『ダリダ~あまい囁き~』×「パイパー・エドシック」/フランスの歌姫の人生を彩ったのは、元祖“セレブ・シャンパーニュ”!【シネマに乾杯!vol.1】

ワインを知ると映画はもっと楽しい!エクラでもおなじみのワイン&フードジャーナリストの安齋喜美子が映画の中に登場するワインやシャンパーニュを解説!エクラ本誌でも好評だった企画が、WEB限定の連載としてスタートします!第1回目は映画『ダリダ~あまい囁き~』をご紹介!
『ダリダ~あまい囁き~』×「パイパー・エドシック」/フランスの歌姫の人生を彩ったのは、元祖“セレブ・シャンパーニュ”!【シネマに乾杯!vol.1】_1_1
©2017 BETHSABEE MUCHO‐PATHE PRODUCTION‐TF1 FILMS PRODUCTION-JOUROR CINEMA
 フランスの国民的歌手で女優のダリダ。彼女の名前は知らなくても、”パローレ”というフレーズが耳に残る「あまい囁き」は知っている人は多いのではないだろうか。アラン・ドロンとのデュエットで大ヒットし、当時は熱愛も噂された。

 映画『ダリダ~あまい囁き~』は、世界に愛された歌姫の知られざる人生を描いた作品だ。長くマネージャーとプロデューサーを務めたダリダの実弟、オルランド・ジリオッティ氏の全面協力のもとに作られているだけあって、彼女が抱えていた孤独と秘密、そして生涯真実の愛を求めた姿が細やかに描かれている。

 映画では全編を通じてダリダのヒット曲が流れるのだが、驚くのが「聞いたことがある」という曲が多いこと。「ベサメムーチョ」、「花の季節」など、'70年代の歌謡曲の空気感をまとって、どこか懐かしさを感じさせる。「数々のヒット曲の裏側にこんな物語があったなんて」と、スターであるダリダがひとりの女性として急に身近に感じられてくる。彼女が本当に欲しかったものは名声ではなく、“夫と子どもと生きる穏やかな日常”。だが、彼女の美貌と才能、そして運命がそれを許さなかった。
 映画には、随所にシャンパーニュが登場する。特に印象的なのが、ダリダを見出した音楽プロデューサー・ルシアンとの結婚式と、その1か月後に出会う恋人・ジャンがリサイタルが終わるのを待ちながらシャンパーニュと1輪のバラを用意するシーン。

 銘柄は「パイパー・エドシック ブリュット」でリンゴや洋梨のフルーティーさとブリオッシュやアーモンドなどの香ばしい香りをもつ、洗練された味わいのシャンパーニュだ。1991年からはカンヌ国際映画祭の公式サプライヤーにも選ばれ、世界のセレブレティに愛されてきた。また、時を遡れば、1789年にマリー・アントワネットに献上され、以後、愛飲されたという史実もある。まさしく正真正銘の“セレブ・シャンパーニュ”で、ダリダの人生を彩るにふさわしい。当時、パリのセレブレティの間でも絶大な人気を誇っていたから、おそらくは、ダリダ本人も何度も口にしたことだろう。アロマティックな香りが、時に彼女の気持ちを軽やかにしてくれたに違いない。

 また、映画でチェックして欲しいのがシャンパーニュグラスだ。'70年代から'80年代はクープ型とフルート型が主流で、近年は「香りが立つ」という理由からチューリップ型に移行しているが、映画は流行に忠実に時代を映している。ちなみに、クープ型は「マリー・アントワネットの乳房を模った」とも「ポンパドール夫人の乳房を模った」とも伝えられ、ここ5年ほどは「女性がもっとも美しく見えるグラス」として、人気が復活している。「首を反らすことなく飲めるから」というのがその理由だ。

 この映画は、ぜひエンドロールまで観て欲しい。「歌いつづけて」の歌詞がダリダの人生に重なり、胸を打たれる。偉大なスターであるダリダと、敬虔なカトリックで繊細な心を持つヨランダ・ジリオッティ(本名)。映画のあとで、懸命に生きた彼女に杯を掲げたくなる。シャンパーニュはもちろん「パイパー・エドシック ブリュット」。それも、女性がもっとも美しく見えるクープグラスで。
DVD ダリダ~あまい囁き~

『ダリダ~あまい囁き~』

価格 DVD¥3,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
パイパー・エドシック ブリュット

パイパー・エドシック ブリュット

フランス・シャンパーニュ地方。ピノ・ノワール50~55%、ムニエ20~25%、シャルドネ15~20%をブレンド。フレッシュな果実味としなやかな酸味。スタイリッシュで軽やかなスタイル。750ml/¥6,000
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長年「パイパー・エドシック」の最高醸造責任者として活躍したレジス・カミュ氏。現在は「パイパー・エドシック」の最高ブランド「レア・シャンパーニュ」の最高醸造責任者。ワイン業界の重鎮でもある。「もちろん、映画は観ました。素晴らしかった。あの時代、エキゾティシズムと美しさ、歓びとともに人々をダンスに誘っていましたね」。ちなみに、好きな曲は「COME PRIMA」。

■「パイパー・エドシック ブリュット」のお問い合わせ先/日本リカー ☎03-5643-9770
取材・文/安齋喜美子
ワイン&フードジャーナリスト。女性誌を中心に多くの媒体で執筆。ふだんごはんからスイーツ、星つきレストランまで幅広くカバー。映画が大好きで、登場するワインは必ずチェック。最近は海外の醸造家とオンラインでワインテイスティングの日々。
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