【50代 私がやめてよかったこと】脳神経内科医 山下あきこ先生に聞く!“やめること”で脳にもたらす効果とは?

やめてよかった声は多々あれど、「実際、脳や心にいい影響はあるの?」「やめられないときはどうしたら?」についてレクチャー。“やめること”が脳にもたらす効果について、脳神経内科医 山下あきこ先生に聞いた。
脳神経内科医 山下あきこ先生

脳神経内科医 山下あきこ先生

やました あきこ●’74年、佐賀県生まれ。医学博士、マインドフルヘルス代表。栄養、運動、睡眠、脱依存などを軸にした健康法を提唱。診療のかたわら、産業医活動やYouTube動画配信も行う。最新刊は『マインドフルネスこそ最強のクスリ』(スール)。

自分と向き合って不要なものを手放すと、心身が健やかに

ストレスになる人間関係や仕事を見直す。「完璧であらねば」というこだわりや、あたりまえを手放す。こうした“やめる”を実践する効果は「思いのほか大きい」と、脳神経内科医の山下あきこ先生は話す。

「心に負担がかかった状態は、交感神経を刺激してストレスホルモンのコルチゾールを分泌します。これが長期間続くと、自律神経のバランスが乱れて不調の原因に。我慢やモヤモヤを手放せば、コルチゾールの過剰分泌が解消され、体調は改善へ向かいます」

片づけにも同様の効果が。思考の8割は視覚から誘発されるため、不要な物がないスッキリした空間で過ごすと雑念が減って脳疲労も抑えられ、心身が安定するという。「ただでさえ50代は女性ホルモンの減少で自律神経が乱れがちなうえ、仕事や家事、介護などあれこれ抱えて無理をしている人が多い現状も。やめる、捨てるを実践する価値は十分にあると思います」

やめたいのにやめられない。捨てたいのに捨てられない──。この問題は、実は脳と関連している。

「前頭葉の機能が低下した人は、執着や思い込みを手放せない傾向があります。前頭葉は加齢やデジタルツールの使いすぎで衰えるため、定期的なデジタルデトックスや脳の血流アップを促す適度な運動を心がけてください。また、瞑想は前頭葉の活性化を促すほか、幸せホルモンを増やす働きがあります。瞑想は言い換えれば、心と向き合うこと。本当に必要なものは何か、折に触れて問いかけていくことで執着を手放しやすくなり、幸福度が上がっていくでしょう」

疲れにくくなる、自己肯定感が上がるなど“やめる”効果はほかにも。心と体を整える健康法のひとつとして、トライしてみては。

“やめること”が脳にもたらす効果

1.疲れにくくなる

「人は一日に約6万回思考し、その9割が不安や心配事をリピートしているとされます。気がかりやストレスフルな人間関係を手放せばネガティブな考え事の回数が激減。脳の疲労が緩和されて疲れにくさにつながります」

2.集中力が上がる

「集中力を保つには、交感神経と副交感神経が適度に働くことが大切です。心に負担を強いる物事をやめることで緊張状態から解放されて自律神経のバランスが整い、集中力を持続させることができます」

3.自己肯定感が上がる

「不要な物や習慣、執着を手放せた達成感が自信につながり、自己肯定感がアップ。達成感は、喜びや快楽をもたらす脳内物質のドーパミンを分泌させ、もっと改善しようという意欲も高めて好循環をもたらします」

4.幸福度が上がる

「長年の習慣や思い込み、物を手放す決断の過程には、必ず自分と向き合う時間があります。本当に必要なものを選べるようになることで幸福度も上がります。無意識に抱え込んでいる物がないか、自分に問いかけてみて」

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