千登世流・今日の自分を好きになる3つの視点【大人美が目覚めるとき SPECIAL版】

連載「大人美が目覚めるとき」でもおなじみのビューティエディター、松本千登世さん。優美で知的な文章はもちろん、凛としたたたずまい、柔らかな笑顔に魅了される人は数多い。今回は「大人美が目覚めるとき」のスペシャル版。千登世流・今日の自分を好きになる3つの視点について聞いた。
ビューティエディター 松本千登世

ビューティエディター 松本千登世

ビューティエディター。美容から生き方、ファッションまで大人のお手本的存在。著書に『「ファンデーション」より「口紅」を先に塗ると誰でも美人になれる「いい加減」美容のすすめ』など。

昨日より今日、今日より明日の自分がいちばん好きーーー松本千登世

松本千登世

昨日の私は他人。自分の「再現」より「更新」を

「自分がいちばん好き」という見出しを読み返して、どれだけおめでたいの?と、なんともいえない気恥ずかしさを覚えています。でも、でも……、紛れもない本音。この年齢になってようやくたどりつけた、解放感と昂揚感が溶け合ったような不思議な感情です。ほうれい線だって白髪だってため息が出るほど悩ましいし、どんな老化が押し寄せてくるのかと想像するだけで怖いし、見た目も体力も人生も思いどおりにならないことだらけだけれど、すべてを含めて今が私らしいと、自分に対して優しく穏やかな目線をもてるようになりました。

あの人にはあるのに、なぜ私にはないの?と比較しては誰かをうらやんでばかりいた20代。「知らない」といえず、わかるふり、できるふりをして自分を強く大きく見せたがった30代。こんなはずじゃなかったという焦りと大人なのだからというあきらめを行ったり来たりしながら、手放すことにもつかみとることにも覚悟をもてなかった40代…。

改めて振り返ると「昨日の私」にはまるで自信がないのです。「今日の私」は昨日の私の違和感に少しだけ気づいて、少しだけ学んで、ほんの少しだけではあるけれど、進化をしている、進化の余地があると自信がもてる。コンプレックスもエイジングも向き合うこと、受け入れることがへただった私が、年齢とともにしだいに上手になって自分の「取り扱い説明書」がブラッシュアップされた、みたいな感覚なのかもしれません。

昨日の私は他人と同じ。他人になろうとするのと同じ。若かった昨日の自分を再現するよりも、今日の自分を更新するほうがいい。ベクトルを変えたら、わくわくすると気づきました。特に、変化が見えやすい見た目の「チューニング」から始めるのが、手っ取り早いのではないでしょうか? 私の場合は、ハリやコシを失った髪質を利用してショートボブを楽しむようになったこと、まぶたがゆるんでより下向きになったまつ毛を利用して、ノーカール×ノーマスカラの目もとを楽しむようになったこと……。変化をおもしろがるユーモアと、逆手に取る知恵が、自分を楽しませるセンスになる。それこそが顔と心、体と心とがめぐる、大人美を育むことにほかなりません。

年上の女性がそうであるように、私たちも年下の女性に「大人は楽しい」と伝えたい。そう、軽やかに、しなやかに。

千登世流・今日の自分を好きになる3つの視点

《視点1》過去の自分の美のセオリーにはとらわれない
「この色はきれいに見える」「この形の服は似合う」なんて昔からのセオリーに人はとらわれがち。でも年齢とともに肌も体も変わるから、今の自分に合う法則を新たに見つける。

《視点2》ときめきこそがきれいの原動力
いつも心にわくわく感を宿している人はいきいきと輝いて見える。他人の視線や流行に惑わされず、自分が好きと思えるものを受け入れ、身にまとうことが美しさにつながる。

《視点3》自分の機嫌は自分で上げる
気持ちが落ちたり乗らない日があっても大人なら自分の機嫌は自分で調整。ちょっとした習慣、心のもちようなど、「こうすれば気分を上向かせられる」というすべを知っておく。

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