原題と全く異なる⁉ 邦題のセンスが光るチョン・ヘイン出演『となりのMr.パーフェクト』【韓国ドラマ 心に刺さる、あのセリフ vol.1】

人気韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライターが独自の視点からお届けします。
原題と全く異なる⁉ 邦題のセンスが光るチョン・ヘイン出演『となりのMr.パーフェクト』【韓国ドラマ 心に刺さる、あのセリフ vol.1】_1_1
Netflixシリーズ「となりのMr.パーフェクト」独占配信中
私たちの日常をときめきや感動で彩ってくれる韓国ドラマ。昨今の韓国ブームによって「表情管理」「花道だけ歩こう」のように、韓国由来の表現が日本でも少しずつ浸透してきて、注釈なしでも伝わる言葉が増えています。外国語に触れる楽しさや、知識・視点が増える喜びを感じられるのも海外エンタメの魅力のひとつですよね。

この連載では、韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライターが独自の視点からお届けします。

『となりのMr.パーフェクト』

早速、連載の第一回目にピックアップするのは、“国民的年下彼氏”とも称されるチョン・ヘインの主演ドラマ『となりのMr.パーフェクト』(2024)。家が隣同士の幼なじみの男女が、大人になって再会することから始まるラブコメディです。

あらすじ

アメリカのグローバル企業で働き、婚約者との結婚を控え、順風満帆な人生を送っていたはずのペ・ソンニュ(チョン・ソミン)が突如アメリカから帰国。一方、幼なじみのチェ・スンヒョ(チョン・ヘイン)は、建築アトリエ「イン」の代表を務め、韓国建築界で最も期待される若手建築家として活躍していました。実家が隣同士で、お互いの黒歴史を知り尽くしているソンニュとスンヒョ。ソンニュの帰国を機にスンヒョも実家に戻り、再び隣同士として過ごすうちに2人の関係に変化が起きていきます。

このフレーズに注目!

「엄마친구아들(オンマ チング アドゥル)」 お母さんの友達の息子

韓国ドラマ となりのMr.パーフェクト チョン・ヘイン チョン・ソミン
Netflixシリーズ「となりのMr.パーフェクト」独占配信中
容姿、性格、経歴まで完璧なスンヒョは、まさに“Mr.パーフェクト”。学生時代は水泳の韓国代表選手に選ばれたことがあるという、六角形のグラフで表したらすべての項目が均等にハイスコアをマークするようなキャラクターです。

韓国では、スンヒョのように優秀で品行方正な好青年のことを「お母さんの友達の息子」と呼びます。韓国語で表記すると「엄마친구아들(オンマ チング アドゥル)」。「あの子のようにあなたも頑張りなさい」と、母親(オンマ)が友達(チング)の子どもを引き合いに出して我が子の尻を叩くことから生まれた表現です。
韓国ドラマ となりのMr.パーフェクト チョン・ヘイン
Netflixシリーズ「となりのMr.パーフェクト」独占配信中
そう、本作の原題は『엄마친구아들(お母さんの友達の息子)』。原題と邦題にギャップがあるため、邦題が公開された頃はSNSでさまざまな意見を見かけましたが、個人的には原題を日本風にうまくアレンジしたと感じました。

もし、邦題が直訳の「お母さんの友達の息子」だったら、幼なじみであることを想像できたとしても、スンヒョがどういう人物なのか、ソンニュとの距離感もわからない。だけど、「となりのMr.パーフェクト」ならば、お隣さんであり、エリートそうだということも想像しやすい。我々が慣れ親しんだ少女漫画などで描かれる幼なじみって、暗黙の了解と言わんばかりに家が隣同士ですし。原題を直訳して副題で補足するタイプの邦題よりもコンパクトで明解な印象を受けました。

『となりのMr.パーフェクト』見どころ解説

一方で、本作は幼なじみのラブロマンスと同時に家族の物語も描かれます。いつしかよそよそしくなってしまった夫婦と、物わかり良すぎる息子に育ったスンヒョ。子どもにエリート街道を歩ませたい見栄っ張りな母親と、その期待に応え続けるうちにパンクしてしまったソンニュ。幼なじみである2人のロマンスにはもちろん家族もがっつり関係してくるわけで……。原題は、家族の葛藤や絆を描くヒューマンドラマの要素が加わっていくほどに、その意味合いが強くなっていくんですよね。さすがです。
韓国ドラマ となりのMr.パーフェクト チョン・ヘイン チョン・ソミン
Netflixシリーズ「となりのMr.パーフェクト」独占配信中
タイトルを解説する関係でスンヒョの紹介が多くなりましたが、アメリカの大学に留学、現地の大企業でゼネラルマネージャーを務めていたソンニュも「お母さんの自慢の息子」ならぬ「お母さんの自慢の娘」なのです。(韓国語で「엄마친구딸(オンマ チング タル)」)

そんなソンニュに学生の頃から片思いしていたスンヒョ。思い出とともに胸の奥底に閉まっていた恋心が、ソンニュの帰国をきっかけに再び動き出します。回想シーンでは高校制服姿も披露しており、片思いするスンヒョの甘く切ない表情は胸キュン必至。本作でラブコメに初挑戦したチョン・ヘインのコメディ演技も見どころです。
轟 友貴

轟 友貴

K-POPアイドル、俳優にインタビューを行うフリーランスライター。学生時代からライターとして活動、韓国在住経験もあり。TOPIK6級取得。
Follow Us

What's New

Feature
Ranking
Follow Us