「『サッシカイア』は、祖父が家族の集まりのために造った特別なワインでした。それが評判を呼んで、父の代になってからワイン事業を大きくし、世界中の方々にお届けできるようになったのです。香りが華やかで、とてもエレガント。私の大好きなワインです」。そう言って、プリシラ・インチーザ・デ・ロケッタさんはやわらかな笑顔を浮かべた。現当主であるニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵の一人娘として生まれ、幼い頃から「サッシカイア」を囲む幸福な時間を体験してきた。現在はミラノで夫や子どもとともに暮らし、カンティーナ(ワイナリー)のアンバサダー役として、世界中に「サッシカイア」の魅力を伝えている。
「サッシカイア」が生まれたボルゲリの地は、彼女にとって特別な土地でもある。毎年夏休みにはここの別荘を訪れ、一族で過ごすのが楽しみだったという。自分の身近にあったファミリーのワイン。それが、“世界一の赤ワイン”称号をもつようになるとは……。
「うれしいですが、予測していませんでした(笑)」。