【正しく介護認定を受けるための、7つのポイント】医師の「意見書」作成時がカギ!

介護保険を利用するには、要介護と認定してもらうための申請を自ら行うことが必須。審査にも携わるプロが、適切な要介護認定を受けるために押さえておきたいポイントを伝授!
教えてくれたかた
河北美紀さん

河北美紀さん

かわきた みき●銀行に10年勤務後、’13年、アテンドを設立し、高齢者リハビリデイサービスを開所。著書に『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)など。

1.主治医に会うときは親と同席し、ふだんの様子を正しく伝えて

要介護度の重要な判断材料になるのが、対象者の心身に関する情報。調査員が訪問して直接聞き取るほか、主治医からの意見書も参考にされる。「要介護認定は、介護を受ける本人と介護者双方からふだんの様子を聞き取るのが理想。親本人が伝え忘れたり、見栄を張って取り繕ったりする場合もあるので、子供も同席し、正しい情報を伝えて」(河北さん)。

2.本人の前で医師や調査員に伝えづらいことは「メモ」で渡すのが有効

「医師や訪問調査員に伝えたいけれど、親の前では口にしづらい内容もあるだろうと思います。そんなときはメモの活用を。『最近迷子になった』とか、『ひとりでトイレはできるけれど、床や便器を汚すようになり、あとで私が掃除している』など、サポートが必要な具体的事例や頻度を書いたメモを渡せば、意見書を書く際の参考にしてもらえます」

3.車椅子でアピールもOK!視覚で訴えよう

介護認定に必要な主治医意見書は、かかりつけ医に書いてもらうのが原則。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医療機関を受診することになる。「診察時間はせいぜい10分前後。その短い時間の間に、初めて会う医師に介護の必要性を認めてもらうには、視覚に訴えるのがおすすめ。百聞は一見にしかず、ですから」。親の歩行が安定していないなら、病院の受付で車椅子を借りて利用したり、杖を使ったりするなど、医師が目で確認できるものを活用するのがベター。「自宅や入院先の病院に来た訪問調査員に対しても、同様の方法が有効になります」

4.必要だと思う介護度をズバリ医師にいう

主治医意見書を作成する医師は、介護の専門家ではないので、対象者が、どの程度の介護を要するかは想像がつきにくい。なので、家族が必要な介護度を率直に伝えるのも手。

「『平日はデイサービスに行ってもらえると、私も仕事をやめずにすむ』とか『要介護3以上でないと介護施設に入所できない』など、具体的に要望を伝えてみましょう。そのとおりになるとはかぎりませんが、所見に『要介護3程度』といった見立てを書いてくれる医師もいます。介護認定審査会はそれを参考にするので、一助になるかもしれません」

介護保険

5.理学療法士や作業療法士と良好な関係を保つ

脳梗塞などで入院し、リハビリを受けることになれば、担当の理学療法士や作業療法士がつく。彼らは、介護認定を受ける際の頼れる存在。良好な関係を築き、自宅の間取りや部屋の状況も含め、退院後の生活について把握してもらうのが得策。「医師は主治医意見書を書く際に理学療法士や作業療法士の記録を参考にしますし、訪問調査員が病院に訪問する際、理学療法士や作業療法士が立ち会う場合もあります。そのとき、介護対象者や家族が何に困っているかを専門家としてコメントしてもらえれば、調査員に正確な情報が伝わり、認定がスムーズに進みやすくなります」

6.認知症は手間がかかったエピソードを具体的に伝える

認知症が原因で介護認定を申請する場合は、医師や調査員に、具体的なエピソードを頻度とともに伝えることが重要。「『物が見つからないといって、週に1〜2回電話がかかってくる』『買い物にいって迷子になるケースが、先月は3回あった』など、認知症が疑われる症状が出た日時や頻度、そのときの様子などを記録しておくといいでしょう。医師から認知症と診断されていなくても、認知症状があれば、介護認定の際に考慮してもらえます。暴れるなどの問題行動は、可能ならば写真や動画に撮って提示すると伝わりやすいです」

7.薬の飲み残しなど小さなことまで、面談中に伝えきる!

医師との面談や調査員の聞き取り訪問の際、介護を受ける本人に関する情報は、些細なことであっても報告を。「『高齢者なら誰にでも起こることだから』などと躊躇せず、医師や調査員に伝えてください。薬をしょっちゅう飲み忘れるといったことでも、十分介護認定の参考になります。短い時間内では伝えられないようなら、事前にメモにまとめておき、渡すというのもいいと思います」。

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