36歳、突然の乳がん宣告——あの夜の“妙な予感”【乳がん回想録】

36歳の冬、胸に違和感が——。まさか自分が?不安と動揺のなか、乳がんと向き合った日々を振り返る

ある夜、眠ろうとしたときに・・・

2012年2月上旬。誕生日を迎え、36歳になった。
転職して2年。キャリアカウンセラーとしての仕事を始めたばかり。未婚。

ある夜、布団に入ってまどろんでいると、胸の上あたりに痒みを覚えた。
「こんな冬に虫刺され?」 不思議に思い、手を伸ばす。
「どこだろう?」 そう言いながら掻いていたとき——。

妙なしこりを見つけた。

直感というのか、第六感というのか。
嫌な予感がして飛び起きる。

「これって、もしかして⁉」

心臓がバクバクする。ネットで調べようとするも、指が震えてうまく動かない。

「まさか、そんなことないよね。まだ36歳だし」
そう自分に言い聞かせるが、眠れなかった。

すぐに近くの病院へ

翌日、不安が拭えず、有給を申請。
その翌日、つまり、しこりに気づいてから2日後、病院へ向かう。

早く診てもらいたかったはずなのに、気持ちは追い付かずぐだぐだしてしまい、病院に着いたのは昼近く。
いよいよ、検査。

マンモグラフィー、エコー、先生の触診、診察——。

先生は何も言わない。
「大丈夫ですよ」とか、「気にしすぎですよ」とか、そういう言葉は一切なくて。

代わりに、こう告げられた。

「次回、検査結果をお伝えします。ご家族と一緒に来てください」

……それって、ヤバい話なんじゃないの?

その1週間、結局、家族には何も話せなかった。
フラワーリース(乳がん回想録)

ひとりで病院へ

結局、ひとりで病院へ行った。

診察室に入ると、先生が驚いた顔をする。
「え、ひとりで来ちゃったの? 看護師さん、誰か隣にいてあげて!」

……もう、それって、悪い結果を告げられるってことじゃない?

先生の言葉が耳に入る。でも、なんだか遠くで響いているみたいだった。
「陽性です」
「細胞のタイプは、悪性度が高いものです」

頭が真っ白になる。
何をどう返事したのか、正確には覚えていない。

先生が続ける。
「セカンドオピニオンを考えてもいいけど……手術はいっぱい埋まってるから、とりあえず手術の日を決めちゃいましょう!」

流されるように、最短の日程を押さえる。
1か月半後。

それまでの時間を、どう過ごせばいいのかも分からなかった。

*****

しこりを見つけてから、たった2日で病院に行く人は、実は珍しいらしい。
数日、あるいは数週間、数か月悩んでから受診する人も多いのだとか。

「まさか自分が」と思いたくなる気持ち、すごくよくわかる。
でも、もし少しでも気になることがあったら——。

どうか、早めに受診してほしい。

早期発見が大切、なんて偉そうに言うつもりはない。
ただ私は、あのときの“妙な予感”を無視しなかったことに、今は感謝している。
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キャリゆか

キャリゆか

埼玉県在住。キャリアカウンセラー。キャンサーサバイバー。「ムリはしないけど、やるときゃやる!」がモットーです。休日は、東京や埼玉の裏道・坂道をお散歩。お出かけ情報を中心にお伝えします。

Instagram:yukaabe_

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