【西島秀俊さんインタビュー】人として最大のタブー。自分なら犯せるか? 今も、答えは出ません
12月19日よりPrime Videoで独占配信中の新作ドラマ『人間標本』に出演する西島秀俊さん。本作で演じる自身の役どころについての印象のほか、今後の展望についても語る。
血を分けた肉親を手にかける。自らの目的を果たすため、人の命を犠牲にする──古今東西の神話や古典的な物語で繰り返し描かれてきた残酷なシチュエーションが、新作ドラマの中に蘇った。湊かなえ氏の小説を原作とするドラマ『人間標本』で西島秀俊さんが扮するのは、6人の少年を殺(あや)め、その死体を標本に仕立てたという生物学者・榊史朗。うち一人は、史朗自身の息子である。
「原作に接したときは、一読者として、美しい死体というモチーフや、そこにこめられた人間の業と愛の深さ、そしてどんでん返しと驚きに展開を楽しみながら読み進めました。しかし、人間がもつタブーの中で最もハードルが高いひとつである"子殺し”については、やはり簡単には想像がおよばないものでした」
孤高の芸術家であった父へのコンプレックスか。それとも、少年時代から思いを寄せてきた幼なじみへの愛か。史朗の動機を追いながら、物語は次々と変転し、やがて衝撃的な事実が突きつけられる。
「ひとりの意思や感情だけでは、とても乗り越えられない壁だと思います。史朗の背中を押したものが何だったかは最終回まで明かされませんが、それをもってしても正直、本当にできるものなのかは、僕にもわかりません。作品をご覧になるみなさんが登場人物の誰かに感情移入することで、史朗がタブーを乗り越えてしまった運命を感じてもらえればと思います」
息子役には、歌舞伎俳優・市川染五郎。ほか5人の少年のキャストは若手がオーディションで選ばれた。
「それぞれに個性があり、現場でも、僕はこういうことがやりたい、だからこんなふうに役作りしているんだと積極的に意思表示できる。同じ年代だったころの自分はまったく余裕がなかったですが、彼らはすばらしかったですね。そして、本当に好きで演じている人たちなんだと、その意欲に可能性を感じました」
世界同時配信となる本作。近年、積極的に海外プロダクションに参加している西島さんは、日本の映像作品に対する世界の評価を見聞きする機会も多い。
「特にアジア各国では、それぞれの国の作品をお互いに見ていて、影響を与え合っているという印象です。その中で『日本の映像作品には多様性がある』とよくいわれます。エンターテインメントだけでなく、アート性の強いもの、じっくり人間ドラマを描いたものなどさまざまな作品が作られていて、そこに独自性を感じると。そんな環境で若いころから自由にやらせていただけたのは、本当にありがたいことです。若い人たちにも現場でどんどん自由にやってもらいたいし、これから海外に出ていくチャンスも増えると思うので、僕が伝えられることがあれば伝えていきたいと思っています」
ドラマシリーズ『人間標本』
蝶を専門とする生物学者の告白から紐解かれる、世にも美しい標本にこめられた真実とは。息子を演じる市川染五郎は現代劇初出演。「大人っぽさと少年らしさが同居した、とてもピュアなかた」と西島さん。共演に宮沢りえ、伊東蒼ほか。12/19よりPrime Videoで全5話を独占配信。
西島 秀俊
にしじま ひでとし●’71年、東京都生まれ。’92年に俳優デビューののち、数々の映画、テレビドラマに出演し高い評価を受ける。最近の出演作に真利子哲也監督作『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』。’26年以降の公開待機作に、瀬々敬久監督作『存在のすべてを』、ヘンリー・ダナム監督作『Enemies(原題)』、ニコラス・ウィンディング・レフン監督作『Her Private Hell(原題)』がある。
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