「うちの仏壇、こうしました!」仏壇に代わる新しい供養の形とは

家族が亡くなったら仏壇を用意するのは当たり前? アラフィー世代の読者に「仏壇」に関するアンケートを行ったところ、仏壇を持たないという選択をする人も増えてきていることがわかりました。今後、仏壇はどうする? 読者の体験談とともに最近の仏壇事情を専門家が解説。

【読者体験談】“仏壇じまい”する人も増加中。 「うちの仏壇、こうしました」

母が亡くなったときに母方の先祖の仏壇じまいをしました。ご住職にお祓いしていただいたのですが、それによってお仏壇がただの箱になるとのこと。先祖の位牌もたくさんありましたが、母の位牌以外は「先祖代々」としてひとつにまとめていただき、そのお寺にお預けしています。ひとり娘なのにお仏壇を守ることができず申しわけない気持ちになりましたが、ご住職から「お寺なら毎日お経をあげるので、お母さまも安堵されますよ」といっていただき、心が楽になりました。(53歳・イメージコンサルタント)

実家が大きな仏壇を購入したのは、父が亡くなったときのこと。その後、母が引っ越すことになり、スペース的な余裕がなくなったため、購入先の仏具店に相談。大きい仏壇を引き取ってもらい、小さい仏壇を購入しました。(51歳・会社員)

仏壇に代わる新しい供養の形が広まる?

祖母が亡くなったのを機に、仏壇は檀家になっているお寺で、法要のあと処分していただきました。その後は、母が実家でキャビネットの上に写真を置き、お供えをしています。すでに亡くなっていた父や母方の祖父の写真も飾っているので、少しにぎやかな雰囲気かもしれません。(51歳・医療関係)

長年母が暮らしていた集合住宅が建て替わることになり、コンパクトな家に住み替えるタイミングで、仏壇というスタイルは“卒業”しました。新居では、父や祖父母のお位牌と写真などを飾り、いつでもお線香をあげられるようにしています。(53歳・自営業)

仏壇に代わる新しい供養の形が広まる?

仏壇という形にこだわらず、 自分なりの供養を

数十年前までは、仏壇といえば、大きくて自立式の威厳漂うものが主流だった。けれど最近は、コンパクトなものやモダンなデザインなど、新しいタイプの仏壇が急速に普及。こうした変化は、「ライフスタイルが変わってきた影響でしょう」と、小谷さん。

「高度成長期以降、核家族化が急速に進みました。結婚後も親と同居している場合は先祖代々の仏壇が家にあるでしょうが、実家を出て独立しているなら仏壇がなくても不思議はありません。ただし、仏壇は故人をしのぶためのものという認識が広まっているため、身内が亡くなると仏壇を用意しなければと考える。とはいえ、都会暮らしとなれば、昔ながらの大きな仏壇を置くスペースがありませんし、インテリアにもそぐいません。そこで、現代的な仏壇が登場してきたのでしょう」


一方で、「仏壇を持たない」という選択をする人も急増。それに加え、最近は、今ある仏壇を処分する、“仏壇じまい”をする人も出てきている。

「墓じまいと同様に、その傾向は今後ますます増えると予測されます。仏壇の起源を考えればわかるとおり、仏壇は宗教と密接にかかわっているもの。仏教を信仰していないのであれば、本来必要がないものですから。近ごろは、ご本尊は置かず、遺影と位牌のみの仏壇もあるようですが、それはもはや仏壇とは呼べない気がします。そもそも、故人をしのぶかたちは、人それぞれでいいのではないでしょうか。位牌や写真を置いたり、お線香をあげたりしなくても、何かの折に故人を思い出すだけで十分、供養になっているのではないかと、私は思います」

シニア生活文化研究所所長 小谷(こたに)みどりさん

シニア生活文化研究所所長 小谷(こたに)みどりさん

’69年、大阪府生まれ。奈良女子大学大学院修了。第一生命経済研究所主席研究員を経て’19年より現職。死生学、生活設計論、葬送関連を専門に、幅広く活躍。著書に『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓 』(岩波新書)など。
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