足りないものなどが見えてくる。

④数日後に見返して、気づいたことを追加

2~3日時間をおき、さらに冷静な心と頭で見返す。「3日前のアイデアにあれを足そう」など、新たな発想が浮かぶことも。書き加える部分だけペンの色を変えるのもおすすめ。

⑤長い文章のものは、そのままノートにはる

新聞の記事やネットのコラムなど、長い文章を書き写すのは時間がかかって大変。そのまま切り抜いたりプリントアウトしたりして、ノートにはって保存しておく。

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