【羽田美智子さんインタビュー】「笑う」って身近だけれども、 人生を豊かにする崇高な行為だと思います
6月2日から始まる舞台『熱海五郎一座』にゲスト出演する羽田美智子さん。20回以上の上演を重ねる軽演劇シリーズへの、初の登場となる。笑いに対する思いや、大人の人づきあい、さらには50代での新たな挑戦についても聞いた。
ファンだった舞台の“出る側”に。大先輩に背中を押され、 「新たな脱皮をしてみよう」と決意!

東京の喜劇“軽演劇”を継承すべく、伊東四朗さんを中核に据え、三宅裕司さんが座長として、出演・構成・演出を手掛ける「熱海五郎一座」。“伊東ならぬ熱海”、“四朗ならぬ五郎”という小粋なネーミングもさることながら、毎回、豪華ゲストを迎えた質の高いエンタテインメントが人気のシリーズだ。実は羽田さん自身も「大ファンの一人で、何年も劇場に足を運んでいた」のだそう。
「笑いに加え、華やかなダンスパフォーマンスやアクションもあってと、『熱海五郎一座』は完成度の高い舞台。とくに昨年は、伊東四朗さんもご出演されていた回で、ラストは涙が止まらないほど感動しました。完全にファン目線で親しんでいたから、出演のオファーには驚きと共に迷いも。伊東さんとは、長年、テレビドラマの親子役で共演をさせていただいていたこともあり、『私で大丈夫なのでしょうか』とメールでご相談したほどでした。そうしたら『今年の俺は、客席からみっちゃんの姿を観るのを楽しみにしてるよ』、『(出演・構成・演出の)三宅ちゃんは、本当に尊敬できる人だから』という内容のお返事をいただいたんです。伊東さんらしい、落ち着いた文面でしたが、そのメールにすごく励まされて。よし、憧れの舞台に挑戦してみよう! と感じました。今回のゲスト出演を機に、私自身もまたひとつ、役者として脱皮できたらいいなと思っています」
役者にとってコメディは最も難しい。 笑いとは崇高な心の動きだと思っています。
これまで数々のお芝居を経験してきた羽田さんにとって、「コメディ」、「笑い」とはどんなものなのだろうか。

「演じる上では”笑っていただく“というのは最も難しい表現だと思っています。それに私が尊敬する役者さん達は、みなさん一流のコメディアンなんです。伊東四朗さんはもちろん、生前親しくさせていただいていた野際陽子さんも『笑いの芝居を極めたい』とおっしゃっていました。『ユーモアは人を救うから』と。私も本当にそう思いますね。実は“笑う”って、人間特有の感情という説もあるみたいですよ。このタフな世の中で、愉快だな、楽しいなという方向へ意識を向けて、笑顔になれるって素晴らしいこと。考えてみると、仏像だって穏やかな笑顔をたたえていますし、笑いとは身近にありながら崇高な心の動きだと思います」
友達との大事な時間。大人の人づきあいのコツは 「シリアスになり過ぎないこと」。
そんな羽田さんが最近プライベートで大笑いしたことを聞いてみると「詳細は忘れてしまったんですけど、仲良しの友達と大爆笑した瞬間がありました」という答えが。
「彼女とは長いつきあいなんです。私とは全く違う仕事をしている人なのですが、とにかく笑いのツボが合う! 一緒にいると、何気ないことでも『面白いね』って自然と笑顔になってしまうし、これまでの思い出を振り返りながら『あの時って……』と、笑い転げることもしょっちゅうあります。よくお互いに言い合っているのは『何事も深刻になり過ぎないようにしよう!』ということ。年齢を重ねると、自分たちでも想像しなかった問題が降りかかってくることもありますよね。でも、生きている以上は仕方がないよね、って。……と言いつつ私は心配性なので、しっかり者の彼女に相談をすることも多いんですけれど」
そんな場面でも、お友達は羽田さんに対して笑顔や余裕を忘れないのだそう。
「『大丈夫よ~。あなたは今までも乗り越えてこられたでしょ?』と。シリアスになり過ぎず、だけど温かく返してくれる。するとこちらも『そうだよね~。私、心配したり、悩むのが趣味みたいなものだから(笑)』って、自然とゆったりしとした気持ちになれますよね。『本当に心配するのが好きだね(笑)』、『そう、そう(笑)』って。こうした小さな会話自体が、とてもいい息抜きになるし、ありがたいなと感じています」

50代で始めた新たな挑戦。 俳優業と同じくコツコツ育てていきたい。
そんな羽田さんが50代に入ってから新たに始めたことがある。それは、自身のECセレクトショップ『羽田甚商店』の起ち上げと運営。
「40代の頃に入院をした経験があり、当たり前のように生きているのが、実はすごいことなのかもしれないと感じたんです。同時に『やりたいことはやらなきゃ!』と思って、浮かんだのが2つ。1つは大恋愛で、もう1つはお店を始めること。ただし大恋愛は相手がいないとどうしようもないですから(笑)。ネットショップだったら、一人でも始められるかなとイメージを膨らませて……。それに実家が商売をしていたこともあり、屋号を復活させたい気持ちもありました。これまでの仕事の中で出合ってきた、日本全国のいいものを紹介できたらと、スタッフの方々の手も借りながら試行錯誤の日々です。でも焦らずに。役者の仕事と同じでコツコツと育てていければと思っています」
笑顔になれる理由は「すごくシンプルなことだらけ」。
今、50代の日々をハッピー&アグレッシブに過ごせている秘訣とは?
「自分が機嫌よくいられることが何なのか、知っておくのは大事かもしれませんね。私の場合は、心おきなくつきあえる友人と、充分な睡眠と、贅沢でなくてもいいので、おいしいご飯。本当にシンプルなんだなってことに気がつきました。でもそのシンプルなものが満たされているから笑顔の時間も増えますし、憧れの舞台出演のようなチャレンジの場も、楽しんでいけるような気がしています」
「自分が機嫌よくいられることが何なのか、知っておくのは大事かもしれませんね。私の場合は、心おきなくつきあえる友人と、充分な睡眠と、贅沢でなくてもいいので、おいしいご飯。本当にシンプルなんだなってことに気がつきました。でもそのシンプルなものが満たされているから笑顔の時間も増えますし、憧れの舞台出演のようなチャレンジの場も、楽しんでいけるような気がしています」
<公演情報>
『東京喜劇 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第11弾 黄昏のリストランテ ~復讐はラストオーダーのあとで~』
食の都・東京。その片隅にあるリストランテで腕を振るう美しき女性シェフ。各界の食通をうならせ、時の人となった彼女は、密かに復讐という目的を抱えていた。一方、リストランテに通うクールな女性セレブも、秘密を持ち、身分を潜めながら行動をする。彼女たちは互いの過去を知ることになるが――。
【ゲスト出演】羽田美智子、剛力彩芽
【出演・構成・演出】三宅裕司
【出演】渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太ほか
2025年6月2日(月)~27日(金) 新橋演舞場にて全35公演
【チケット一般発売】 3月30日(日)10:00より電話予約・Web 販売開始
【チケットに関するお問い合わせ】 チケットホン松竹 0570-000-489(10:00〜17:00)または、03-6745-0888
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【出演・構成・演出】三宅裕司
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【チケット一般発売】 3月30日(日)10:00より電話予約・Web 販売開始
【チケットに関するお問い合わせ】 チケットホン松竹 0570-000-489(10:00〜17:00)または、03-6745-0888

羽田美智子
はだ みちこ●’68年、茨城県出身。’88年に芸能界デビュー。‘94年に映画『RAMPO』のヒロイン役が注目を集め、『日本アカデミー賞』の新人俳優賞を受賞。以降、数々の映画、ドラマを中心に、バラエティや情報番組などでも活躍中。
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