【50代 私がやめてよかったこと】仕事を休職して時間を自由に使う喜びを余裕を実感。作家 川内有緒さん〈インタビュー〉

あたりまえだと思っていたことをやめ、人生が前向きになった50代のエピソードを大公開。作家の川内有緒さんは、仕事を休職したことをきっかけに“手放す”ことを実現。
私はこれをやめました!
作家 川内有緒さん

作家 川内有緒さん

かわうち ありお●’72年、東京都生まれ。アートや伝統芸能、国際協力など多岐にわたるテーマでノンフィクションを中心に執筆。最新刊は『自由の丘に、小屋をつくる』(新潮社)。

「1カ月、仕事を休んで、自分に時間を使う喜びと余裕をもつ大切さが身にしみました」

取材や著書のイベントで毎月あちこちを飛びまわり、ここ2年は特に多忙だったという川内有緒さん。いわく「忙しいのは性に合っていた」が、今春、突然“燃え尽き症候群”に陥った。「急に疲れが出たのか、仕事への意欲も気力も完全に失ってしまって。ちょうど出張の波が落ち着いたときだったので、1カ月仕事を休むことにしたんです」

同じ時期、それまでずっと一緒の部屋で寝ていた9歳の娘さんがひとり部屋を欲しがり、それぞれの空間をもつことに。

「一緒に寝るのがあたりまえだったので寂しい気もしましたが、やってみたらとても快適で。自分の部屋って、こんなに落ち着くのか、と(笑)。ずっと積読(つんどく)していた本を次々に読破して、いい時間を過ごしました」

さらにそのあと、「娘が生まれてから初」という5日間のひとり旅を満喫。子育てと仕事優先で走ってきた川内さんは、思いがけず自分だけの空間と時間を手にして、仕事のやり方を改めた。「フリーランスである不安もあり、すき間を埋めるように仕事をしてきたけれど、詰め込むのはやめました。時間と心に余裕が生まれて、執筆にじっくり集中して取り組めるようになったのが収穫です。今、毎日が充実して気力も充満しています」

娘さんと部屋を分けるとき、「もういいかな」と思う家具や家電はことごとく処分したそう。

愛着のあるものも、潔く。

「いい機会だから思いきって捨てちゃえ!と。おかげで家がすごくスッキリしました」

川内さんが物事にあまり固執しないのは経歴からもわかる。20代から30代にかけて、アメリカの企業、日本の大手シンクタンク、フランスの国連本部で働き、そしてあっさりキャリアを手放してきた。

「岐路に立ったとき、その先に幸せをイメージできる道を選んできた気がします。多少大変だったとしてもワクワクする明るい道のほうが、より自分らしくいられるのかなと思っています」

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