【今からできる相続対策】税金が抑えられる暦年贈与とは?非課税になる贈与方法を公開

相続専門の公認会計士・税理士の石倉英樹さんが、「いざ相続!」となったときに、トラブルが起きないためのポイントを伝授。今からできる暦年贈与や一括贈与など、非課税になる贈与方法について聞いた。

教えてくれたのは…

相続専門の公認会計士・税理士 石倉英樹さん

相続専門の公認会計士・税理士 石倉英樹さん

いしくら ひでき●相続について楽しく学べる相続落語やYouTube『落語税理士の終活チャンネル』など幅広く活動。著書『知識ゼロでもわかるように相続についてざっくり教えてください。』(総合法令出版)も好評。

〈対策1〉相続税が発生しそうなら、年110万円まで非課税な暦年贈与を検討

「多額の財産があり、相続税が心配という場合に効果的なのが、『暦年贈与』。1人当たりの受け取り額が年間110万円以下なら贈与税はかからないという制度を利用した生前贈与のひとつで、長期間、複数人に行えれば、かなりの節税効果が期待できます。しかも、贈与の相手に制限はないので、孫や子供の配偶者といった、本来であれば相続権のない人に、財産を譲ることもできます」

暦年贈与の成立は、あげる側ともらう側の双方に、「贈与した・された」という認識がマスト。なので、そのつど、契約書を作成し、銀行振込など贈与の履歴を残すことが重要。

「ただし、贈り主が亡くなる3年(将来的には7年)以内に行った贈与は相続税の対象になってしまうので、活用するのなら“早めに”が安心です」

〈対策2〉家の購入や教育資金としての一括贈与で税金を抑える

「暦年贈与」に加え、相続税対策として検討したいのが、「一括贈与」。親や祖父母、養父母といった直系親族から、教育資金や住宅の購入資金、結婚や子育てにまつわる資金を、一度にまとめてもらった場合の非課税制度を利用するというもので、10年ほど前に創設された特例措置。当初は、住宅取得資金は2021年まで、教育資金と結婚・子育て資金は2023年までの措置だったが、いずれも延長された。

「教育資金1500万円のうち500万円までなら習い事でも適用され、結婚・子育て資金は、保育料や分娩(ぶんべん)費用、不妊治療費も対象となります」

家の購入や教育資金としての一括贈与で税金を抑える

贈与税の非課税制度

①教育資金の贈与の特例(’26年3月31日まで)
親や祖父母から、30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は最高1500万円。

②住宅取得等資金の贈与の特例(’26年12月31日まで)
親や祖父母から、18歳以上の子や孫へ「住宅購入等資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は、条件により500万円または1000万円。

③結婚・子育て資金の贈与の特例(’25年3月31日まで)
親や祖父母から、18歳以上50歳未満の子や孫へ「結婚・子育て資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は1000万円。

〈対策3〉1人500万円まで非課税な生命保険を活用する

生命保険の活用も、節税対策として有効。「加入者が亡くなり、相続人が死亡保険金を受け取る場合、それは相続税の対象になります。ただし、死亡保険金は、500万円×法定相続人の数までは非課税。法定相続人が子供2人なら1000万円まで税金がかからないので、節税効果が見込めます。ちなみに、この1000万円を、預金というかたちで持っていたとしたら、相続税の対象になります」

死亡保険金は、受取人が指定できるうえに、基本的には遺産分割の対象外。特定の相続人に多めに相続させたい場合にも、活用できる。

〈対策4〉相続に強い税理士や弁護士の見当をつけておく

トラブル解決や複雑な手続きなど、なにかと頼りになるのが税理士や弁護士といった専門家。もっとも、専門家が全員、相続に詳しいわけではない。依頼するなら、法改正など新しい情報にも精通した相続専門の人がベター。「知り合いのツテを頼って探すのが一番ですが、むずかしければ、ネットなどで『相続専門』のキーワードを入れて検索してはいかがでしょう。候補を2、3見つけ、実際に話を聞くなどして、比較検討することをおすすめします」

相続に強い税理士や弁護士の見当をつけておく
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