「3列シートSUV」をよりラグジュアリーに!リニューアルしたボルボXC90に試乗【マダムの“ぐっとくるクルマ”試乗vol.5】

モータージャーナリストのまるも亜希子さんによる試乗体験ルポ。今回は北欧らしいおしゃれなデザインが人気のボルボの人気車種XC90です。今話題の「3列シートSUV」で、大幅改良により、さらに快適性が増したという乗り心地、試してきました!
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト

「クルマのある毎日のリアル」をイチ生活者の視点から、メディアで届けるカーライフ・ジャーナリスト。イベントのMCも務め、フレンドリーなキャラから「業界の笑い袋」の異名をとる。女性ドライバーをはじめ運転しない人にも伝わりやすい「今日からできる交通安全」をテーマに、交通安全応援ユニット「OKISHU」(オキシュー)としても活動中。2004年、2005年、サハラ砂漠ラリー完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
クルマのある生活のなかで、「3列目のシートがあったらいいのに……」と感じるシーンは思いのほか多いかもしれません。帰省したときに両親を乗せられれば移動が1台で済むし、子どもの友人たちや部活のチームメイトを一緒に乗せてあげる機会もあることでしょう。けれど、普段は自分ひとりで乗ることを考えると、ミニバンという選択肢は違う気がする……。そんな人たちに今、じわじわと注目されつつあるのが「3列シートSUV」です。
  • ボルボXC90の後部シート

  • ボルボXC90の3列シート

もちろん以前から6〜7人が乗れるSUVは存在していましたが、いかにもエマージェンシー用の薄く小さなシートだったり、タイトで圧迫感のあるスペースだったり、あまり現実的とはいえない3列目シートが多かったと思います。
それが近年、上質感のあるおしゃれなインテリアで、3列目に座る人の乗り心地や利便性を考えてつくられたSUVが増えつつあり、「これなら乗ってみたい」と心惹かれるモデルが揃ってきています。2016年に日本に導入されたボルボ・XC90もそんな心惹かれるSUV。ボディサイズは全長4.9mほど、全幅が1.9mほどと大きめなのですが、都心部でとくに人気があり、ずっと堅調な売れ行きが続いているといいます。
ボルボXC90
 そんなXC90が大幅な改良を受け、デザインやインターフェースをメインに新しくなったということで、都内をプチドライブしてきました。駐車場で初めて目にした最新XC90は、モダンで堂々とした存在感を放っていながら、どこか温かみを感じさせるのがボルボらしさ。とくに変わったのはフロントマスクとサイドから見たプロポーションで、ボルボのエンブレム「アイアンマーク」を挟んで斜めのバーが並ぶフロントグリルや、「トールハンマー」と呼ばれるヘッドライトのモチーフがとっても個性的です。ボディラインは、これまでどちらかというとタフな印象が強いカタマリ感が目立ちましたが、ボンネットなどの変更によりフロントフードからルーフラインが描かれて美しいスタイリングに感じました。
ボルボXC90Xの「トールハンマー」と呼ばれるヘッドライトのモチーフ
 XC90にはマイルドハイブリッドモデルもありますが、この日試乗したのは外部充電ができるプラグインハイブリッドの「XC90 Ultra T8 AWD Plug-in hybrid」。満充電にしておくと、最大73kmのEV走行が可能です。急速充電には対応しておらず、家庭にも設置しやすい3kWの普通充電で5〜6時間。夕方帰宅して充電ポートにつないでおけば、翌朝には問題なく充電完了する計算に。走行中はアクセルを強く踏み込まない限りはEV走行を優先してくれるので、ご近所の買い物や送り迎えはもちろん、ちょっと高速道路で遠くへ行くような時でもガソリンを使わずに帰ってくることも可能です。
プラグインハイブリッドは、インテリアに上質なファインナッパレザーが使われていて、とても洗練された空間。ボルボはバイオ素材やリサイクル素材の使用で「レザーフリー」を推進しているブランドですが、本革ならではのエイジングが自分と愛車との大切な時間の経過を刻んでくれるという側面もあるので、好ましく思う人も多いのではないでしょうか。しかもフロントシートには、パーフォレーテッド加工と内蔵ファンによる換気機能があるので、暑い日や長時間のドライブでも蒸れずに快適さを保ってくれるのも嬉しいところです。
ボルボXC90Xのフロントシート
バウワース・アンド・ウィルキンスのハイフィディリティ・オーディオシステムが装備された(オプション)室内でリラックスしながら走り出すと、出だしからスルスルとなめらか。静かでしなやかな乗り心地はSUVではなくプレミアムセダンに乗っているような感覚ですが、視線は高く遠くまで見通せて開放的です。バッテリーがボディフロア下のほぼ中央に搭載されていることや、快適性と安心感を考慮した足まわりのチューニングによって、荒々しさとは無縁。一般道でも首都高でも、おしゃべりしながらホッとできるドライブを楽しむことができました。最小回転半径が6.0mと大きめなので、狭い街中での取り回しにはちょっと気を遣うかもしれませんが、大きなディスプレイにはボタンを押すだけで周囲を映してくれるカメラ機能があるので、安全確認はしやすいはず。Google搭載なのでスマホと同じようにナビや音楽、アプリなどが使えるのも便利です。
  • ボルボXC90のディスプレイ

  • ボルボXC90のディスプレイ

気になる3列目シートは、身長170cm以下の使用を想定していて、他のどのシートとも同じ安全性が確保されているそう。まず乗り込むために2列目シートを前に倒してスライドする必要があり、その操作が少しコツと力はいるもののワンアクションでできるので、3列目へのアクセスはしやすい方だと感じました。座った後に2列目シートを自分で元に戻す操作もしやすく、足先が2列目シートの下に入るのでよく言われる「体育座り感」はあまりないですね。座面のクッションもしっかりと厚みがあり、背もたれとヘッドレストの高さも十分。2人並んで座ってみても、左右の座面の間に小物トレーが設置されていてゆとりがあり、肩がくっつくことはありません。窓が大きくとられており、ガラスルーフも標準装備で圧迫感はなし。左右の窓際にもドリンクホルダーと小物入れが設置されているので、これなら長い時間でもリラックスして乗っていられると思います。
ボルボXC90の3列シート
ボルボXC90の3列シート
ボルボXC90のサンルーフ
 そしてもうひとつ注目したいのは、4歳以上の子どもが適正にシートベルトが使用できる、つまりジュニアシートの役目を果たしてくれる機能を持つ「インテグレーテッド・チャイルド・クッション」が標準装備というところ。2列目シートの中央の座面を引き上げるだけと、簡単な操作で使用できます。家族にジュニアシートが必要な子どもがいなかったとしても、友人のお子さんを急遽乗せてあげることになったとか、お孫さんがたまに来るとか、そういう時にワンタッチで早替わりするのはすごくいいと思います。
  • ボルボXC90の3列シート

  • ボルボXC90の3列シート

またラゲッジルームは、3列目シートを使用していても機内持ち込み用スーツケースが3〜4個は入りそうなサイズ感。3列目シートはワンタッチで倒すことができるので、普段は大容量のラゲッジとして使えます。これなら、アウトドアスポーツやレジャーにも頼もしいですね。
3列シートのSUVでプラグインハイブリッド。この2つが合わさった魅力に「その手があった!」とピンときたら、XC90をぜひチェックしてみてください。
ボルボXC90の外観

ボルボ XC90 Ultra TB AWD Plug-In hybrid

ボディサイズ:4,955㎜×1,960㎜×1,775㎜

パワートレーン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ(インタークーラー付ターボチャージャー)[ガソリン]+電気モーター

燃費:13.3km/ℓ(WLTCモード)

乗車定員:7名

価格:¥12,940,000~

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