「施設介護」のメリット・デメリット、施設選びのポイントは?【親が“認知症”になってしまったら⑨】

施設に入居してケアしてもらう「施設介護」。「親を施設に入れる=介護放棄」と考える人もいますが、事故のリスクや他者との交流が増える面を考えると、決してそんなことはありません。施設介護を検討する前に知っておきたいメリット・デメリットや施設選びのポイントをお教えします。

教えてくれたのは…

在宅介護エキスパート 渋澤和世さん

在宅介護エキスパート 渋澤和世さん

しぶさわ かずよ●両親の介護を機に、社会福祉士など、福祉に役立つ資格を取得。その経験や知識を生かし、「在宅介護エキスパート協会」を立ち上げ、代表に就任。自治体の介護相談員や、認知症在宅介護講座講師なども務める。

親を施設に入れる=介護放棄ではありません

「親が日常生活に必要なことができなくなる、慣れ親しんだ道で迷ったり、警察に保護されたりする、服薬の管理ができない、火災の危険があるなどしたら、施設入居を検討してもよいかもしれません」

ただし、施設では、「入浴は週2回」のような制約が多々ある。大部屋の場合、プライベートな空間をもつこともほぼ不可能に。

「ただ、入居当初は『早く出たい』と訴えていても、しばらくすると、施設になじみ、受け入れるかたも少なくないと聞きます。そのかたがたに共通するのは、家族の面会が定期的にあること。家族が会いにきてくれるうれしさが、入居者の心を落ち着かせるのでしょう。施設に入れることは、介護放棄ではありません。無理をして在宅介護を続けた末に、虐待などしてしまうなら、施設介護を選んだほうがずっといいと、私は思います」

《メリット》

●万が一の事故にあうリスクが減る

家族の負担が減り、親は他者との交流ができる

《デメリット》

●金銭的な負担が増える

集団生活が苦手な親にとってはストレスになることも

施設介護の場合

施設選びはここをポイントに

高齢者施設の種類と入居の目安

公的施設

特別養護老人ホーム
《認知症におすすめ施設》
要介護度が高く、経済的、家庭環境などに問題がある人が優先的に入居できる場合が多い。待機者が多いため、入居に時間がかかる。 要介護3以上
介護老人保健施設 本来は、在宅復帰を目ざすために利用する。入居期間の目安は3カ月。 要介護1以上
介護療養型医療施設
介護医療院
長期療養が必要な人が医療ケアを受けられる。療養の必要がなくなると退院となる。 要介護1以上

民間施設

介護付き有料老人ホーム
《認知症におすすめ施設》
食事、入浴など生活上のサービスを提供する。介護サービスは施設職員が行う。終身利用ができる。 自立~
要介護5
住宅型有料老人ホーム 食事、入浴など生活上のサービスを提供する。介護サービスは外部のサービスを利用することも多い。 自立~
要介護5
認知症対応型共同生活介護
グループホーム
《認知症におすすめ施設》
認知症の高齢者が共同で生活をする施設。アットホームで人気があるが、地域によっては提供がない。 要支援2以上
ケアハウス
(軽費老人ホーム)
まとまった入居金もなく月々の利用料も安いが、自立が困難になった場合、退去することになる場合もある。 自立~
軽度の介護度
サービス付き高齢者向け住宅 安否確認と生活相談サービスが義務づけられている。医療と介護は外部のサービスも利用可能。 自立~
要介護3

上の表のとおり、要介護度によって入居できる施設は異なる。また、親が特別な医療的措置を必要とする場合、それを行っているか否かもカギに。こうした条件や費用のほか、渋澤さんが「重視すべき」というのが立地。「私は、介護者である子の家の近くをおすすめします。そのほうが面会に行きやすいですし、親の通院付き添いなどで頻繁に訪問しなくてはならない場合もあるからです。これらを踏まえたうえで、実際に施設に足を運び、施設長と話をし、できれば体験入居やショートステイを。それで、やっていけるかどうかを判断するのが、安心です」。

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