違和感が胸キュンを生む!? 主演イ・ミンホも“誤字”を疑った『相続者たち』の決めセリフ【韓国ドラマ:心に刺さる、あのセリフ vol.5】

人気韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。今回ピックアップするのは、2013年の大ヒットドラマ『相続者たち』。放送当時多くの人に衝撃を与え、一世を風靡したキラーワードを振り返ります。
韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ パク・シネ
©SBS/U-NEXTにて配信中

私たちの日常をときめきや感動で彩ってくれる韓国ドラマ。昨今の韓国ブームによって「表情管理」「花道だけ歩こう」のように、韓国由来の表現が日本でも少しずつ浸透してきて、注釈なしでも伝わる言葉が増えています。外国語に触れる楽しさや、知識・視点が増える喜びを感じられるのも海外エンタメの魅力のひとつですよね。

この連載では、韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライターが独自の視点からお届けします。

『相続者たち』

イ・ミンホ、パク・シネ、キム・ウビン、キム・ジウォン、パク・ヒョンシク、カン・ハヌル……と、豪華キャストが揃った学園ロマンス。『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』(2022-2023)で日本でも名を馳せた韓国ドラマの巨匠脚本家キム・ウンスク氏による作品です。

あらすじ

帝国グループの会長の婚外子であるタン(イ・ミンホ)は、異母兄から追い出されるようにアメリカで暮らしていた。ある日、タンはトラブルに巻き込まれていた女子高生ウンサン(パク・シネ)を助ける。数日間を共に過ごす中で2人の間に淡い恋心が芽生えるが、連絡先を交換しないままウンサンが韓国に帰国する。その後、タンも韓国に戻り、2人は帝国高校で再会する。ウンサンへの恋心が加速するタンだったが、ウンサンが自分の家の家政婦の娘であることを知り、身分の壁に直面する。

このフレーズに注目!

「나 너 좋아하냐?」(俺、お前のこと好きなのか?)

韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ
©SBS/U-NEXTにて配信中

「Do you love me?」ではありません。「Do I love you?」です。自分の感情を相手に問うって、なんだか変ですよね。しかし、「俺、お前のこと好きなのか?」というセリフは、世代を超えて通じる名セリフとして韓国では有名なんです。日本で例えるなら、木村拓哉さんの「ちょ、待てよ」くらいの浸透度と言っても過言ではないでしょう。

このセリフが登場する『相続者たち』(2013)は、セレブ高校に通う生徒たちの恋や友情、成長を描いた作品。財閥御曹司×庶民の女の子のラブロマンスは王道ですが、そこに“相続する宿命”を背負う富裕層の後継者たちの葛藤を溶かし込んだ斬新なストーリーで大反響を呼び、「相続シンドローム」と呼ばれる大ブームを巻き起こしました。

韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ パク・シネ
©SBS/U-NEXTにて配信中

戸籍上は会長夫婦の息子だけど、実は会長とその愛人の間に生まれた婚外子という秘密を抱えているタン。半ば追い出されるようにア海外留学したメリカで、偶然出会ったウンサンに一目ぼれします。複雑な家族関係によって心に傷を負い、財閥御曹司のしがらみに悩まされながらも、ウンサンに猛アタックを続けるピュアな情熱は高校生らしくもあり、その真っすぐさにグッと心をつかまれます。

ウンサンに対して超がつくほど一途なのに告白が疑問形なの? と思いますよね。「俺、お前のこと好きなのか?」が出てくるのは第2話。起承転結の「起」のパートで、すでに名セリフは生まれていたんです。

韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ パク・シネ
©SBS/U-NEXTにて配信中

出会って数日なのにウンサンのことが気になり始めるタン。ましてや、自分には親が決めた婚約者ラヘル(キム・ジウォン)もいるのに……。そんな芽生えたばかりの、これから育っていくかもわからない感情を相手に直接言ってしまう大胆さ。これがなんとも猪突猛進なタンらしい。カーブのように見えて直球なんです。

思わず「いや、知らんがな」と言い返したくなるセリフですが、タンは至って真剣。ウンサンを見つめる真っすぐな眼差しにくぎ付けになり(イ・ミンホの麗しいお顔も相まって効果100倍)、これは告白ということ!? という困惑と衝撃が今までにない形のときめきを生み、ドラマ序盤にして作品を代表する名セリフとなったのでした。

個人的な見解を申し上げると、このシーンが地元の不良っぽい人たちに突如追いかけられて映画館に逃げ込むという少々ツッコミたくなる展開になっているところもミソ。そこから一気に胸キュンモードに切り替わる緩急を、ぜひ本編で確かめてください。すごく韓国ドラマチックで、すごくキュンとします。

この名セリフ、イ・ミンホはどう思った?

韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ
©SBS/U-NEXTにて配信中

最近も第5世代アイドルのRIIZE(ライズ)がSNSで再現し、放送から10年以上が経った現在もさまざまなところでオマージュされる、まさに不朽の名セリフ。

この斬新すぎる告白について、イ・ミンホは「台本を読んだ時はタイプミスかと思いました」と振り返り、「このような告白のセリフもありえるのだと僕はなぜ考えられなかったのだろうと、とても新鮮に感じました」と語っています。

韓国ドラマ 相続者たち イ・ミンホ パク・シネ
©SBS/U-NEXTにて配信中

冒頭で触れましたが、本作は『シークレット・ガーデン』(2010)『太陽の末裔 Love Under The Sun』(2016)『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(2016-2017)など韓ドラ史に残る傑作を数多く生み出しているキム・ウンスク氏の作品。これぞドラマという壮大なラブストーリーと甘いセリフが持ち味のキム・ウンスク氏らしく、「俺、お前のこと好きなのか?」から始まったタンの恋は、物語が進むと「俺を好きになれ。俺はもうお前を好きになった」と確信に変わるんです。最初の告白が疑問形だったことが後にもしっかり効いてくるという見事なグラデーション、さすがすぎます!

悪者不在でヒーリング多めな今の韓国ドラマと比べると、ボリュームもストーリーもがっつり・どっしり・こってりで“韓流”を堪能できる本作。今や全員がトップスターとなった俳優陣のフレッシュな演技も楽しみながら、これでもかと胸キュンなセリフが繰り出される“ザ・韓国ドラマ”な世界観にどっぷり浸ってみてはいかがでしょうか。

轟 友貴

轟 友貴

K-POPアイドル、俳優にインタビューを行うフリーランスライター。学生時代からライターとして活動、韓国在住経験もあり。TOPIK6級取得。
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