女性作家が描くシビアでユーモラスな視点が秀逸! 「家族の問題」をつづった小説7

家族関係の変化を痛感せざるを得ないアラフィー世代。悩みは人それぞれでも、“考えさせられながら読む”小説にはそのヒントが! 最近本の世界で勢いがある家族の現実をテンポよくつづった小説から、女性作家たちのユーモラスな視点で描かれた傑作をお披露目。

女だからこそユーモラスに「家族の問題」

朝倉かすみ

家族のキャラが濃すぎるのも悩み

『乙女の家』

朝倉かすみ 新潮文庫 ¥750

78歳の曾祖母は愛する人との内縁関係を貫いた。58歳の祖母は16歳で族のヘッドの子を産んで男に逃げられた。42歳の母は理想の家庭をつくるため、平日は別居中の夫が夕食を食べにくるという形を継続中。そんな強烈な女たちの中で育つ若葉は、自分のキャラの薄さに悩み、試行錯誤していたが……。女子高生の青春を描きながら、普通の家族とは、理想的な家庭とは?と考えさせられる。

矢野帰子

アラサー、アラフォーも大変

『対岸の家事』

朱野帰子 講談社 ¥1,400

『わたし、定時で帰ります。』で人気上昇中の作者が描くのは主婦の現実。2歳の娘がいる専業主婦・詩穂は2児の母・礼子と知り合い、仕事とワンオペ育児をこなす彼女の限界に気づく。そのほかにも子供がいない医者の妻・晶子、育休中のエリート公務員・中谷など、知人たちには個々の現実と言い分が。困難な毎日でも、優しさを忘れず向き合いたいという気持ちにさせてくれる小説。

原田ひ香

節約は明るく賢くやらなくちゃ

『三千円の使いかた』

原田ひ香 中央公論新社 ¥1,500

「人は三千円の使い方で人生が決まる」と祖母の琴子にいわれた美帆は、24歳で貯金に目覚める。姉で29歳の専業主婦・真帆は、証券会社員時代の知識を生かしてプチ稼ぎに熱心。姉妹の母で55歳の智子は体調不良で将来が心配。そして琴子は73歳でパートを始め、お金の意味を再び考えるのだった。御厨家の人々の節約術は、何に価値をおき、バランスよく生きるかを考える好材料。

内館牧子

シニアの外見、そのままでいい?

『すぐ死ぬんだから』

内館牧子 講談社 ¥1,550

酒店を長男に譲り、夫と麻布のマンションで暮らすハナ。78歳の彼女は60代までは外見に気を使わなかったが、実年齢より上に見られて開眼。「外見が若くなると精神が若くなる」と自覚し、プロに相談しつつ美を保っていた。ところが夫が倒れたことで予想外の展開に。高齢者の口癖「すぐ死ぬんだから」は免罪符ではなく、努力を放棄するセルフネグレクトという作者の見解に納得!

垣谷美雨

『夫の墓には入りません』

垣谷美雨 中公文庫 ¥680

老後資金、遺品整理などリアルな問題をテーマにしている作者の人気作。結婚15年の夏葉子は夫を突然亡くしたが、実家には戻らないつもりだった。しかし義両親が彼女をあてにしていることがわかり、将来を再考することに。女性の仕事を理解できない、勝手に墓に嫁の名前を入れるなど、義両親の行動はいかにもありそうで苦笑。時に穏便に、時に過激に対抗する夏葉子に思わず拍手。

篠田節子

人生後半戦は本音が丸出し!

『肖像彫刻家』 垣谷美雨 

篠田節子 新潮社 ¥1,700

53歳バツイチの銅像職人・正道はイタリアで芸術家になることをあきらめ、八ヶ岳山麓に移住。現金収入のためさまざまな仕事を引き受けるが、「正道が作った銅像には魂が宿る」と評判になったことで思いがけない事態が続出する。娘ひとりでの介護、地方の寺の経営の裏側といった厳しい現実を直視しつつ、人間喜劇として描かれた小説。的確な視点、皮肉の切れ味はさすがベテラン!

加納朋子

子供の部活は親の犠牲が必須!?

『我ら荒野の七重奏(セプテット)

加納朋子 集英社 ¥1,500

PTA改革に挑んだキャリアウーマン陽子を描いた『七人の敵がいる』の続編。中学で陽子のひとり息子は吹奏楽部に入部。しかしそこは親のがんばりなくしては成立しない部活だった! 演奏会で使う会場のために昼夜を徹して並ぶ、親の会の主(ぬし)が権力をもつなど、陽子には納得できないことばかりで……。知る人ぞ知る“部活親の苦労”を問題提起した痛快な作品。

  • 作家・江國香織さんが描く「家族」の試練と成長とは

    家族関係の変化を痛感せざるを得ないアラフィー世代。悩みは人それぞれでも、“考えさせられながら読む”小説にはそのヒントが! 新刊で家族をめぐる物語を描いた江國さんに、小説に宿る「家族とは何なのか」についてを伺いました。

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