「私は早くに母を亡くしたので、子どもたちとの時間を大切にしたいという気持ちはよけいに強いかも。もともと人と向き合うことが好きなので、話し合うときは長時間になることもあります。でも、いつも自分の意見が正しいと考えているわけじゃない。間違えていることもあるから、答えは子どもたちが見つけていけばいいと思っています。ただ、私と向き合った記憶は彼らに蓄積されていくはず。大人になり、父親になったときにそれをふと思い出して、のちの人生に役立つことがあるんじゃないかな。私はいろんなことを人生と結びつけて考えたがる“人生結びつけ病”なんです(笑)」
相手が年下でもフラットな関係を望む性格で、「子どもたちには人間としての姿勢を正されることもある」という亜希さん。元夫の事件後、長男が初めて登校した日もそうだった。
「いつも通り、振り返らずまっすぐに学校へ行く彼の背中を見送りながら、この後ろ姿にすべての答えがあると思い、覚悟が決まりました。今は、あの日があったから現在の自分があると言えるくらい。以前は“自分の根本は変わらない。人間はそう簡単に変わるものじゃない”と思っていましたが、この本を作ったことで、大切なものや欲しいものが確実に変わっているのがわかりました。そしてそれは、いろいろな経験の積み重ねの結果なんだな、と。だから、これから先の自分もまだまだ変わりそう。新たなスタートが待っている気がして、とても楽しみなんです」