「在宅介護」のメリット・デメリット、かかる費用は?【親が“認知症”になってしまったら⑧】

自宅で家族がケアする「在宅介護」は、親の家に子が同居する場合もあれば、子の家に親を呼び寄せるケースも。在宅介護を始める前に知っておきたいメリット・デメリットや、気になる費用などをプロがお教え。

教えてくれたのは…

在宅介護エキスパート 渋澤和世さん

在宅介護エキスパート 渋澤和世さん

しぶさわ かずよ●両親の介護を機に、社会福祉士など、福祉に役立つ資格を取得。その経験や知識を生かし、「在宅介護エキスパート協会」を立ち上げ、代表に就任。自治体の介護相談員や、認知症在宅介護講座講師なども務める。

デイサービスなどプロの手を借りることを前提に

在宅介護には、親の家に子が同居する場合もあれば、子の家に親を呼び寄せるケースもある。

 

「いずれにしても、在宅介護を選ぶのは、親ファーストの考え方をする、優しく、まじめな人が多い気がします。だからこそ心配なのが、ひとりで責任を抱え込み、がんばりすぎてしまうこと。前述したとおり、家族だけで介護するのはむずかしいと思います。そう開き直って、デイサービスや訪問介護など、プロの手を借りてほしいですね。それに、デイサービスに出かけることは、親の社会性を保つ一助にもなるのですから」

 

時にはそこで、相性の悪い人と遭遇するかもしれない。けれど、在宅介護なら、「ここにいる間の一時的なもの」と、割り切ることもできる。

 

「また、家族のケアによって、認知症の症状改善が期待できるのも、在宅介護ならではだと思います」

《メリット》

●家族のケアで、認知症の症状が改善することも

●慣れた場所なので、親の気持ちが安らぐ

《デメリット》

●家に介護スタッフなど他人が出入りする場合も

●親の状態によっては、リフォームが必要に

在宅介護の場合

「働きながら介護」なら小規模多機能型施設の検討を

「私がフルタイムで働きながら在宅介護を続けられたのは、小規模多機能型施設のおかげ。通常は、訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、サービスごとにお世話になる事業所が変わりますが、小規模多機能型施設なら、それらが同じ施設で受けられます。窓口が一本化されているので、手続きなどがシンプルですし、どのサービスを利用しても、基本的には同じ職員がケアしてくれるため、親も安心していたようです。ちなみに、親が要介護3のときは、平日5日間は7時15分に迎え・19時20分送りで通いのサービスを、月に数日は泊まりを利用していました」。利用料金は、要介護度に応じた定額制。毎月の介護費用のめどが立ちやすい半面、利用が少ないと、もとがとれないケースも。

定額制サービスの例

定額制サービスの例
金額は負担割合が1割の場合。事業所によっては、この金額に加えてサービス内容や人員体制に応じて加算をしている。小規模多機能型居宅介護を利用している場合であっても、訪問看護、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導、福祉用具貸与、住宅改修の利用ができる。(川崎市『高齢者福祉のしおり』を参考に作成)

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