富岡佳子が会いに行く 女性学の第一人者 上野千鶴子さん

50代は、人生の転換期。eclat10月号では、富岡佳子さんが女性学の第一人者の上野千鶴子さんに“50代の在り方”について伺いました。
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■私は40代で人生の優先順位を考え、生き方を変えた

 まさに私たちが知りたいことをわかりやすく、さまざまな視点から解説してくれる上野先生。富岡さんは前のめり、次々と質問を投げかけた。
富岡 私はまだ50代手前ですけど、先輩たちに話を聞くと皆さん、50代は楽しい、60代はさらに楽しいっておっしゃるんです。
上野 ポジティブに考える人ばかりを選ぶとそうなるんです(笑)。私は50代、そんなに楽とは思わないけど。まあ、60代になると安定しますけどね。
富岡 先生ご自身は30代から40代、50代と、どんなふうに過ごされたんですか?
上野 30代はまっしぐらに走るしかなかったわね。40代になってから徐々に身体の老化を自覚するようになって、自分の時間とエネルギーには限界があると気づいたんです。そこで初めて、人生の優先順位を考えた。当時私はメディア文化人としてけっこう売れていたけれど、テレビで文化人と称される大先輩たちをじっくり観察すると、だんだん本業がスカスカになっていくのね。そこで、今の私にとって大事なのは仕事やお金よりも時間だと気づいて、40代前半でテレビに出るのを止めました。それから約2年間、ドイツやメキシコに研修に出たんです。自分に投資したんですね。
富岡 そのとき自分に何が必要か、見極めて行動なさったんですね。だから今、多くの人に求められていらっしゃる。私の場合は、女性誌が成長するのと歩調が合ったので雑誌のお仕事に恵まれてきました。でも、エネルギーのある今のうちに何かインプットしておかないと、50代半ばには枯渇してしまうのではと感じていたところでした。
上野 今のモデルはファッションだけじゃなく、生き方まで見せる職業ですものね。気をつけないとどんどん消費されてしまうから、そこを生きのびるのは大変でしょう。
富岡 でも今日はたくさん、ヒントをいただきました。このタイミングでお目にかかれて、本当によかったです!
上野 とても良かったと思います。
富岡 私も、女性誌が成長するのと歩調が合ったので次々と雑誌のお仕事に恵まれましたけど。このへんで何かインプットしておかないと、この先大変なことになりそうで(笑)。
上野 今のモデルはファッションだけじゃなく、生き方まで見せる職業ですものね。気を付けないとどんどん消費されてしまうから、そこを生き延びるのは大変でしょう。
富岡 でも今日はたくさん、ヒントをいただきました。このタイミングでお目にかかれて、本当に良かったです!
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実際にお会いして…Yoshiko's MEMO

実はお目にかかる前は“厳しいかたなのでは?”と思っていたのですが、とても寛大で、優しく受け止めてくださいました。上野先生の分析で、私たち世代の特徴が見えてきましたし、この先の人生を大切にしなければ、と実感できました。“インプットを怠らず、自分をブラッシュアップしていきたい”、そんな私の思いを瞬時に理解して、共感してくださり、とてもうれしく思いました。

お話をうかがったのは…

うえの ちづこ●'48年生まれ。社会学者。立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門は家族社会学、ジェンダー論、女性学で、その指導的な理論家として知られる。独自の視点でさまざまな社会問題に鋭い発言を重ねてきた。近年は高齢者の介護問題に深く関わっている。

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