亜希さん50歳のインタビュー「完璧に見せるよりも大切なこと」とは?

「先日、50歳の誕生日を迎えました。数字としては区切りのよい年齢なのに、特別な節目という感じがしないんです」と話す亜希さん。50歳を迎えた彼女に、今の心境や50歳になって見えてきたことを伺いました。

完璧に見せるよりも大切なこと。

「先日、50歳の誕生日を迎えました。数字としては区切りのよい年齢なのに、特別な節目という感じがしないんです」という亜希さん。
このごろ、気になることはスルーせず、根気強く考えてみることがおもしろくなってきたのだそう。
「前より理屈っぽくて、きっと面倒になったと思うけど、そんな自分も好きなんです」
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本当の私は強くない。今までは強いと信じていた

“今”をていねいに生きることが先の幸せにつながる気がします
30歳、40歳の誕生日のほうが、年齢を節目としてとらえていた気がします。「5年後はこうなりたい」「10年後までにこれをやりたい」と次の節目までにかなえたい目標を設定して、それががんばる原動力にもなっていたと思います。 

50歳の今は、目標が遠くにはないんです。「今、これをする」とか「今日はこう過ごしたい」と、その時々、目の前のことがテーマになっている。 

このところの自然や社会の変化に、私たちの誰もが、いつどこで何があるかわからない状況で生きているんだ、と感じるようになったからかもしれません。 

それに、その時々の“今”が積み重なって5年後、10年後の自分になるのだから、今をていねいに生きることが、結局、先々の幸せにつながるのだろうな、と思うようになってきました。 

年齢を重ねると小さなことが気にならなくなるという人のほうがたぶん多いと思いますが、私の場合は逆。若いころのほうが大雑把で、このごろになってひとつひとつを見逃せず、ちょっと面倒くさい人になってきています(笑)。でも、このタイミングで面倒くさい人になっている自分がいやではなくて、むしろ、気づきや発見があっておもしろいのです。 

例えば、自分自身について。「亜希さんは強い」とよく人からいわれ、自分でもそう思っていたけど、本当はそんなに強くないから強いと思われたかったのかもと最近、ふと気がつきました。
大変な状況のときほど、人から弱っていると思われたくなくて強がっていた。

「いつも元気で、仕事をして、お弁当も作って、子供の野球の応援にも行って、亜希さん、すごくない?」といわれると、やっぱりうれしくて。“ひとりで全部やってる自分”にプライドみたいなものもあって。そのときは、そんな気合があったから、なんとかやってこれたとも思うんです。

でも、今は自分の弱さも認めています。体調をくずすこともあれば、自信がもてなくなることもあります。ひとりでできないときは誰かに頼ったり、甘えたりしてもいいよね、と思えるようになったのは、自分の中の変化です。


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インスタの投稿ボタンが押せなくなった時期がありました。これって意味はあるの?と

若さにしがみつかない潔さのある先輩たちがお手本です
今までだったら気にしなかったことを立ち止まって考えてしまうこともあります。インスタにお弁当の画像を投稿することが多いのですが、あるとき、ハッと疑問がわいてきたんです。「今日はアップしなくていい」と自分が判断したのは、映りのよさそうな弁当ではないから? きれいなものだけをアップする自分ってどうなの? そう思うと、インスタの投稿ボタンを押せなくなって、1カ月ぐらい間が空きました。 

SNSで自分はどういう発信をしていきたいのか。そもそも、私が発信することに意味があるのか。などと、簡単には答えの出ないようなことをぐるぐると考えました。われながら、理屈っぽい思考回路でけっこう疲れるんです。でも、習慣としてやってきたことを何も考えずに続けるのではなく、気になったことがあれば考え直してみることが今の私にとっては必要なことに思えます。 

ぐるぐる考えて見えてきたのは、お弁当の写真にかぎらず、自分でいやになるようなかっこつけた表現はしたくないということ。「こういうふうに見せなきゃ」というイメージに自分自身がとらわれて自分を偽るような発信はしたくないということ。 

これから体力は落ちていくし、見た目の老化も避けられないけれど、「それも含めて、今の私です」っていう表現をしていけたらいいなと思います。 

幸い、お手本にしたい50代、60代がまわりにいてくださいます。その人たちは体のケアもするし、おしゃれも楽しむ一方、若さにしがみつかない潔さがある。若く見せることよりも大事なことが自分の芯にちゃんと養われているんですね。自分の人生を歩んでいるという堂々としたかっこよさがある。 

そんな人たちを知ると、年をとることは寂しいことばかりではなくて、プラスの面もあるのだなと思います。 

もちろん、若い人はパワフルだし、肌のハリは違うし、うらやましいなと思うことはいっぱいある。自分の若いころの写真でさえも、今見ると、本当にかわいいと思える。加齢に伴うマイナス面は否定しようがないです。 

だからせめて、マイナス面は事実として淡々と受け入れつつ、同時に、ここまで経験を重ねてきたからこそのプラスの面もあると思える、“プラマイゼロ”ぐらいの年のとり方をできたらいいのかなと思っています。
人の悩みを一緒に考えているとき生かされていると感じます
自分自身の変化以上に、子供たちの成長を見て、人生の時間は確実に前に進んでいるなぁと実感します。 

今年の春の朝、スノボに出かける高校生の長男をなんの心配もせず送り出せたんです。少し前までは、出かける前日に準備を手伝い、当日送り出したあとも、ちゃんとバスに乗れたかな、ケガはしないかな、お金は足りてるかなと、うちに戻って顔を見るまであれこれ思っていたのに、今回は見事に何も気にならなかった。「あ、これが親離れ、子離れか」とわかった瞬間でした。 

こういう日はいつかくると思っていたし、そのときは寂しいだろうなと覚悟していました。ところが、まったく寂しくなかったのです。子育ての醍醐味はこの瞬間かも、と思いました。肩の荷が半分下りた感じもありました。この調子で、早く親元を離れていってほしいとまで思えたことが自分でも驚きでした。 

母と子であることに変わりはないけど、私と息子はもうはっきりと“個”と“個”。彼は“個”として社会の中に入っていきつつあるんだなと思います。 

ちなみに、このときのスノボに行く費用はお年玉を貯めたお金でやりくりしてもらいました。「親の財布からもらったのと自分のお年玉から使うのでは、どういうふうに違うか、それをちゃんと見てきて教えてほしい」って。このごろは息子たちに対しても“この人の考えを聞いてみたい”というスタンスの私です。 

息子たちの成長に伴って、子育てにかけていた時間が減り、自分の自由になる時間が増えていきます。その時間をどう過ごすか、そこはまだ、漠然としています。ただ、自分の中にキーワードっぽくあるのは“会話”や“対話”。 

今、一番幸せを感じるのが人の話を真剣に聞いているときなんです。子育ての悩み、自分の体調のこと、家族のことについてが多いかな。悩みの解決になるかどうかはわからないし、人の役に立っているなんて大それたこともいえないのですが、目の前の相手がふっとオープンな状態になったり、表情がふわっと明るくなることがあるんです。それがすごくうれしくて。つらい思いを抱えている人や弱っている人の悩みを一緒に考えているとき、不思議と自分が生かされていると感じます。 

もちろん人の話を聞くだけではなく、自分の話も聞いてほしい。人生観や考え方を語り合う時間がすごく楽しくて、充実感があります。恋愛より人間愛(笑)。会話が楽しくて、人間力があって、生きる力がある人には、性別や年齢にかかわらず魅かれます。

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一日一日、一食一食、一睡眠、一カット…。束ではなく、ひとつひとつの濃さが大切になりました

ダボダボのデニムが今、一番、私らしいアイテムです
ファッションとの関係も気がついたら変わってきていると思います。“かっこいい”とか“メンズライク”なテイストが好きだった時期がけっこう長かったかもしれません。例えば黒を着るときは、強く見せたくてファッションで武装していた面もあったし、しおれそうな自分を服の力を借りて支えようとしていたところもあったのかなと思います。 

今なら、同じ黒を着るにしても、とんがった感じではなく、飾りけなくゆったりと着たい気分です。 

最近は優しい色に心惹かれて、明るい緑やピンクも好きです。ふわっと風をはらむような空気感のあるブラウスを着ることも増えました。 

そして、今、一番自分らしいと思うのはダボダボのデニムのコーディネート。自分を解放できて、今の私の生き方を表しているアイテムだと思います。人にどう見られたいかではなく、自分自身がどうありたいか。自分の正直な気持ちにフィットしているかどうか。それが今の私のファッションの基準になっている気がします。 

この基準はほかのことにも当てはまりそうです。気分にフィットする一着一着を選ぶように、一食一食、真剣に何を食べるか考えて、味わって食べる。スケジュールもたくさん詰め込まないで、ひとつひとつ納得のいくようにやってみる。会う人一人ひとりとの時間を大事にする。 

スピーディに動いて、たくさんの用事を効率よくこなすほど、「私ってすごい」と思えた時期もありました。でも、ずっとそんな生活を続けていくと、自分がすり減っていく気がするのです。

「ご自愛ください」っていう、手紙の末文に添える言葉がありますよね。あの言葉は、「自分がすり減ることのないように、自分自身を優しく扱ってあげて」という意味として、私に響きます。

同世代の女性たちへ、そして私自身にも、「ご自愛ください!」です。

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