(ライター 小田香)
韓ドラのプロが選ぶ!2023年上半期 韓国ドラマ大賞 【俳優(女性)部門】
2023年上半期に日本で配信された韓国ドラマ作品で最も印象的だった女優とは?雑誌やラジオ、配信番組などのメディアで活躍する韓国ドラマウォッチャーのプロ5人が、その演技力に太鼓判の「主演女優賞」、40代後半~50代前半の女優で最も魅力を発揮していた「最優秀アラフィー女優賞」を選出!
「主演女優賞」は、この3人!
チョン・ドヨン (「イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~」)
ラブコメが17年ぶりということにまずびっくり。これまで映画で見せてきた凄みのある役柄とは違うヒロインは、年齢を経ても変わらず愛らしい彼女にぴったりで、キュートな雰囲気が好感度大。少しダサめの衣装もラブリーで似合っていた。ちょっとした動きや表情で、ヒロインの思いを表現する安定の演技には感心するばかり。
(ライター 小田香)
(ライター 小田香)
主演のナム・ヘンソン(チョン・ドヨン)とチェ・チヨル(チョン・ギョンホ)のロマンスは、韓国ドラマの王道、“最悪の出逢いから始まる運命のラブストーリー”。受験戦争とそれをめぐるサスペンス仕立ての物語は、目新しい設定ではないにもかかわらず、気付けばすっかりのめり込んでしまう中毒性があるんです。その中毒性に一役買っているのが主演の存在感。ヘンソン役のチョン・ドヨンは、あのカンヌ女優(「シークレット・サンシャイン」2007年)。しかも、17年ぶりのラブコメ出演。地元密着の総菜店を切り盛りする素朴なヘンソンというキャラクターは、とっても新鮮です。今回、三十代のヘンソンを五十代のチョン・ドヨンが演じたのですが、これが全く違和感なし。相手役であるチョン・ギョンホとの光速ラリーのような掛け合いも見事だったのですが、それ以上にヘンソンが走るシーンが多すぎて、「また全力で走ってる!」と笑ってしまうほど。演技力はいわずもがな、カンヌ女優がめちゃめちゃ走るという意味で選出しました。
(ライター 中川薫)
(ライター 中川薫)
キム・オクビン (「その恋、断固お断りします」)
ここ数年のラブコメで、ここまで笑かせてもらった作品はない。キム・オクビンと言えば「悪女 AKUJO」「渇き」など、若いころから肝の据わった血みどろ系の作品選びで印象的な映画女優だったのだが、ドラマ「アスダル年代記」の悪女テアラ役では貫禄が加わり、壮大な世界観を背負えるオペラティックな存在になってきてるな……と思っていたら、ここにきてまるっきり逆振りのオモシロ女子ぶり!曲がったことが大嫌いの正義漢な弁護士で、特に女を食い物にする男は絶対許さず、殴る男のこぶしを余裕でかわして逆に張り倒し、はちゃめちゃな宴会芸で場を沸かすことが得意中の得意で、天下無敵のあっけらかんとした明るさで言いたいことを言い、でも恋したら意外とピュアだったりもして……というそんなヤツいるか?!というキャラを、完璧にものにしちゃうすばらしさ。主演女優賞の部門だけど、相手役のユ・テオと合わせて「ベストカップル賞」をあげたい。
(ライター/コラムニスト 渥美志保)
(ライター/コラムニスト 渥美志保)
イ・ソンギョン (『愛だと言って』)
自分が納得しないことにははっきり物申す、かなり無愛想な見た目でありながら、心の内は人を守りたいと思う優しさに溢れている……という難しいキャラを魅力的に演じていて、以前から思っていましたが、本当に上手い女優さんだなと。ヒロインの心の揺れや移りゆく心情を、瞳の揺れや視線などきめ細かい演技で見せる表現力の高さは思わず唸る感じ。
(ライター 山崎敦子)
(ライター 山崎敦子)
「最優秀アラフィー女優賞」は、この3人!
キム・ヒエ (「クイーンメーカー」)
顔とか全然好きじゃないのに、ドラマを見ると目が離せなくなり、気づけばヒエ様と呼んでいる。圧倒的な存在感、圧力、吸引力。女性の多様さを意識して作品選びをしていると思うし、その点でも尊敬しているし、信頼しています。ファッションもいい。絶対に首を出さないのは年齢のせいもあるかもしれないけど、胸元を出さず、硬質でありながら色気が出せるのは、意外とすごいことだと思います。
(ライター/コラムニスト 渥美志保)
(ライター/コラムニスト 渥美志保)
メラメラと燃え盛る業にも似た欲望を心の内に持ちながら、見た目はめちゃくちゃ優雅でエレガントという役を演じたら、やっぱり彼女の右に出る者はありません。ドラマは権力を自在に操る破廉恥財閥相手に、その財閥会社をクビになったキム・ヒエ演じるヒロインが、清廉潔白だけど何の後ろ盾もない人権派女性弁護士を対立候補に立てて戦いを挑むという内容ですが、敵方にやられまくって、傷つきのたうち回る痛々しさも凄まじいし、それをバネにして相手をギャフンと言わせてしまう手練れ感も痛快すぎます。さらにファッション。50代になったら、こう装うべき、というお手本のオンパレード。その着こなし術は必見。
(ライター 山崎敦子)
(ライター 山崎敦子)
オム・ジョンファ (「医師チャ・ジョンスク」)
繊細な感情表現で、視聴者を虜にしたオム・ジョンファ54歳!辛いはずなのに前向きで、時折ゲラゲラ笑ってしまうセリフをさりげなく放つ、いい塩梅すぎる痛快ジョンスク役が、さすがのベテラン女優(歌手)にとてもよく合っていた。思慮深く温かく、夫役のキム・ビョンチョルよりも、若きイケメン医師役のミュージカルスター、ミン・ウヒョク(39歳)とのほうがお似合いに見えてくるチャーミングなところも良かった!
(ライター 桂まり)
(ライター 桂まり)
ステージではセクシーディーバでも、ドラマでは普通の主婦役でくたびれた顔を見せ、その変身ぶりに驚かされてしまう。健気で家族思いのジョンスクと、どんな役を演じても少女のようなはにかみを漂わせる彼女自身が重なって見えて、ヒロインの再出発を思わず応援せずにはいられなくなった。
(ライター 小田香)
(ライター 小田香)
ラ・ミラン (「良くも、悪くも、だって母親」)
本作の原題を直訳すると「悪い母」。劇中、夫を亡くし、寄る辺ないシングルマザーとして生きることになったヒロインのヨンスン(ラ・ミラン)は、原題にふさわしい、とんでもない躾を息子ガンホに次々に施します。泣き叫ぶ息子に、自らも血の涙を流しながら難題を課す母親にドン引きしつつも、目を背けることができなかったのは、ラ・ミランの類まれな演技力があったからこそ。彼女の一挙一動は「この言動には理由がある」と思わせるに十分な母子愛のリアリティーがありました。多事多難の人生を全力で生きるヨンスンと、30歳にデビューし、下積み時代も長かったラ・ミランが積み上げてきた演技経験。それらがパズルのピースようにカッチリと組み合わさって生まれた、“完璧な一枚の絵”のような役でした。名バイプレーヤーとして数多くの作品に出演してきたラ・ミランのタイトルロール(作品のタイトルになる役柄)に恥じない、彼女の代表作になったと思います。
(ライター 中川薫)
(ライター 中川薫)
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