注目したいのは「シャトー エグヴィヴ 2015」。シラーやグルナッシュなど、在来品種の果実感がエレガント。南仏品種は、ともすれば“熱っぽい味”になりがちだが、これは、どこかクールで知的な印象だ。
造り手はジェラール・ベルトラン氏。フランス・ナショナルチームで活躍した元ラガーマンで、引退後、故郷に戻り、家業に従事した。いち早くビオディナミ農法に取り組み、ラングドックの旗手とも称される。栄光を知る人間が過去にとらわれず、また新たなステージで成功を収めるには、どれだけの勇気と情熱が必要だったのだろう。正々堂々と前に進む姿は“かっこいい大人”そのもの。
この一本すじが通ったワインを楽しむなら、さっと焼いたステーキなど、シンプルな料理と一緒に。奥行きのある味が、素材本来のよさを引き立ててくれる。あるいは、少し暖かくなったら、屋外でピクニックもいい。ピュアな果実味を感じながら春の風に吹かれると、気持ちまで真新しくなれそうな予感がする。