【腕時計が紡ぐ物語】故キャロリン・べセット=ケネディも愛用者「カルティエ」のタンク

名作時計には、忘れえぬ記憶が秘められている。舞台は’90年代のニューヨーク。カルティエの「タンク」ウォッチと、故キャロリン・べセット=ケネディの間には、永遠に語り継がれる物語があった。

カルティエのタンク アメリカン

カルティエの時計を語るときに欠かせないのが、長方形のフォルムが美しい名品、「タンク」ウォッチ。1917年の誕生以来、多くのバリエーションを生み出してきたことでも知られる。2枚目の写真の「タンク アメリカン」は、’89年に発表された。縦長で弧を描くケースは、「タンク」ウォッチの系譜に連なる「タンク サントレ」に想を得たといわれている。

「タンク」ウォッチの愛用者は、タンキストと呼ばれている。’90年代のアメリカに、忘れられない女性タンキストがいた。ミニマルなファッションをまとったスタイルアイコンであり、JFKジュニアのパートナーとして知られた、キャロリン・べセット=ケネディがその人だ。彼女は、「レス イズ モア(少ないことは豊かなこと)」なファッションを体現した。好きな色は、ベーシックな黒・白・ネイビー・ベージュ。アクセサリーを極力抑えて、腕に「タンク」ウォッチだけの潔い着こなしが多かった。いっさいのムダを省いた時計の、洗練を極めたたたずまいが、キャロリンのシックでエフォートレスな雰囲気と絶妙にマッチする。丸い時計の常識を打破して独自のスタイルを貫く「タンク」ウォッチと、ブランドネームにとらわれず、自身の感覚に合うものだけを選びぬく彼女。この組み合わせは、タイムレスなファッションの象徴となった。

不幸にも’99年、小型飛行機の事故により、ケネディ夫妻は帰らぬ人となった。だが’90年代のニューヨークの街角で、日々キャロリンとともにあり、彼女を輝かせていた「タンク」ウォッチの記憶は、いつまでも色あせることがない。

【腕時計が紡ぐ物語】故キャロリン・べセット=ケネディも愛用者「カルティエ」のタンク_1_1
photo/Getty Images

お気に入りのTシャツとデニムに、スタイリッシュなコートをさりげなくはおった、キャロリンのスナップ。カジュアル&シックな装いに、袖口からのぞく「タンク」 ウォッチが華を添える。大きめのケースは、愛用の「タンク ルイ カルティエ」だろうか、それとも「タンク アメリカン」?(編集部調べ)

端正な直線と魅惑的な曲線の融合から生まれたモデルは、時を超えてしなやかに腕に添う

端正な直線と魅惑的な曲線の融合から生まれたモデルは、時を超えてしなやかに腕に添う

「タンク アメリカン」は、ルイ・カルティエを長男とする創業家の孫3兄弟の次男ピエールがニューヨークにブティックをオープンしてから80年目に発表され、名称の由来は、原型の「タンク サントレ」がアメリカで人気だったことから。モダンに再解釈した新モデルに、アメリカンと名づけたともいわれている。写真はこのコレクションを象徴する、ゆるやかなカーブを描くレクタンギュラー型のケースがきわだつミニモデル。人間工学に基づいて製作されたブレスレットは、リンクに光を反射するファセットが施され、文字盤を彩るサンレイエフェクトとともに、プレシャスな印象を強調する。
「タンク アメリカン」ミニモデル(28×15.2㎜/K18YG、ブルーサファイア、クォーツ、12月発売予定)¥3,471,600(予定価格)/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)

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