【今から知っておきたい!実家じまいのこと】終活のひとつと考え、早めの対処がおすすめ

子供が巣立ち、今は親だけで暮らしている実家。「親がまだ住んでいるから」「親が生きているうちは」と、そのままにしておくと、いずれ“負動産”になってしまうかも!? 実家に潜むリスクを知って早めに対処を!

「実家じまい」は終活のひとつ。早めの対処が、親子に安心をもたらす

実家じまい

広く、不便な実家は子世代を悩ませる「空き家予備軍」

総務省「住宅・土地統計調査」によると、’18年の全国の空き家数は、約849万戸で総戸数の約14%に。そのうち「相続」によって発生したものが全体の約55%を占める(国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」)。つまり、親から相続したものの自分は住まず、売却も賃貸もできない家が大量にあるということ。もしあなたが将来実家に住む予定がないのなら、あなたの実家も空き家予備軍ということに!

相続に詳しい弁護士にして税理士(通知)で、実家じまいにも携わっている長谷川裕雅さんも、「空き家になる可能性があるのなら、親が存命中に実家じまいするのがおすすめです」と提言する。

空き家を放置していると火事や不法侵入者による犯罪などのリスクがアップ。老朽化がすすめば倒壊の恐れも生じる。危険性が高い「特定空き家」に指定されてしまうと、自治体から解体や修繕を命じられる場合があるだけでなく、固定資産税が通常の6倍に。空き家を所有していることは、百害あって一利なしというわけだ。

「そもそも親は、居室が複数ある広い家を持て余しているかもしれません。何十年も前に建てられたとしたらバリアフリー化がされていないでしょうし、駅から遠い場所にあるとしたら利便性も今ひとつでしょう。親の将来を思えば、早めに実家を売却し、駅に近く、コンパクトで住みやすいマンションや高齢者向き施設に住み替えるのが得策です。実家の売却益によって老後資金にゆとりが生まれる可能性もあります」(長谷川さん)

シニアの暮らしに精通する岡本弘子さんも、「子供を育てた家を売り、高齢者施設などに移り住む人は増えていますし、その傾向は今後さらに高まるでしょう。親世代にとっても『家じまい』は終活のひとつなのです」と。

親が住んでいるうちはと先送りせず、元気な今のうちに親子で考え、情報を収集するなど準備しておきたい。

全国の空き家数および空き家率の推移

【今から知っておきたい!実家じまいのこと】終活のひとつと考え、早めの対処がおすすめ_1_2
※総務省「平成30年 住宅・土地統計調査」をもとに作成

どれかひとつでも当てはまったら考え時【こんな人は今のうちから考えて】

□すでに空き家になっている
売れない&貸せない空き家の場合、固定資産税や管理費などお金が出ていく一方。所有期間が長引くほど出費がかさむので早急に対処を。

□将来、実家に誰も住む予定がない
子供たちはすでに自宅を所有していて、誰も実家に戻る予定がない=空き家への道まっしぐら。特に過疎化が進む地域だと注意が必要。

□親がひとりで住んでいる
居室が複数あるようなファミリー向けの間取りや広さの家は、親がひとりで住むには不向き。コンパクトな住居への住み替えがベター。

□大がかりなリフォームが必要
今後も住み続けるには大がかりなリフォームが必須の場合、費用はかなりのものに。それだけのお金をかける意義があるか冷静に判断を。

□そろそろ親の介護が必要
実家がバリアフリー化されていなかったり、2階建て以上の戸建てなら要注意。介護が視野に入ってきた親にとって“危険の宝庫”かも。

弁護士・税理士(通知)長谷川裕雅さん

弁護士・税理士(通知)長谷川裕雅さん

はせがわ ひろまさ●「永田町法律税務事務所」代表。新聞記者を経て現職に転身。ベストセラーになった『磯野家の相続』シリーズをはじめ、『老後をリッチにする家じまい』等著書多数。講演会やメディアでも活躍。
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