葬送・終活ソーシャルワーカー 吉川美津子さん
大手葬儀社や仏壇・墓石販売会社勤務を経て独立。コンサルティングや人材育成、講演、執筆など幅広く活躍。著書に、『お墓の大問題』(小学館新書)、『はじめての喪主 葬儀・葬儀後マニュアル』(秀和システム)などがある。
家族中心の小規模な葬儀と認識されているものの、明確な定義はありません
上のデータでもわかるように、今や5組に2組は「家族葬」。けれど、葬儀に精通している吉川美津子さんいわく、「家族葬に、明確な定義はないんですよ」と!
「身内だけで行う葬儀は、以前からありました。それを、15年ほど前に、とある葬儀社が『家族葬』と呼ぶようになり、温かみのあるイメージから広まったといったところです。実際、家族や親族にかぎらず、親しい友人や知人が参列するケースが少なくありません。もっとも、参列者の人数はせいぜい数十人。そう考えると、家族を中心とした小規模な葬儀=家族葬と解釈できると思います」
こうした小規模な葬儀が増えてきた背景には、「高齢化」がある。「亡くなる年齢が80代、90代になると、親族や親しい友人・知人など、葬儀にお呼びすべき人も高齢になります。なかには、健康上の理由などで出向けない人も出てくるでしょう。こうした理由で、参列者が少なくなってきたのです」
家族葬と一般葬、どちらにするかは、参列者の人数をもとに決めるのが得策
喪主や参列者として心得るべきマナーも、一般葬と同様。特に指定がないかぎり、喪服を着用し、お香典の授受があると考えるのがベター。ただし、家族葬か一般葬かにかかわらず、「お香典の授受はない」「通夜振る舞いはない」という地域もあるので、その土地の風習に従うことは忘れずに。「家族葬で見送ったものの、あとでそれを知ったかたがたが、次々と弔問にいらっしゃって大変だったという話は、よく耳にします。弔問者が多く見込まれるなら、一般葬にしたほうがよいかもしれません。いずれにしても、どんなかたに声をかけるか、できれば生前のうちに家族で話し合い、ふさわしい葬儀を選んでいただきたいですね」
Q.家族葬の案内はどのようにすればいい?
A.参列を遠慮してほしくても所属先への連絡は必須
Q.家族葬で見送ったことを後日知らせる場合は?
A.故人との関係や時期によっては喪中ハガキで知らせるのも可能
Q.家族葬にすれば費用が抑えられる?
A.演出や食事、返礼品によっては高くつくケースもあります
Q.「家族葬」を掲げている葬儀社に頼むのがベスト?
A.葬儀社を選ぶ際は、必ず見積もりをとり、比較検討を
Q.参列する際、注意すべき点はある?
A.基本は一般的な葬儀と同じくマナーを心がけて
Q.参列の依頼はなかったけれど弔意を表したい
A.弔問や不祝儀を送るほかお墓にお参りするのも一案です
◆大好きな父を、私たちらしく見送ろうと家族葬に。父の好きだった花で祭壇を埋めつくし、オリジナルムービーを流し、料理も奮発するなど凝ったせいで、費用が予想の倍以上に!(55歳・主婦)
◆母の葬儀に参列していただいたのは、親戚や私の幼なじみなど、ごく身近な人25人くらい。入口に母の似顔絵のボードと、思い出の写真をたくさん入れたパネルを飾り、母が好きだった曲を流し、スクリーンに母の写真をスライドショーで投影しました。約2カ月後が誕生日だったので、ホールケーキを用意し、参列者にお祝いもしていただきました。母の白髪が増えた髪をきれいに染め、プロにメイクもしてもらい、皆さんから「若いころと変わらないくらいきれい」といっていただけたのも、うれしかったです。短い準備期間でしたが、母が喜ぶことを考え、いい葬儀ができたと思っています。ただ、心身ともに疲れている中、大量の写真を選ぶのが大変でした。費用も140万円くらいかかりました。(54歳・自営業)
◆参列者は親族がほとんどだったので、香典が高額だったし、年齢や関係によって金額に差もありました。なので、エクセルを使って、名前、住所、香典の額、お返しの品をリストにしました。お返しはデパートのカタログ商品にし、金額に応じて何パターンか用意しました。(50歳・事務職)
◆特別に部屋をとって、故人の好物を持ち寄ってお棺に入れたり、長い時間、故人を囲んでお別れしたり。集まった親族が、故人にしてあげたいと思うことを、それぞれ考えて行った家族葬です。ごく近しい親族のみの、少し一般のお通夜に似た、でも仰々しくはない、温かいものでした。お経をあげないなど、オーソドックスな式とは違ったので、参列者には「故人の強い意志です」とお伝えするマナーは必要だと思いました。(49歳・講師)
◆おいしいものが好きだった母。参列者は30人弱だったので、通夜振る舞いは、それぞれにお膳を出し、メニューも贅沢なものに。告別式のあとは、親族でよく行った中華レストランの個室で昼食をとりました。こんなふうに、食事にこだわることができたのは、事前に参列人数が把握できる家族葬だからできたことだと思います。費用はそれなりにかかりましたが、親族ばかりで、お香典もそれなりの額だったので、大きな負担はありませんでした。(53歳・会社員)
◆叔母の家族葬に参列しました。入口には、故人の思い出の品や写真などが飾られ、式が始まる前にはごあいさつの言葉とともにきれいな曲が流れていました。式の進行に合わせて、故人の素敵な写真や家族写真が映像で流れ、今までの叔母との思い出や、それまで知らなかった叔母の一面を知ることもできました。厳かに、穏やかに進んだ式が叔母らしく、素敵なお通夜、告別式だったと思います。私もこんな家族葬がいいと思いました。(48歳・フリーランス)
◆近所の犬ママ友の家族葬に参列したのですが、彼女がSMAPのファンで音楽は『世界に一つだけの花』、ライブのときに購入したうちわや、タオル、写真などがお棺のまわりに置いてありました。悲しかったけど、大好きなSMAPに送られて幸せだと思えました。(53歳・主婦)
価値観や生活様式が多様化し、情報が日々更新される中で、人付き合いやマナーの正解を見失っていませんか。身近な人間関係を円満にする心得を一緒に学び、まわりから一目置かれる、感じのいい人に!
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