角田光代さんに聞く!50歳からの友だち付き合い【いる友だち、いらない友だち】

年齢や環境とともに変化する友だち関係。「独身の友だちに子どもの話をするのは申し訳ない」「子育て中の友だちに恋愛の話はできない」など、友だちとの付き合い方に悩む人も多い。そこで今回は、女性を主人公にした作品を多く執筆している作家・角田光代さんに50歳からの理想の友だち付き合いについて話を伺いました。
角田光代さん

角田光代さん

かくた みつよ●’67年、神奈川県生まれ。作家 。’05年、ふたりの女性の友情を描いた『対岸の彼女』で直木賞受賞。ほかに『八日目の蟬』など著書多数。最新刊は読書案内『物語の海を泳いで』。

「結婚、出産、子育て。人生のステージが変わると、友人関係にも変化が起こります。

だから悩みがつきないのでは」

年齢を重ねてもなぜ女友だちの悩みはつきないのだろう? 「女性の友だち関係は、環境の変化に合わせて変わってしまうことがあるからでは」と、作家の角田光代さん。

「恋人ができて結婚して、子供が生まれて……。人生のステージが変わるたびに女性の友人関係には変化が起こります。独身の友だちに子供の話ばかりしては申しわけないと思ったり、逆に独身の女性は子育てで余裕のない友だちに恋愛の話ばかりできないと気を遣ったり。変化の波に乗って敏感に“自分”というものを変えたり、友だち関係をリセットする必要があるから悩みが絶えないし、そこで柔軟性をもてないと苦しく感じるんじゃないでしょうか」

角田さん自身も30代のころ、友人との関係性の変化についていけず、悩んだことがあるという。

「多くの友人が結婚して子育て真っ最中のとき、私はほぼフリーター状態で時間があったので毎日のように友人の家を訪ね、お子さんと3人で過ごしてました。10代のころ『しょっちゅう会って深刻な話をできるのが友だちだ』と考えていて、30代になってもそのままの感覚で友人に接していたから、それが負担で離れていった人もいると思います」

30代が終わるころ、自分はどう生きたいのか、どんな友だち付き合いをしたいのかが見えてきて、友だち関係の悩みが減ったそう。

「合わない人はやっぱり合わないし、価値観や考え方の違いを感じはじめると相手のアラばかり見えてさらにつらくなります。そんなときは無理にやりとりしなくてもいいと思う。一度離れたらすべてが終わるとはかぎらないし、環境の変化でご縁が戻ることがありますから」

いる友だち いらない友だち

最近、陽の魅力をもつ人に惹かれるように

そんな角田さんが今、一緒にいたいと思える友だちって?

「話をしていて楽しいのは、自分の考えがあってそれをハッキリいえる人。できれば避けたいのが自分の意見がなくて、『どう思う?』と他人の意見ばかり聞きたがる人です。男女に関係なくみんなが仲よくしたいと思う人に共通するのは、明るく、陽の性質の持ち主であることでしょうか。暗い話でもネガティブにならずおもしろおかしく話せて、いつ見ても楽しそうにケラケラ笑っている、そういう人のまわりには人が絶えないし、私もそんな、楽しい人間になりたいなと思っています」

 
私たちは友だちの悩みからいつ解放されるのだろうか。例えば還暦を過ぎて、仕事も結婚も子育ても容貌も関係なくなれば、幼いころのように無邪気に遊ぶことができる?

「そのころはまた、孫自慢とか、老後の資金とか、人生最後の恋愛が原因でマウンティングが始まっているかもしれませんね(笑)」

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