そう指摘するのは、シニアのマネーライフに精通する井戸さん。
「80歳で貯蓄はマイナスに転じてしまいます。そうならないためにも、定年まで猶予があるエクラ世代のうちに、対策をとっておきましょう」
まずすべきは、定年後に「入るお金」と「出るお金」の把握。左ページの表を参考に、自分たちの場合を試算し、収支を予測してみること。「赤字になりそうなら、『入るお金』を増やすか、『出るお金』を減らすしかありません。とはいえ、生活に必要なお金を、さらに削るのは至難の業。楽しいことに使うお金はコントロールしやすいけれど、節約しすぎるのもさびしいですよね。ということは、『入るお金』を増やすのが一番。人生100年時代ですから、65歳で定年するとしても残り30年以上あるのです。元気に、いきいき過ごすためにも、再雇用に応じたり、再就職するのがおすすめ」
ここで大きなカギを握るのが妻。特に、妻が現在働いていないなら「入るお金」の大幅アップが可能に。
「人出不足が続いている今、エクラ世代が再就職するチャンスは増えていますし、ネットを利用して起業やおこづかい稼ぎをするのも手。たとえ少額でも、長期間働けばそれなりの額になりますし、年金受給までの補填にもなります。すでに働いている人は、夫と同じく働く期間を延ばすように。また、配偶者控除の適用限度額内で働いている人は、自分で社会保険料を負担するくらいまで働くことを考えましょう。将来受け取れる年金額が増えるという点でも、お得。ちなみに、公的年金の受給開始は原則65歳ですが、上限の70歳まで遅らせれば、月額が約4割アップします。70歳まで働けば、老後のお金にかなり余裕が生まれますよ」