【50代 仏壇のお悩みQ&A】「先祖の位牌が多い」「インテリアになじませたい」仏壇のお困りごと&悩みごとに専門家がアンサー!

仏壇に関する読者アンケートで、特に多かった疑問や悩みをピックアップ。専門家のアドバイスを参考に、自分に合った解決策を導き出して。
教えてくれたのは…
シニア生活文化研究所所長 小谷(こたに)みどりさん

シニア生活文化研究所所長 小谷(こたに)みどりさん

’69年、大阪府生まれ。奈良女子大学大学院修了。第一生命経済研究所主席研究員を経て’19年より現職。死生学、生活設計論、葬送関連を専門に、幅広く活躍。著書に『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓 』(岩波新書)など。

Q.今のインテリアになじむ仏壇には、どんなものがありますか?

A.扉を閉めれば仏壇に見えないものや省スペース型までさまざまあります

昔は、黒檀(こくたん)や紫檀(たん)など高価な唐木(からき)を用いたり、全体に黒の漆塗りを施して内部に金箔を貼ったりといった仏壇が主流だったが、今は、住宅事情に合わせ、棚の上に置けるようなコンパクトタイプや観音扉を閉めてしまうと仏壇には見えないもの、上部と左右がオープンになったステージ型など、多種多様に。材質も、天然木だけでなく合板やアルミニウム、プラスチックまで用いられるようになり、価格も1万円以下から数百万円までと、幅が広がっている。

「最近は、仏壇専門店だけでなく、大手インテリアメーカーや通販サイトなどが仏壇を製造・販売するようになりました。また、仏壇は置かず、故人の写真を飾って手を合わせたり、遺骨の一部を専用ケースなどに入れて自宅に置いてしのぶ“手元供養”というスタイルも増えています」(小谷さん、以下同)。

小型仏壇

小型仏壇

近年人気なのは、タンスや棚の上にも置けるような、高さ・幅・奥行きをいずれも抑えたコンパクトな仏壇。

ステージ型仏壇

ステージ型仏壇

扉がなく、上部と左右が開かれたタイプは、掃除がしやすいと好評。

写真立てのみ

写真立てのみ

位牌を作らず、仏壇を持たないという選択をする人も増えている。その場合、故人の写真や所縁の品を置き、“供養の場” にするのも一案。

Q.両家の仏壇をひとつにまとめることは可能ですか?

A.優先すべきは、「自分がどの宗派を信仰するか」です

「浄土宗や浄土真宗は阿弥陀如来、真言宗は大日如来といった具合に、同じ仏教でも宗派によってご本尊は違います。ですので、両家が信仰する宗派が異なれば、仏壇に安置しているご本尊が異なる場合もあるでしょう。もっとも前述したとおり、日本では信教の自由が憲法で認められているので、両家の宗派を必ずしも継承する必要はありません。自分が信仰する宗派があるのなら、その宗派に合わせた仏壇にしてもいいですし、信仰していないのなら、仏壇を持たないという選択肢もあるでしょう」

Q.位牌を手放す際、魂抜きをすべき?

A.必須ではありません。自分が納得するかたちを選択しましょう

「位牌を作る際も手放す際も、僧侶がお経をあげ、魂を入れたり抜いたりしなければならないと説く寺院もありますが、仏教本来の教義にのっとれば、死者の魂は現世に存在しません。とはいえ、お経をあげてもらったほうが安心するのなら、お願いするのがいいと思います。ご本尊も同様です」。
その際、お布施が必要になるが、寺院の方針や寺院と依頼主との関係によって異なり、1万~10万円など幅がある。「必ず行ってほしいのは、家族や親族に事前に相談し、了解を得ること。勝手に処分してしまうと、トラブルになりかねません」。

Q.仏壇の“お引っ越し”は自分たちでしてもいい?

A.仏壇のサイズによっては業者に依頼するほうが安心です

仏壇を実家から自宅へ移動する場合、もとの家でまず僧侶に閉眼供養や魂抜きをしてもらい、新たな家で再度開眼供養や魂入れをする必要がある、という説もあるけれど、「魂の概念がない浄土真宗は不要ですし、ほかの宗派の場合も、私自身は不要だと考えています。ただし、繰り返しになりますが、自分が納得いくかたちで行うのが一番だと思います」。運搬は、コンパクトなものなら自分たちでもOK。大型のものであれば仏具専門店や引っ越し業者に依頼するのが安心。

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