痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」

インプラントで最も気になる、痛みや費用、メンテナンス。治療を始まる前に知っておきたい疑問点に専門家がお答えします。
痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」_1_1

Q.インプラントをしないほうがいい人・できない人はいますか?

A.自分で毎日きちんとブラッシングができない人にはインプラントは不向き

「自分で毎日適切にブラッシングができない人は、インプラントの歯周病“インプラント周囲炎”になるリスクが高いので、インプラントをしないほうがいいといえます。また、糖尿病で血糖値を薬などでコントロールできていない人や、心筋梗塞で発作を起こして間もない人、血圧が高い人などはインプラントができません」

Q.保険はききますか?

保険はきかず自費診療。ただし、安さで選ぶとトラブルのもとにも

「保険はきかず自費診療です。費用はクリニックによっても、使うインプラントのメーカーによっても違います。検査やメンテナンスなどにも費用がかかるので入れ歯などより高額です。ただ、安さでクリニックを選ぶと、使うインプラントの質が悪かったりする場合もあるので注意。インプラントは自己管理とメンテナンスしだいで生涯使えるので、そう考えると高くはないと思います」
痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」_1_2

Q.歯が抜けたままにしておくリスクは?

A.歯並びや噛み合わせが悪くなり、あごの骨がやせやすくなります

「歯が抜けたままにしておくと空いたスペースを補おうと両隣の歯が近づくように動いていくため、歯並びや噛み合わせが悪くなります。するとブラッシングしにくい部位ができて歯垢(プラーク)がたまり、虫歯や歯周病になりやすくもなります。また、歯が抜けたままだと噛む刺激があごの骨に伝わりにくいため、あごの骨や歯茎がやせていくというリスクも」

Q.インプラント手術は痛みがありますか?麻酔はどんな方法?

A.局所麻酔をするので痛みはなし。静脈内鎮静法なら恐怖も感じず楽

「インプラント手術は、局所麻酔をして行うので基本的に手術中に痛みを感じることはありません。また、麻酔医がいるクリニックでは、麻酔薬を点滴で注入する静脈内鎮静法を用いる場合があります。この方法なら、うとうとと眠っているような状態の間に手術が終わってしまうので、恐怖感や不安感を覚えることも少ないでしょう」
痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」_1_3

Q.インプラント手術の所要時間はどれくらい?日帰りでOK?

A.1本30分程度なので、入院は不要で日帰りできます

「手術の所要時間は1本30分程度です。また、ガイドシステムを使って手術をする場合は、CTのデータをもとにインプラントを正しい位置や角度、深さに埋め込むためのサージカルガイドという器具を事前に作り、それを装着して行うのでさらに短時間で正確に安全な手術が行えます。ですから入院は不要で日帰りででき、その日から普通に食事もとれます」

Q.手術後に腫れや痛みはありますか?

A.痛みや腫れが生じる場合もあるが静脈内鎮静法なら軽減することが可能

「あごの骨を削る手術なので抜歯をしたときのような痛みや腫れが生じる場合が。ただ、痛みは処方の鎮痛剤を飲めば治りますし、腫れも数日でひきます。ただし喫煙をすると血流が悪くなり腫れや痛みが長びくので喫煙は控えましょう。静脈内鎮静法で手術をする場合は、炎症を抑える薬や鎮痛剤を点滴から入れることができるので痛みや腫れを軽減することができます」
痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」_1_4

Q.金属アレルギーがあってもインプラントはできますか?

A.チタンは金属アレルギーを起こしにくいので、ほとんどの人が可能

「インプラントには主にチタンが使われていますが、チタンは金属アレルギーをほぼ起こさない素材です。ですから金属アレルギーがある人でもインプラントはできます。ただ、まれにチタンにもアレルギーを起こす人がいて、そういう人にはジルコニアを使いますが、それにもアレルギーがある場合は、インプラントをするのはむずかしいといえます」

Q.インプラントはどれくらいもちますか?

A.正しくメンテナンスをすれば生涯もちます

「インプラントはメンテナンスさえしっかりすれば、生涯もちます。ただし、メンテナンスを怠ると細菌に感染してインプラント周囲炎になり、それを放置するとインプラントの周囲の骨がなくなって、埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまいます。そうなると再び取りつけるのがむずかしく治療も困難になります。ですからインプラントがどれくらいもつかは、自己管理とメンテナンスをきちんとするかどうかによって大きく変わるので、その人しだいといえます」

Q.インプラントはトラブルも多いと聞きますが、どのようなものが多い?

A.手術の失敗、インプラント周囲炎が最も多いトラブルです

「インプラントのトラブルで多いのは、手術の失敗や、インプラントをしたけれどインプラント周囲炎になってしまったというケース。手術の失敗を避けるには医者選びの段階でしっかりリサーチして、よい医者を選ぶことです。ただ、近年はガイドシステムの採用で手術の安全性が格段に上がりました。インプラント周囲炎については自分でしっかりメンテナンスをすることで避けられます」
痛みや費用、メンテナンスは?「気になるインプラントのQ&A」_1_5

Q.アフターケアは一生続くというのは本当?

A.細菌感染を防ぐために、アフターケアは一生必要です

「インプラントは細菌に感染しやすいので、自分で毎日正しくブラッシングをし、クリニックでも定期的にクリーニングをするというアフターケアは一生続ける必要があります。大変に思うかもしれませんが、それさえできれば本当の自分の歯のように噛める状態が維持できますし、インプラント以外の歯を健康に保つことにもつながります。また、高齢になって通院がむずかしくなったときのことを不安に思うかもしれませんが、最近は介護の現場でも歯科衛生士がいることも少なくないので安心してください」

Q.なるべく歯を失わないためにふだんからどういうケアをすればいい?

A.正しいブラッシングを身につけ、歯科検診を受けて病気は早めに治療を

「歯を失わないためには、毎日正しくブラッシングをして、自分で落としきれない汚れはクリニックで定期的にクリーニングを受けて取り除きましょう。毎日のブラッシングでは歯ブラシだけでなくフロスを使うことも必須。そもそもブラッシング方法が間違っている人も多いので一度クリニックで教わるといいですね。また、歯周病は気づかないうちにすすむので、歯科ドックなどの検診を積極的に受けて口腔内の状態を調べ、病気があったら早めに治療を」
お話をうかがったのは……
東京国際クリニック 歯科 院長 清水智幸先生
歯学博士。スウェーデン王立イエテボリ大学と奥羽大学で歯周病学の第一人者に師事。世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。専門は歯周病学、インプラント治療など。

What's New

Feature
Ranking
Follow Us