松本千登世さんの考える「透明感のある女性」とは?【透明感のある肌の育て方・愛し方】

大人になるにつれて失われていく最も大切な印象は“透明感”にある。凛としたたたずまいも、思わず惹きつけられる肌の美しさも透明感なくしては語れない。美容エディター・松本千登世さんの考える「透明感」「透明感のある女性」とは? 
美容エディター 松本千登世さん

美容エディター 松本千登世さん

航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務、出版社の雑誌編集を経てフリーのエディターとして活躍。蓄積された美容の知識や、さまざまな経験をモチーフに、優しい視点で美の本質を語るエッセーが人気を集めている。

「透明感のある女性とは、そのたたずまいとは?」

春の訪れを前に、長く水彩画を描き続けている親友の「展覧会」に行きました。夕陽に染まる街を描いた作品、咲き誇る花を描いた作品、緻密さに溜息をついたり、大胆さに圧倒されたり……。温かい涙の向こうにふと見えた景色のような奥行きを感じさせる彼女の絵はもちろん、思いが込められた一枚一枚に、我を忘れて見入りました。ギャラリーの1階をゆっくり回ったあと、地下のスペースに移ってすぐ……、思わず、足が止まりました。描かれていたのは、おめかしした褐色肌の女性。その肌は水を湛え、光を纏い、息吹と温もりに満ち満ちているように見えました。存在そのものにも肌にも生き生きとした生命感が宿っていて、はっとさせられたのです。わかった気がしました。肌の美しさは「色」で決まるんじゃない。その人自身が湛える「水」であり、纏う「光」であり。それらが重なり合い、溶け合って溢れ出た「透明感」で決まる。水という彩りによって表現された空気に、美しさの正体を鮮やかに解き明かされた気がして、しばらくそこから動けませんでした。今もその絵は記憶に刻まれていて、不思議なまでに、私の心を軽くしてくれているのです。
松本千登世さん

断言したいと思います。透明感さえあれば、私たちは未来永劫、美しくいられる。言い換えるなら、肌の「純度」と「鮮度」を保てれば、ずっと生き生きとした肌、人でいられる。それは肌質とか年齢とか、つまりは「白さ」や「若さ」とは、まったく次元が異なる物差しに違いない。だから、私たちは、いつからでも、すぐにでも、美しくなれる、と……。

松本千登世さん

肌も人も、純度、鮮度が落ちるとくすむ、濁る。私たちエクラ世代はまず、頭の中でそう転換するところから、スキンケアを始めたいと思うのです。すると、ひとつのシミや一本のシワにとらわれることなく、選び取るべき美容が見えてくるのではないでしょうか? メイク汚れや不要な角質など、表面の黒ずみを脱ぎ落とすこと。水や光を巡らせて、肌表面の層を透明にすること。緩んだり、弛んだり、萎んだり、折れたりしてできる影を見逃さないこと。毎朝毎晩、純度と鮮度を高めるよう緻密に作られた一滴を積み重ねること。そして、これらの美容を義務や惰性でなく、ときめきや癒しを感じながら行うこと……。もちろん、食事や運動、睡眠といった生命そのものの純度や鮮度を保つ心がけも欠かせない美容。好きなもの、楽しいことに軽やかに反応していちいち目を輝かせることが、純度や鮮度の高い生き方に繫がるとも、大人はすでに自覚しているはずです。

松本千登世さん

そして「透明感=幸福感」もまた真実。透明感に吸い寄せられるのは、きっとそのため。だから「今」の純度と鮮度を、今日も明日も!

文・松本千登世

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