では、定年前とあととでは、住まい選びはどう変わるのだろう。「定年前は通勤と子育て優先の家だったと思いますが、定年後は、“今後どう暮らしたいか”がカギに」と、住生活コンサルタントの大久保さん。
「これまでの暮らしを棚卸しすると、『畑仕事をしたいから田舎に』『文化に触れたいから都心に』など、具体的な場所がイメージできます。もしかしたら、お互いの希望が異なるかもしれません。だからこそ、今から話し合い、5~10年かけて、夫婦ですり合わせをするのが大切です」
さらに、場所選びは、家事、人付き合い、運動のしやすさも重視して。「これらは、ずっと元気に、楽しく暮らすために欠かせない習慣。リサイクルが盛んな場所なら、物をため込まずに済み、家が片づきますし、地域活動が充実していれば、頼りになる“ご近所さん”ができます。遊歩道が近くにあれば、散歩する気に。そんなふうに、町を住みこなしてほしいですね」(大久保さん)