今読みたい、森瑤子 vol.1

38歳、自伝的小説「情事」で、すばる文学賞を受賞した森瑤子。彼女が亡くなった歳を越えた今、読んでみました。
数年前に何気なく、
「森瑤子の本って今読めるかな」
デビューは38歳、胃癌のため52歳で早逝した作家です。

大学生の頃に読んだのは、エッセイ2冊。
内容はほとんど覚えていないうえ、
受賞作に始まるオトナの小説には触れないままでした。

古い本は当然絶版も多い。
チラと思ったのを忘れた頃に
島崎今日子著「森瑤子の帽子」という本を知りました。
森瑤子の帽子
東京芸大でバイオリンを学び、
広告会社でコピーライターも務めた才媛。
一度は専業主婦になったけれど、
自分を表現したい欲望を抑えられず、
夏の別荘にこもって、一気に書き上げます。
夫との不仲や3人の娘の子育ての悩み。
円満な家庭生活は築けない中、
ゴージャスな服に身を包み、
華やかな社交の場に身を置いて書きまくる。
そして得た富を夫の事業や娯楽に注ぎ込んでいきます。

…と、そこまでは知られている話。
でもその家族や近しい人たちへのインタビューを読むと、
違う素顔もあったようです。
彼女が稼いだお金を湯水のように使ってしまう夫アイヴァンは
悪妻ならぬ悪夫?のイメージでしたが、
バッグパッカーのような感じで日本に来た彼は、
実は質素な暮らしでも構わない人だったよう。
離婚の危機もありながら、最期まで夫婦でいたのは、
やはりお互い、なくてはならない存在だったから。

妻亡き後に、次女がいわゆる暴露本を出版するのですが、
父親であるアイヴァンが
「夫婦のことは夫婦にしかわからない!
勝手に書くな!」と激怒したとか。
実母からの愛情が希薄だったため、娘達の愛し方がわからないのだと、
カウンセリングも受けたという彼女。

けれど娘達が語る章では、それぞれが母への想いで満ちていて、
わかりやすい形ではなかったけれど、
愛する気持ちはやっぱり我が子に伝わっていたはず。

また「チャーミングな人だった」と
取材を受けた大半の人が答えていました。

世話焼きで人を気遣い、楽しませる。
物語に出てくるセリフのような言葉で喜ばせる。
惹きつける人、だったみたいです。

運よく復刊されて読んだ2冊については次のブログで。
森瑤子の帽子 情事 指輪
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yako

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大阪府在住。夫と娘の3人家族。おしゃれ、台所仕事、本 etc好きなものを自分の言葉で綴ります。

Instagram:yako_sugar

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