日ごろの“モヤモヤ”から解放される!?50代「やめてよかったこと」まとめ
日ごろのモヤモヤやストレスを生んでいるのは、もしかしたら、抱え込んだものや固まった価値観があなたを縛っているせいかも!? あたりまえだと思っていたことをやめ、人生が前向きになった50代のエピソードを大公開。医師と禅僧による“やめる”効果とアドバイスも!
やめて心が軽くなった人、こんなにいます!
《やめたこと①》会社勤め
決意したのはコロナ禍で会社の業績が悪化し、早期退職者を募ったタイミング。やめてからはとにかくストレスが減り、生活に余裕が生まれて気力もわいていいことずくめ。新しく自宅で英語教室を始め、ご近所付き合いも増えて充実した毎日を送っています。「どうしよう」と悩みはじめたら、やめ時が近づいているサインかもしれません。人生をプラスに向かわせる転換期です!(53歳・自営業)
《やめたこと②》完璧な家事
部屋をきれいに保ち、ていねいに料理を作ることが主婦の務め。そう思ってずっとがんばってきましたが、更年期の不調で思うように動けなくなり、落ち込んで鬱症状に……。そんなとき婦人科の先生の「完璧を目ざさないで」という言葉をきっかけに、しんどいときは家事をサボるようにしたんです。自分を甘やかしていくうちに、気持ちが前向きになっていきました。長年の習慣をやめるのは勇気がいりますが、ストレスの軽減や運気の好転、自分らしさの発見にもつながったと感じています。(56歳・講師)
《やめたこと③》友だちとのランチ会
何年か続いていた友だち数人で集まる月1回のランチ会を卒業しました。最初は楽しいおしゃべりの時間だったのですが、だんだん人様のことをネタにするネガティブな話題が多くなり、ムダな時間を過ごしている気がして……。友人たちと付き合いがなくなってしまうのは寂しいし、嫌われたくない気持ちもありました。でもスッパリ手放すと、人に合わせる憂鬱さから解放されて、気持ちにも時間にも余裕が生まれました。(56歳・自営業)
《やめたこと④》テレビのつけっぱなし
朝起きてから夜寝るまで、テレビをつけっぱなしで生活していました。でもある日、情報と音にさらされ続けて疲れている自分に気づいたんです。テレビをやめたら、家の中にいても鳥の鳴き声や風の音などが自然と耳に入ってきて、静かで穏やかな時間が流れるようになりました。不思議とネガティブ思考も消え、明るい気持ちに。(58歳・パーソナルスタイリスト)
《やめたこと⑤》来客用の食器
カップ&ソーサーやケーキ皿など、来客用の食器を使う機会がなく、しまいこんでいました。せっかく好きでそろえたお気に入りを眠らせておくのはもったいない! こちらをふだん使いにして、もともと使っていた食器を処分。来客の際も同じ器でおもてなしするつもりです。食器を整理したことで、サボりぎみだった家全体の片づけがはかどるように。(54歳・主婦)
《やめたこと⑥》実家通い
「両親のケアは娘として当然の義務」と言い聞かせ、なんとか時間をつくって実家通いを続けていた私。でも、自分が体調をくずしたことを機に、夫との暮らしを中心にしていこうと考え直しました。「いい娘でいたい」という気持ちに縛られていたんだと思います。我慢や無理はいい結果を生まないことに気づきました。(55歳・講師)
《やめたこと⑦》空き家の維持
空き家の実家がいつも気がかりでした。管理や維持に費用がかかるうえ、ちょくちょく様子を見にいくのもしんどくなってきたため、思いきって売却。納得のいく価格ではなかったものの、肩の荷が下りてスッキリしました。体力や気力のあるうちに片づけを進め、身軽になりたい。いろいろ母に丸投げされて大変だったぶん、子供に迷惑をかけてはいけないと肝に銘じています。(58歳・講師)
《やめたこと⑧》社交辞令
以前はどんな人にも別れ際に「また会いましょう」といっていたけれど、社交辞令はお互いに「どうせ口だけ」と察して寂しくなるもの。今は本気で会いたいと思う人にだけいうようにしています。年齢を重ねるにつれ、性格や価値観が違う人と一緒にいるだけでストレスを感じるようになりました。プライベートでは、会ったあとに「楽しかった!」と思える人とだけ付き合っていけたらいいなと。(54歳・会社員)
《やめたこと⑨》ジェルネイル
昔弾いていたピアノをまた始めるために、ジェルネイルをやめました。サロンに通う時間とお金をほかのことにあてることができますし、自分の爪をきれいに保つためにハンドクリームをこまめに塗る習慣がついて、ジェルネイルをしていたころより爪が元気になった気がします。なにより、ピアノの楽しさを再発見できたのがうれしい。楽譜を追って指を動かすことで脳が活性化され、老化防止にも役立っていると思います。(52歳・インテリアデザイナー)
《やめたこと⑩》衝動買い
服や食器などを「かわいい!」「素敵!」と衝動だけで買うことをやめました。ファッションならエクラを参考にして理想のコーディネートを考えながらじっくり選び、食品や日用品も安さに飛びつくことはやめ、必要な物だけを購入しています。なるべく環境に負荷をかけたくないのもあり、ミニマムに暮らす思考に変わりました。(48歳・キャリアカウンセラー)
《やめたこと⑪》水回りや窓の大掃除
台所やお風呂、トイレなどの水回り、ベランダや窓の掃除は、ちゃんとやろうとしたら手間も時間もかかって大変……。自分でがんばるのをやめ、年に2回外注しています。毎度「この値段でこんなにきれいになるなんて!」と感動する仕上がりで、家がリセットされたように気持ちがいい。生活しながら日々目に入る場所なので満足度が持続します。ムダ遣いで物を増やすのとは対極の、いいお金の使い方ができていると自己肯定感も上がります。(49歳・講師)
《やめたこと⑫》義母との付き合い
長年、義母に対してあれもこれもやってあげるスタンスできましたが、介護の時期に入り「すべてを請け負わない」と決心して線を引きました。ヘルパーさんなど専門職のかたと役割分担を意識的に行い、できることとできないことを明確にして義母に伝えるようにした結果、無理なお願いはこなくなりました。自分の生活リズムがくずれることなく、義母の手伝いも気持ちよくできるようになって、かかわり方を見直してよかったです。(56歳・主婦)
私はこれをやめました!
モデル 松本孝美さん
モデル 松本孝美さん
まつもと たかみ●’65年、大阪府生まれ。数々のCMや雑誌で活躍。『週刊文春WOMAN』で「『大人の女史会』にようこそ。」を連載中。おしゃれなライフスタイルも人気。
「物の処分も、お総菜活用も、脱白髪染めも、身軽に年を重ねていくための私の方法」
50代を迎えてから、物をためない意識が年々高まっているという松本孝美さん。
「夫とふたり暮らしで子供がいないので、残した物がどうなるか気がかりで。ためこんだ物や着ない洋服を整理しはじめ、昔の手紙や写真も徐々に処分しています。中身を見ると進まないから『見ないで捨てる』が鉄則(笑)。プライベートではなるべく自分の写真を撮らず、増やさないようにもしています」
物選びにも変化があった。
「処分が大変そうなものはもう買いませんね。以前はよくしていたお取り寄せも控えています。更年期で握力が落ちてばね指にもなり、段ボールを解体して捨てるのさえひと苦労なんです」
料理は手をかけることにこだわらず、買ったお総菜や調理ずみの食材を活用している。
「レバニラなら、焼き鳥屋さんで焼いてあるレバーを買ってきてニラと炒めます。下味がついているから味つけが簡単で、時短になるうえおいしい。これで十分じゃない?と(笑)。ごはんは無洗米です。少しの労力でも省略できると、気持ちも作業もずいぶんラクになりますから」
55歳のとき、白髪染めをやめたのも大きかったという。白髪以外の地毛を細かくブリーチしてから色をのせる方法に切り替え、2~3週間に一度のリタッチから解放された。
「この施術だと白髪が伸びても目立たない! 白髪が増えるほど透明感が増して違うニュアンスの髪色になるのも気に入っています。今まで選ばなかった色の服やメガネがしっくりくるようになり、ファッションの幅も広がりました」
今の自分にとっての“最適”を選び、心と体の負担を減らしながら楽しく年を重ねていく。松本さんが目ざす理想だ。
「やめたり捨てたりの後悔は、あっても一瞬。それに、手放すと新しい素敵なものが入ってくるといいますよね。その心持ちで何にもとらわれず、いつも身軽でいたいですね」
作家 川内有緒さん
作家 川内有緒さん
かわうち ありお●’72年、東京都生まれ。アートや伝統芸能、国際協力など多岐にわたるテーマでノンフィクションを中心に執筆。最新刊は『自由の丘に、小屋をつくる』(新潮社)。
「1カ月、仕事を休んで、自分に時間を使う喜びと余裕をもつ大切さが身にしみました」
取材や著書のイベントで毎月あちこちを飛びまわり、ここ2年は特に多忙だったという川内有緒さん。いわく「忙しいのは性に合っていた」が、今春、突然“燃え尽き症候群”に陥った。「急に疲れが出たのか、仕事への意欲も気力も完全に失ってしまって。ちょうど出張の波が落ち着いたときだったので、1カ月仕事を休むことにしたんです」
同じ時期、それまでずっと一緒の部屋で寝ていた9歳の娘さんがひとり部屋を欲しがり、それぞれの空間をもつことに。
「一緒に寝るのがあたりまえだったので寂しい気もしましたが、やってみたらとても快適で。自分の部屋って、こんなに落ち着くのか、と(笑)。ずっと積読(つんどく)していた本を次々に読破して、いい時間を過ごしました」
さらにそのあと、「娘が生まれてから初」という5日間のひとり旅を満喫。子育てと仕事優先で走ってきた川内さんは、思いがけず自分だけの空間と時間を手にして、仕事のやり方を改めた。「フリーランスである不安もあり、すき間を埋めるように仕事をしてきたけれど、詰め込むのはやめました。時間と心に余裕が生まれて、執筆にじっくり集中して取り組めるようになったのが収穫です。今、毎日が充実して気力も充満しています」
娘さんと部屋を分けるとき、「もういいかな」と思う家具や家電はことごとく処分したそう。
愛着のあるものも、潔く。
「いい機会だから思いきって捨てちゃえ!と。おかげで家がすごくスッキリしました」
川内さんが物事にあまり固執しないのは経歴からもわかる。20代から30代にかけて、アメリカの企業、日本の大手シンクタンク、フランスの国連本部で働き、そしてあっさりキャリアを手放してきた。
「岐路に立ったとき、その先に幸せをイメージできる道を選んできた気がします。多少大変だったとしてもワクワクする明るい道のほうが、より自分らしくいられるのかなと思っています」
脳と心の専門家が徹底解説!“やめること”の効果はこんなにあった
やめてよかった声は多々あれど、「実際、脳や心にいい影響はあるの?」「やめられないときはどうしたら?」についてレクチャー。
脳神経内科医 山下あきこ先生に聞く、脳への働きとは?
脳神経内科医 山下あきこ先生
やました あきこ●’74年、佐賀県生まれ。医学博士、マインドフルヘルス代表。栄養、運動、睡眠、脱依存などを軸にした健康法を提唱。診療のかたわら、産業医活動やYouTube動画配信も行う。最新刊は『マインドフルネスこそ最強のクスリ』(スール)。
自分と向き合って不要なものを手放すと、心身が健やかに
ストレスになる人間関係や仕事を見直す。「完璧であらねば」というこだわりや、あたりまえを手放す。こうした“やめる”を実践する効果は「思いのほか大きい」と、脳神経内科医の山下あきこ先生は話す。
「心に負担がかかった状態は、交感神経を刺激してストレスホルモンのコルチゾールを分泌します。これが長期間続くと、自律神経のバランスが乱れて不調の原因に。我慢やモヤモヤを手放せば、コルチゾールの過剰分泌が解消され、体調は改善へ向かいます」
片づけにも同様の効果が。思考の8割は視覚から誘発されるため、不要な物がないスッキリした空間で過ごすと雑念が減って脳疲労も抑えられ、心身が安定するという。「ただでさえ50代は女性ホルモンの減少で自律神経が乱れがちなうえ、仕事や家事、介護などあれこれ抱えて無理をしている人が多い現状も。やめる、捨てるを実践する価値は十分にあると思います」
やめたいのにやめられない。捨てたいのに捨てられない──。この問題は、実は脳と関連している。
「前頭葉の機能が低下した人は、執着や思い込みを手放せない傾向があります。前頭葉は加齢やデジタルツールの使いすぎで衰えるため、定期的なデジタルデトックスや脳の血流アップを促す適度な運動を心がけてください。また、瞑想は前頭葉の活性化を促すほか、幸せホルモンを増やす働きがあります。瞑想は言い換えれば、心と向き合うこと。本当に必要なものは何か、折に触れて問いかけていくことで執着を手放しやすくなり、幸福度が上がっていくでしょう」
疲れにくくなる、自己肯定感が上がるなど“やめる”効果はほかにも。心と体を整える健康法のひとつとして、トライしてみては。
“やめること”が脳にもたらす効果
1.疲れにくくなる
「人は一日に約6万回思考し、その9割が不安や心配事をリピートしているとされます。気がかりやストレスフルな人間関係を手放せばネガティブな考え事の回数が激減。脳の疲労が緩和されて疲れにくさにつながります」
2.集中力が上がる
「集中力を保つには、交感神経と副交感神経が適度に働くことが大切です。心に負担を強いる物事をやめることで緊張状態から解放されて自律神経のバランスが整い、集中力を持続させることができます」
3.自己肯定感が上がる
「不要な物や習慣、執着を手放せた達成感が自信につながり、自己肯定感がアップ。達成感は、喜びや快楽をもたらす脳内物質のドーパミンを分泌させ、もっと改善しようという意欲も高めて好循環をもたらします」
4.幸福度が上がる
「長年の習慣や思い込み、物を手放す決断の過程には、必ず自分と向き合う時間があります。本当に必要なものを選べるようになることで幸福度も上がります。無意識に抱え込んでいる物がないか、自分に問いかけてみて」
禅僧 大愚和尚に聞く、心の解放とは?
禅僧 大愚和尚
大愚元勝(たいぐ げんしょう)●’72年、愛知県生まれ。540年の歴史をもつ禅寺、福厳寺住職。YouTubeのお悩み相談チャンネル『大愚和尚の一問一答』や習慣を変えたい人に道場を開放する「テンプルステイ」などの取り組みも。
「仏教では、悩みや執着の背景には無知があると考えます。自分の心や体について、そして世の中の真理について知っているようで知らない。あるいは、現実のありようから目を背けている。そんな無知の状態が悩みをつくり出すのです。例えば、50代にもなれば、顔にシワが刻まれ、体のあちこちが痛み、記憶もあやふやになるでしょう。52歳の私がまさにそうですが、私はそれを自然なことと受け入れています。認めずに抗(あらが)おうとするから、心が揺れる。もともと自分自身もこの世も、執着に値するものではないのです。真理に目を向けることが知恵となり、豊かに生きることにつながっていきます。執着から離れられないとしたら、“それがないと幸せではない”と思い込んでいるからです。お金、地位、仕事、若さ、ママ友……。“執着の風船”をいくつも持って懸命に握り、そのせいで苦悩から逃れられずにいる。手を放すことができるのは自分しかいません。自分の意思で風船を空に放ったとき、喪失感や悲しみより心の解放のほうが遥かに大きいと気づくはずです。執着を手放せば自由になります。実は『自由』とは仏教の言葉。『自』は自分、『由』はよりどころという意味があり、自分自身を頼りに生きなさいというブッダの教えです。自分以外の何かに寄りかかる生き方は、本当の意味での自信が育たず、苦しみを生むだけ。依存していたものを手放すことができれば、自分の核が定まって自分の足で立てるようになる。それが、真に自由になるということなのです。思考のクセ、生活態度、言葉、人間関係などは、これまでの習慣の積み重ねでつくられたもの。心と体にしみつき、ふだんどおりの生活をしながら手放すのは容易ではありません。強制的にリセットできるような引っ越しや転職ができれば一番ですが、模様替えをする、早寝早起きをする、悪影響を及ぼすものから距離をおくなど、小さな改革でも世界の見え方が変わり、気づきがあるでしょう。習慣は人格となり、人格は運命をつくります。悪しき習慣を断ち切り、よき習慣に変えていくことは私たちにとって〝修行〟なのです。インドには『四住期(しじゅうき)』という理想の生涯があります。学問を学ぶ『学生期(がくしょうき)』、家庭をもち、財をなす『家住期(かじゅうき)』、家も財も子に譲って修行に入る『林住期(りんじゅうき)』、托鉢で生涯を終える『遊行期(ゆぎょうき)』ですが、50代はちょうど林住期に入るころ。あらゆるプレッシャーから解放され、今後の生き方を静かに見つめ直す時期です。そんなことも頭の片隅におくと、心穏やかに過ごせるのではないでしょうか」
和尚の言葉
その一、執着するのは“無知”だから。世の中の真理を知れば悩まない
その二、真の“自由”とは、自分を頼りに生きること
その三、“習慣は人格をつくり、運命をつくる。悪しき習慣を捨て、よき習慣を身につけるのが“修行”
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