マスク生活の「下半顔のたるみ」「老け声・声枯れ」の原因は?解消方法をチェック!

マスク生活で口もとが隠れるため、気づかないうちに口まわりに変化が起きている。舌の筋肉が衰え下半顔のたるみや声を出しづらくなり、老け声や声枯れに。口まわりのお悩みを解消する方法をご紹介。

 

教えてくれた人
歯科医師 末光妙子先生

歯科医師 末光妙子先生

歯学部卒業後、日本大学松戸歯学部付属病院などに勤務。予防歯科や、虫歯予防効果もあるホワイトニングの普及のため、「ミュゼホワイトニング」の立ち上げに携わる。現在は同歯科医院を運営する医療法人の理事長を務める。

 
①「落ち舌」が下顔面をたるませていた!

舌の正しい位置はどこ?見た目も健康も損ねる落ち舌

長引くマスク生活で、気づかないうちに口まわりに変化が起きている。見た目では口角やフェイスラインが下がり、ほうれい線も深くなる。マスクに隠れて口が半開きになりがちで、滑舌が悪くなったり、食べ物の飲み込みもへたになったりするという。また、口が開いていると口内が乾燥し、口臭が強まり、歯周病や虫歯になることも。

「これには『落ち舌』が関係しています。舌の位置はあごの上に張りついているのが正しいのですが、意識していないと舌の位置が下がり、口が半開きになりやすくなるのです。マスクで口もとが見えず、気がゆるみがちになっているのも一因です」

そう指摘するのは、歯科医の末光妙子先生。口は呼吸や食事など生命維持に欠かせない器官であり、人とコミュニケーションをとるために必須の会話も、口あってのもの。なかでも舌は、その中心的な役割を果たしている。

「舌は正しい位置を意識するだけでも変わりますし、さらに舌の筋肉を鍛えれば落ち舌も解消できます。口内環境が整い、口もとや顔まわりの筋肉のたるみも改善します」

そこで末光先生がおすすめしているのが「早口言葉」。舌や口を駆使していいにくい言葉を速くいうことが、舌や口まわりの“筋トレ”につながるという。舌を正しい位置に戻し、リフトアップや小顔効果も期待できるそう。

「私も続けていますが、ほうれい線が薄まり、鼻すじもすっきりしました。ゲーム感覚で楽しんでいるうちに、変化が現れます。筋トレと同じでいつからでも始められ、結果もついてきます。美容、健康面ではもちろん、将来、嚥下障害などで自分が要介護にならないためにも小さな積み重ねが大切です」
正しい舌の位置

【○】舌が上あごにべったりついている

自然に口を閉じたとき、舌全体が上あごに沿ってべったりくっついている状態が、舌の正しい位置。舌先は前歯に触れていないこと。

落ち舌

【×】口を閉じたときに舌が浮いている!

舌が上あごから離れ、下あごの歯列の内側にだらんと落ちていたら舌の状態は正しくない。舌全体の筋肉を上手に使えていない証拠。

「舌が落ちている」と、どうなるの?

舌が落ちている影響

美容面では舌に隣接している顔全体の表情筋がたるむため、フェイスラインや口角が落ちてしまう。健康面では食べ物をのどの奥に送り込む動作がうまくできなくなり、飲み込みがへたに。さらに落ち舌が招く口呼吸で口の中が乾燥し、唾液が減る原因にも。また、舌と連動してのどの声帯筋の筋力が低下し、老けた印象の声になるなど悪いことずくめだ。あごの下側にある舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)は飲み込みに欠かせない筋肉で、ここを動かして鍛えると、落ち舌対策に効果大。

 
②舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」

一日5分で脱・たるみ顔!

《ポイントはここ!》

◦初めはゆっくりでもOK。きちんといえることが大切
初めからスラスラ音読できる人は少ないはず。まずは早口でなくても、ゆっくりでOK。口全体をしっかりと動かして大きな声で3回繰り返し、少しずつ速くしていこう。

◦ 好きな言葉を3つ選んで、朝・夕、声に出す
鍛える場所で選んでもいいし、声に出すのが楽しいからと気分で選んでもいい。3つ選んで一日2回、音読しよう。朝夕の歯磨き後など、タイミングを決めると習慣化しやすい。

◦ 笑顔をつくりながらいう
鏡を見ながら、表情筋を左右均等にしっかり動かすことと笑顔を意識して。早口言葉は上から読んでも下から読んでも同じ回文なので音のリズムもよく、自然と笑顔になるはず。

❶から❹は舌を、❺❻は顔全体を鍛えることを目的とした早口言葉。舌や表情筋を意識して、しっかり動かすこと。ひとつにつき3回ずついうのが基本。

ここを鍛える❶《舌の根元》 難易度 ★☆☆

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
「か」は、落ち舌に関係が深いインナーマッスル・舌骨上筋群など舌の根元を鍛えられる音。「てぃ」で舌の中央部を横に広げ、「る」で舌をぎゅっと縮める。この連続して舌の幅を変化させる動作が舌の筋肉への刺激になる。

ここを鍛える❷《舌の根元》 難易度 ★☆☆

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
すべての音が「か行」「が行」で構成されており、舌の根元部分を集中的に刺激できる。特につまずきやすいのが「かぐ」「ぐか」の部分。口の開きが大きく変化するため、すばやく、かつ大きく表情筋を動かすのがコツ。

ここを鍛える❸《舌の中央》 難易度 ★★☆

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
「ひゃ」「ひゅ」「ひょ」と拗音の連続で鍛えられるのは、舌の中央部分にある外舌筋。この筋肉は、舌を上下左右と柔軟に動かすための大切な部分。ここと連動して表情筋も鍛えられる。特に「ひゅ」は表情筋を総動員できる音。

ここを鍛える❹《舌の先》 難易度 ★★★

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
濁音の連続なので、舌先を歯の裏に当てて破裂させるように音を弾き出したり、舌先を歯ぐきに当てて摩擦音を出すことによって舌先が鍛えられる。口の空洞を大きくつくった状態で発声するため、表情筋にも効果がある。

ここを鍛える❺《顔全体》 難易度 ★★☆

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
母音の「い」「う」の繰り返しにより、唇のまわりの口輪筋や口角を引き上げる口角挙筋などが刺激され、下がった口角やほうれい線対策に最適。母音の「い」は唇を斜め上に持ち上げ、「う」は唇をぐっと突き出すのを意識して。

ここを鍛える❻《顔全体》 難易度 ★★★

一日5分で脱・たるみ顔!舌&顔全体を鍛える「早口言葉6」
難易度最高ランク。口を開ける、閉じる、舌を持ち上げる、上下の唇を閉じて合わせた状態から破裂音を出すなど、舌全体、口輪筋、表情筋をすべてしっかりと動かさなければ発音できない。スラスラいえるようになるのが最終目標!

 
③老け声&声枯れ防止

ツヤのある声を取り戻すと同時に顔のリフトアップも

他者との会話が減り、マスクのせいでボソボソとしゃべるクセがついてしまったこの一年。声が小さくなっただけでなく、滑舌も悪くなり、家族との会話や、オンラインミーティングで「えっ?」と聞き返されることも。

「急激に“老け声”“声枯れ”が進んだのは、マスクで顔が圧迫され、社会生活で大声を出すことが好ましくない状況の中、表情筋をほとんど使わずに話すようになってしまった結果です。この一年で下半顔が大幅にたるんでしまったという自覚がある人は多いはず。また、ストレスなどで常に奥歯を噛み締め、咬筋が凝り固まり、口を開けづらくなっている人も多いのです」

クリアでツヤのある声を取り戻すには、声のトレーニング、ボイトレが必須だとミニー先生。
「口もとと表情筋を総動員し、一日に1回は大きな声を出しましょう。そのとき意識したいのは、口を縦に大きく開けること。自然と呼吸も深くなり、肺もしっかり使えるようになります」

また、低い音から高い音まで、日常会話にない音域まで発声することで声帯のストレッチに。マスクを通しても魅力的な、厚みのある声になっていく。

「同時に、ゆるんだ表情筋が引き締まり、下半顔がすっきりとリフトアップします。大きな声を出すことで、脳内がポジティブに切り替わり、メンタルを整える効果も。一石三鳥の効果があるボイトレは、今の時代にぴったりなエイジングケア法だと思います」

ボイトレではこれだけの表情筋を使う!

ボイトレではこれだけの表情筋を使う!
口を動かす口輪筋は、頰を動かす何種類もの筋肉と連動。目をパッチリと見開き、後頭部から声を響かせるようにすることで、側頭筋など頭部の筋肉も駆使。姿勢を正し、のどをリラックスさせることで、美の要・首の筋肉もケア。

まず、発声の前に、準備運動からスタート!

まず、発声の前に、準備運動からスタート!

《1》のどをはがす

声帯のまわりの筋肉(咽頭筋(いんとうきん)、甲状筋)が凝り固まっていると、声が出づらくかすれがちに。まずは、のどの奥を「はがし」、声帯まわりの筋肉をほぐしてスムーズに発声する準備を。両手の4本の指をそろえ、手のひらを前に向けて、胸鎖乳突筋のすぐ前に指先を差し込む。差し込んだまま、手のひら全体を前に押し出し5秒キープ。これを3回繰り返す。

《2》手を大きく前に出して回す

《2》手を大きく前に出して回す

手の甲が前方に向くように両手を高く上げる。片足を大きく一歩前に踏み込み、腰を落としながら、腕を前方へと回す。5回繰り返し、反対の足も同様に。実は発声のポイントである、背中からおしりを鍛えられる。「そろそろボイトレ始めましょ~~~♪♪」などミュージカル風に声を出しながら行うのがおすすめ。

 
④滑舌をよくして下半顔を引き締める

顔を逆三角形にしながら、50音の苦手な行をいう

滑舌をよくし、口をしっかり動かして下半顔を引き締めるボイトレ。50音をあ行から順番に早口でいってみて、さ行やた行、ま行やら行など、いいづらい行をトレーニング。口を縦に開け、唇を前に突き出しながら、例えばさ行なら、「さ」を「さあ」と母音を意識して発声。両手で下半顔が逆三角形になるよう支えながら行うと口が縦に開きやすくなる。慣れれば手の補助がなくてもできるように。
顔を逆三角形にしながら、50音の苦手な行をいう
ムンクの「叫び」のように下半顔が逆三角形になるよう両手で押さえる。こうすることで口が縦に開き、表情筋の動きを確認できる。
顔を逆三角形にしながら、50音の苦手な行をいう
母音を意識して苦手な行を発声練習。「お」の段以外もすべて、唇を横に引かず、縦に開けて唇をアヒルのように前に突き出すのを意識。

 
⑤ストレスでカチコチになった頭皮をほぐす

髪の毛を引っぱりながら「ヤッター!」という

ストレスでカチコチになった頭皮をほぐし、マスクをしていても声がクリアに通るボイトレ。耳の上の側頭筋あたりの髪を、根元からグッとつかんで引っぱりながら「ヤッター!」「ヤッター!」と繰り返し発声。つかむ位置を前頭部、頭頂部、後頭部と変えながら同様に。サプライズなできごとに、喜ぶような表情で行うのがポイント。気持ちまで前向きに。
髪の毛を引っぱりながら「ヤッター!」という
「ヤッ」で低い声、「ター!」で高い声に。目を見開き、唇を前に突き出しながら。徐々に音程を高くしながら繰り返し、限界の音域まで出してみる。
髪の毛を引っぱりながら「ヤッター!」という

 
⑥下半顔を引き締める

目を大きく見開きながら「らあ」と「WOW」で歌う

よく響くツヤ声になり、下半顔を引き締めるボイトレ。「ら」行を「らあ」と発声しながら、ドレミファソファミレドの音階を歌う。「あ」を意識し、口を縦に大きく開けて発声。次に「WOW」をドミソミドの音階にのせて。唇を前に突き出し、「WO」で大きく縦に、「W」で唇をすぼませる。どちらも半音ずつ音程を上げながら、限界の音域まで繰り返す。
目を大きく見開きながら「らあ」と「WOW」で歌う
「らあ」も「WOW」も、目を大きく見開き、唇を前に突き出して発声するのがポイント。大げさかな?と思うくらいがちょうどいい。
目を大きく見開きながら「らあ」と「WOW」で歌う
目を大きく見開きながら「らあ」と「WOW」で歌う
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