【今から知っておきたい!墓じまいのことQ&A】合祀墓、永代供養など「墓じまい」の選択肢

「墓じまい」について、墓じまい代行・終活サービス業の小西正道さんに教えてもらった。合祀墓ならその後のケアが楽? 永代供養なら安心? 果たして現実は?

きょうだいなど関係者同席で親の希望や思いを聞いて

「お墓のことは、親とともに考え、行動するのが理想です」と、小西さん。

お墓には誰の遺骨が納められていて、どう管理しているのかといった事務的な話はもちろん、親が今あるお墓をどうしたいと考えているのか、まだお墓がないのなら、どんなかたちを望んでいるのかなど、親の意向を知ると同時に、自分の考えや気持ちを伝えておくことも大切。

「親の存命中にお墓の話をすることで険悪なムードになるかもしれませんが、それでも、話し合っておいたほうが絶対にいい。供養は、亡くなったかたのものだけでなく、遺(のこ)されたかたがたのものだと、私は思います。親と話をしないまま、親の死後に墓じまいを決行し、『親不孝だったかも』と思い悩むより、親の考えを知ったうえで決断したほうが、後悔は少ないのではないでしょうか。もしかしたら親も、『子供に迷惑かけたくないから、墓じまいしたい』と考えつつ、いいだせなかったのかもしれませんしね」

もしかしたら、親は「子供のためにも」と立派なお墓を生前契約するつもりでいるかもしれない。それが事前にわかっていれば、親に考え直してもらうべく、手を打つことも可能だ。

「きょうだいがいるなら、きょうだいそろって親の意向を聞くのがベスト。自分ひとりで進めてしまうと、のちのちトラブルになるかもしれませんから」

墓じまい

Q.合祀墓ならその後のケアが楽そうだけど

A.不特定多数の遺骨と一緒に埋蔵されます
自分たち家族だけで埋蔵されるいわゆる「家墓」に対して、不特定多数の遺骨とともに埋蔵されるのが、「合葬式共同墓」。一般的には、「合祀墓」や「合葬墓」と呼ばれ、最近は「永代供養墓」と称する寺院も増えている。大人数の遺骨がひとつのお墓に埋蔵されるため、土地利用料が格安で、墓石を購入する必要もない。結果、費用が抑えられる。また、個人で管理しなくてもよいというのもメリットだ。

「合祀墓の中には専用区画を設けているところもありますが、それはごく一部。基本的には、知らないかたの遺骨と一緒に、どれがどなたの遺骨かわからないかたちで埋蔵されます。埋蔵したあとにそれが気になって、『合祀墓から遺骨を出したい』と希望するかたもいるようですが、それは無理な話。なので、よく考えて選んでください」

合祀墓にかぎらず、どのタイプのお墓にもいえることだが、メリットとデメリットを十分比較し、家族でじっくり相談して決めたい。

Q.永代供養なら安心?

A.永代=永久ではありません
改葬にかぎらず、新たにお墓をという人たちに支持されているのが、永代供養墓という選択。ここで誤解してはいけないのが、お墓に「永代所有」はなく、「永代使用」または「永代供養」のみで、その「永代」は永遠や永久を約束されたものではないということ。

「永代供養墓には、当初は専用墓で一定期間が過ぎたら合祀墓に移すタイプと、初めから合祀墓に埋蔵するタイプがあります。前者の場合、宗教にもよりますが、仏教だと33回忌を機に合祀墓に移すことが多いですね。私が最も懸念しているのは、永代供養をお願いしたはずの墓地が、この先何年存続するかということ。少子化に加え、昨今墓じまいに踏み切る人が増えていて、この先お墓の需要はますます減っていくでしょう。公営墓地はともかく、民間霊園や寺院の中には、すでに存続が危ぶまれているところが少なからずあります。その意味では、『永代使用』をうたっている墓地も例外ではありません」

これからお墓を探すなら、そのあたりもリサーチして選ぶのが賢明だ。

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

墓じまい代行・終活サービス業 小西正道さん

こにし まさみち●石材店での墓地営業を経て独立。散骨、墓じまい、終活サービスを提供する「縁」代表取締役。著書に『墓じまい! 親族ともめない、お寺に搾取されない、穏やかで新しい供養のカタチ』がある。
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