日本料理に合う赤を発見! カリフォルニアの新星「パウロニア」の魅力とは?【飲むんだったら、イケてるワイン/WEB特別篇】
軽やかなスタイルに進化するカリフォルニアワインのシーンにおいて、また新たなスターが誕生した。日本人醸造家の林泰久氏が造る「パウロニア」だ。その優雅さの秘密を林氏に聞いた。

「え? 赤ってこんなに日本料理に合うの?」というワインに出会ってしまった。日本人醸造家・林泰久氏がナパ・ヴァレーのセント・ヘレナで立ち上げた「ハヤシワインズ」の「パウロニア」とそのセカンドラベル「ボン・オドール」だ。どちらもカベルネ・ソーヴィニヨン100パーセントで、芳醇ながらも果実味がやわらかく、酸味もピュア。通常、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンというと、タンニンが強くグラマラスな印象のものが多いのだが、林氏のワインはとてもエレガント。なんと、鰤のお造りにも合うから驚いてしまう。合わせたのは「パウロニア2017」だが、鰤の脂がさっぱりと洗い流され、身の甘さが引き立つのだ。「鰆の二色揚げ」との相性も抜群で、「日本料理には泡か白がいちばん」という概念が吹き飛ばされてしまうほど、新鮮なマリアージュを楽しませてくれる。
-
マリアージュした料理の一例「前菜」。才巻海老や雲子フライ、鯖寿司炙り、あん肝など、「ボン・オドール」との相性は抜群。素材そのもののうまみが赤ワインのタンニンによって引き出されている。料理はグランドハイアット東京『旬房』のもの。
-
こちらは鰤の「お造り」。驚かされたのが海苔の佃煮。なんと、これが鰤と赤ワインの“仲人”。鰤の甘みを引き出し、かつてない美味を体験させてくれた。大根おろしと茗荷でさっぱりと。
-
「揚物」とはもちろん好相性! 胡麻と香味海苔の「鰆 二色揚げ」と合わせると奥行きを感じる味わいに。
-
締めの「旬房」名物のカレーうどん。これが驚くほど「パウロニア」にも「ボン・オドール」にもぴったり! スパイシーさとワインが相まって、えも言われぬおいしさ!
「ハヤシワイン」の誕生は2014年のこと。ファーストヴィンテージは2015年だが、なんと、「パウロニア2015」はイギリスの権威あるワイン誌『デキャンタ』において91点という高得点を獲得したのだ。実は、林氏は“知る人ぞ知る実力派”。映画監督のフランシス・フォード・コッポラ氏がオーナーの名門ワイナリー「イングルヌック」で14年間ワイン造りに携わってきた。「シャトー・マルゴー」の元醸造家であるフィリップ・バスコール氏がワイナリーのコンサルタントをしていたことから、彼の薫陶を受け、ともに数々の銘醸ワインを生み出してきた。独立は、「いつか自分のワイナリーを持ちたい」という夢が叶ってのことだった。

「コッポラ氏からはものづくりの情熱と細部まで大切にすることを、バスコール氏からはワインにはなによりエレガンスが大切であることを学びました。私が造りたいのは、バランスがよく、やわらかくて、食事とともに楽しめるワイン。そして、そこにナパ・ヴァレーらしいテロワールを感じていただけたらうれしいです」と林氏。
醸造家として輝かしいスタートを切った林氏だが、カリフォルニアに移住したのは、転勤がきっかけだったという。大学卒業後に就職をしたのは、なんとワインとは無縁の旅行代理店。そこでグリーンカードを取得することができ、ロサンゼルス支社に異動に。その後、カリフォルニアの支社に移ったことから、ナパ・ヴァレーのワイナリーめぐりをするようになったという。
「実は、大学時代からワインが大好きで(笑)。ナパ・ヴァレーの景色の美しさにも感動し、ここでワインの仕事をして生きていきたいと、一念発起して会社を辞めました」。
醸造家として輝かしいスタートを切った林氏だが、カリフォルニアに移住したのは、転勤がきっかけだったという。大学卒業後に就職をしたのは、なんとワインとは無縁の旅行代理店。そこでグリーンカードを取得することができ、ロサンゼルス支社に異動に。その後、カリフォルニアの支社に移ったことから、ナパ・ヴァレーのワイナリーめぐりをするようになったという。
「実は、大学時代からワインが大好きで(笑)。ナパ・ヴァレーの景色の美しさにも感動し、ここでワインの仕事をして生きていきたいと、一念発起して会社を辞めました」。

そして、みずから「イングルヌック」のドアを叩いたところ、見事に採用に。当時はナパ・ヴァレーに日本人観光客が増えたこともあり、そのホスピタリティの係として雇用されたのだという。自分の仕事を熱心に遂行しながらも、林氏は収穫などのも積極的に手伝った。その誠実で丁寧な仕事ぶりが認められ、醸造チームに迎えられるようになったのだという。
「とにかく、ワインが造りたくて仕方がなかった(笑)。醸造タンクの温度管理を任されるようになってから、ようやくいろいろなことをさせてもらえるようになりました」。
醸造タンクの温度管理は醸造の上で重要な過程だ。温度に狂いが出れば、仕込んだ果汁は台無しになる。この仕事においては、日本人ならではの細やかさと丁寧さが役立ったのではないかと、林氏は自己分析する。独立してからも、バスコール氏は林氏のワインをチェックし、意見を述べてくれるという。これも、林氏の人柄ゆえのことだろう。
「とにかく、ワインが造りたくて仕方がなかった(笑)。醸造タンクの温度管理を任されるようになってから、ようやくいろいろなことをさせてもらえるようになりました」。
醸造タンクの温度管理は醸造の上で重要な過程だ。温度に狂いが出れば、仕込んだ果汁は台無しになる。この仕事においては、日本人ならではの細やかさと丁寧さが役立ったのではないかと、林氏は自己分析する。独立してからも、バスコール氏は林氏のワインをチェックし、意見を述べてくれるという。これも、林氏の人柄ゆえのことだろう。

今、林氏が手がける品種はカベルネ・ソーヴィニヨン1種のみ。畑は0.5ヘクタールで、農家に栽培を依頼しているが、ようやく信頼関係もできて、自分が理想とするブドウを作るために意見を通すことができるようになったと笑う。
「今、『パウロニア』と『ボン・オドール』を合わせて150ケースという少量生産です。これからは、少しずつ生産量を増やして、多くの方に飲んでいただけたらと思っています。また、今後はカベルネ・フランやメルロなどのボルドー品種を栽培して、ブレンドスタイルにも挑戦してみたい。また、白ワインも造ってみたいです」と意欲を見せる。
「今、『パウロニア』と『ボン・オドール』を合わせて150ケースという少量生産です。これからは、少しずつ生産量を増やして、多くの方に飲んでいただけたらと思っています。また、今後はカベルネ・フランやメルロなどのボルドー品種を栽培して、ブレンドスタイルにも挑戦してみたい。また、白ワインも造ってみたいです」と意欲を見せる。

最後に、林氏はこんなことを話してくれた。
「サンフランシスコのレストランのオーナーソムリエの方に『和の味がするね』と言われたことがあるのですが、それが素直にうれしかった。ナパ・ヴァレーのテロワールを生かしながらも、その奥に和の精神を感じていただけたらと思っています」と笑う。
実は、「パウロニア」とは“桐”の意で、林家の家紋なのだという。まさしく、和の精神を物語るラベル。おそらく、林氏のワインには日本を愛する心までもが溶け込んでいる。日本料理に合う理由は、こんなところにもあったのだ。
「サンフランシスコのレストランのオーナーソムリエの方に『和の味がするね』と言われたことがあるのですが、それが素直にうれしかった。ナパ・ヴァレーのテロワールを生かしながらも、その奥に和の精神を感じていただけたらと思っています」と笑う。
実は、「パウロニア」とは“桐”の意で、林家の家紋なのだという。まさしく、和の精神を物語るラベル。おそらく、林氏のワインには日本を愛する心までもが溶け込んでいる。日本料理に合う理由は、こんなところにもあったのだ。


-
フラッグシップの「パウロニア 2017」。カベルネ・ソーヴィニヨン100パーセント。\18,000。カシスやブラックベリー、スパイスの香り。長期熟成のポテンシャル大。
-
セカンドラベルの「ボン・オドール 2017」。カベルネ・ソーヴィニヨン100パーセント。\9,000。ブラックチェリーとクローブのニュアンス。「パウロニア」よりもまろやかな印象。「ボン・オドール」はフランス語で「よい香り」の意。
問いあわせ=サイエスト・インターナショナル■0120-33-7658
http://the-stella.com/hayashiwines/paulownia/
http://the-stella.com/hayashiwines/paulownia/
取材・文/安齋喜美子
What's New
-
次のお休みに行きたい!大人が満足する「夏の旅」軽井沢や伊豆高原、ビーチにワイナリー
この夏、行き先に迷ったら、エクラ華組のおしゃれな旅を参考にして。木漏れ日の軽井沢、緑深い伊豆高原、潮風が心地よいビーチ、そして静かな時間が流れるワイナリー。大人だからこそ味わえる“静かな贅沢”を体験したい。感性豊かな大人たちが選ぶ、満足度の高い“夏の旅”をご紹介します。
旅行&グルメ
2025年8月17日
-
【大人が楽しむ夏のフルーツレシピ】無花果の「白ワインコンポート」&「フィグ・シャンパーニュ」で夏のアペロを満喫
大人のフルーツの楽しみを、料理家・坂田阿希子さんに教わります。無花果を使った“坂田流”「白ワインコンポート」と、そのシロップをシャンパーニュで割った「フィグ・シャンパーニュ」で、夏のアペロを満喫。
旅行&グルメ
2025年8月9日
-
【大人が楽しむ夏のフルーツレシピ】ワインにも合う!無花果を使った絶品料理レシピ
今まさに旬を迎える無花果を使ったレシピを、料理家・坂田阿希子さんに教わります。「無花果トースト」、「無花果となすのトルコ風春巻き」はどちらもワインに寄り添うおつまみとしてもおすすめ。
旅行&グルメ
2025年8月8日
-
【大人が楽しむ夏のフルーツレシピ】さわやかな「桃モヒート」と大満足の「白桃のパフェ」
料理家・坂田阿希子さんが、今まさに旬を迎える桃の楽しみ方を伝授。今回は、夏の定番カクテルに桃をプラスした「桃モヒート」、食事の締めくくりにふさわしい「白桃のパフェ」のレシピを公開!
旅行&グルメ
2025年8月7日
-
【大人が楽しむ夏のフルーツレシピ】スイーツだけじゃない!桃を使った絶品料理レシピ
今まさに旬を迎えるフルーツ、桃の楽しみを、料理家・坂田阿希子さんに教わります。今回は「白桃のセビーチェ」と「桃のガスパチョ」のレシピを伝授。この時期だけの贅沢なアペロが完成!
旅行&グルメ
2025年8月6日
Feature
-
50代におすすめの夏アイテム
人気ファッションアイテムを厳選してご紹介
-
酷暑で加速!? 大人の髪悩みをホームケア
うねって広がる大人髪をヘアマスクで柔らかくまとまる髪へ
-
読者モデル 華組のユニクロ・GUコーデ
真似したい!50代ファッションブロガーの着こなし集
-
一度は泊まりたい!高級ホテル・旅館
日常を忘れて至福のときが過ごせる極上の旅へ
-
QUOカード5,000円分プレゼント
ウェブエクラ ユーザーアンケートご協力のお願い
-
読者モデル 華組のZARAコーデ
50代はどう着こなす?ファッションブロガーコーデ集
-
大人のためのヘアスタイル・髪型カタログ
髪のお悩み解決!若々しく見えるヘアスタイル
-
50代の旅行コーデ
風通しもばっちり&涼やかな一着で快適な旅を
-
エクラ公式通販の人気アイテムランキング
もう迷わない!50代が買うべき旬の服
Ranking
-
【50代に人気のヘアスタイル・髪型カタログ】手入れが楽でおばさんぽくならない!ショート・ボブ・ミディアム・ロング別ヘアスタイル
白髪や髪のうねり、薄毛、パサつきなど40代、50代の気になる髪悩みを解消するおすすめヘアスタイルを提案。ショート、ボブ、ミディアム、ロング別ヘアスタイルから知っておきたい最新ヘアケア事情まで、おばさんぽ…
-
【おしゃれな50代愛用のユニクロTシャツ10選】着回し力抜群!どんなスタイルにも合う取り入れやすさが魅力
40代・50代からの人気を集める「ユニクロ」のTシャツ。定番から期間限定のコラボアイテムまで、さまざまなTシャツが揃っている。今回は、そんなユニクロのTシャツを使った40代・50代読者モデル・エクラ華組のコー…
-
【50代に人気のボブヘアスタイル60選】老けて見えない!ふんわりボリュームで若々しくて明るい印象に
白髪や薄毛、うねりなど40代50代の髪悩みを解消して、おばさんぽくならない今どきのボブヘアをご紹介。上品で洗練されたヘアスタイルに変えて気分も一新!
-
ホテルランチにもぴったりな一足や着こなしに鮮度をプラスする一足など50代におすすめのスニーカーはこれ!【エクラ編集部の愛用スニーカー】
スニーカーを愛用するスタッフが多いエクラ編集部。様々なスニーカーを経て今お気に入りのスニーカーは?この夏、出番の多いお気に入りの一足をスナップ!
-
【50代の白パンツコーデ5選】清潔感も爽やかさも抜群!どんなトップスにも合う万能アイテム
夏らしい爽やかな印象を与えてくれるホワイトパンツ。しかし、おしゃれ上級者向けのアイテムというイメージが強く、コーデに取り入れるのが難しいと感じることも。そこで今回は、40代・50代の読者モデル・華組&チ…
Keywords