【皮膚のできもの⑤】“脂肪のかたまり”とも呼ばれる良性腫瘍「粉瘤(アテローム)」

皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこにアカや皮脂がたまることでできる「粉瘤(アテローム)」。特に不衛生になりやすい部分にできやすく、炎症を起こすと赤くなったり、強い痛みが出る場合も。詳しい特徴や治療法を専門医がお教えします。
教えてくれたのは…
日本医科大学武蔵小杉病院 桑原大彰先生

日本医科大学武蔵小杉病院 桑原大彰先生

日本医科大学形成外科講師。医学博士。形成外科専門医。フィンランドにて皮膚腫瘍や軟部腫瘍の再建を学び、帰国後現職。現在、同病院形成外科にて皮膚腫瘍外来を担当。

皮膚の下に袋状の構造物ができ、そこにアカや皮脂がたまってできる腫瘍

粉瘤(アテローム)

「粉瘤はアテロームとも呼ばれる良性腫瘍で、皮膚科や形成外科以外の医師から“脂肪のかたまり”と呼ばれることもありますが、脂肪のかたまりではなく、皮膚の下に袋状の構造物ができ、本来皮膚からはがれ落ちるはずのアカ(角質)や皮脂が、はがれ落ちずに袋の中にたまってしまうことでできます。体のどこにでもできますが、特に不衛生になりやすい部分にできやすく、男性はおしり、女性はわきやそけい部などにできやすい傾向が。やや盛り上がった数㎜から数㎝の半球状で、中央の開口部が黒い点として見えることがあり、強く圧迫すると臭くて粘り気のある角質が出てくることがあります。炎症を起こすと赤くなったり、強い痛みが出る場合も」(桑原先生)
粉瘤(アテローム)
皮膚の下に袋状の構造物ができ、アカ(角質)や皮脂が袋の中にたまってしまってできる。たまった角質や皮脂は袋の外には出られずどんどんたまり、時間とともに少しずつ大きくなっていく。しばしば中央に黒点状の開口部がある

《特徴》

できる位置

わき、そけい部

「女性はわきやそけい部に粉瘤ができやすく、これは脱毛の際に毛穴を傷つけて毛穴が閉じてしまい、老廃物が外に出られなくなることが要因と考えられます。拡大すると化膿性汗腺炎という難治性の病気に進展することがあるので早めに医療機関を受診しましょう」(桑原先生)

アテロームの治療法

《治療法》

●治療法●

手術

良性腫瘍なのでそのままでもかまいませんが、放っておくと感染を起こしたり、大きくなったりするので、ある程度の大きさになったら切除をするのがおすすめです。皮膚切開術といって、中の膿だけ出す方法もありますが、この方法だと袋は残っているため再発しやすいので、手術で粉瘤を袋ごと取り除くほうが確実。巨大なものでなければ局所麻酔の日帰り手術が可能です。ただし赤みや痛みがある場合は内容物を出すなど炎症をいったん落ち着かせてから待機的に治療をします」(桑原先生)

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