映画館でアート! 美術ドキュメンタリー映画が続々公開予定

この1月は、肉眼以上に克明な映像で作品に迫ったり、アートの真髄に迫る良質なドキュメンタリー映画が豊作。取り上げるのは、王道かつエクラ世代に刺さる作家ばかり。今季の映画鑑賞の候補にぜひ!
先の見えないコロナ禍。名作を求めて世界の美術館を巡る旅なんて、いつできるやら……。と、ため息をついている人に朗報! 2021年の年始からアート関連映画が続々とラインナップされ、あなたの街の映画館でアートに浸るという方法があるかも。アート映画というと、画家の生涯や作品めぐるストーリーを描いた再現ドラマもあるが、今回はドキュメンタリーにフォーカスして4作品をご紹介。よりアカデミックに、より間近に作家&作品に迫れるドキュメンタリー映画は、知的好奇心の翼を広げ、縮こまっている心を解放してくれること間違いなし。
                
(1)『ルーブル美術館の夜―ダ・ヴィンチ没後500年展』(2020年/95分)

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没後500年と作品の新発見も重なって、イタリア盛期ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチが大きな話題となった2019年。ルーブル美術館では空前絶後の大規模回顧展が行われ、何と107万人が殺到(史上最多動員を記録!)した。チケットは発売されるやいなや予約殺到でプレミアがついて入手困難となり、「行きたかったのに〜!」と涙を飲んだパリっ子、アートファンが続出。そんな歴史的展覧会を、準備段階から足掛け10年以上も関わり続けたキュレーターを案内役に、じっくりたっぷり鑑賞できるのがこの映画だ。
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© Pathé Live
誰もいない真夜中の美術館で撮影された名画を、映画館のゆったりシート見られるなんて、至福以外の何ものでもなし。ふだんの美術館なら警備員に肩を叩かれそうな近距離まで、カメラはグングン近づいていく。圧倒的な映像美、大スクリーンの迫力、知らなかった事実を次々と教えてくれる名解説。その解説も多弁すぎず、映像の流れで自然と世界に入っていけるのが、映画のエンタメ感ならでは。……というわけで、ダ・ヴィンチ芸術と“本当に出会う”ためのお膳立ては、すべてここに整えられているので、あとは映画館に行くだけ!

本作品は、現在絶賛公開中! 上映館は公式サイトでご確認ください。

配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
監督: ピエール=ユベール・マルタン
制作:パテ・ライブ
広報協力:ルーブル美術館
                                    
(2)『アート・オン・スクリーン』シリーズより
『天才画家ダ・ヴィンチのすべて』/『ピカソがピカソになるまで』/
『フリーダ・カーロに魅せられて』
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あまりにも有名すぎるアート作品のあれこれも、アーティストの人生や制作背景に焦点を当てて見ると、よりヴィヴィッドな楽しみ方ができるもの。そうした美術のアナザ・ワールドを見せてくれるのが、ドキュメンタリー映画シリーズの『アート・オン・スクリーン』。そのうち、1月末から順次公開されるのが「時代を創った芸術家たちの作品とその背景」をテーマにしたこちらの3本。

『天才画家ダ・ヴィンチのすべて』 (2019年/102分)
こちらも作家の没後500年記念の映画。修行時代を含め、ダ・ヴィンチ作とされる現存のマスターピースが年代を追って見られ、作風の変遷も一目瞭然。現地ミラノに行かないと見られない『最後の晩餐』やアッセの間の天井画に加え、先述のルーブルでの展覧会に出品予定だったのに直前に中止となり、現在は行方不明ともいわれる最後の作品『サルバトール・ムンディ』さえ詳細に見られて感動必至。

『ピカソがピカソになるまで』 (2019年/91分)
美術教師だった父の影響下で技術を磨いた幼少期から、人生に苦悩し表現を模索し続けた「青の時代」、そして「バラ色の時代」など、ピカソがどのように芸術家人生を歩んでいったかに迫るもの。25歳の時に描いた傑作で、後に“現代絵画の出発点”と評価される『アヴィニョンの娘たち』にまつわるエピソードは必見。

『フリーダ・カーロに魅せられて』 (2020年/90分)
インパクトの強いセルフポートレートのシリーズのせいか、つい「知ってる」と思いがちなフリーダ・カーロの芸術。しかし、わたしたちは本当に彼女を知っていたのか? そう思わざるを得ないほど、詳細にこの稀有な女性作家を伝えてくれるのがこの映画だ。日記や書簡も紐解きながら、魅惑的で激しく、でも壊れやすいフリーダを解き明かしていく。今や『フリーダ・カーロ博物館』となった生家「青い家」ほか、臨場感たっぷりの映像で、時空を超えて旅した気分に。

1/29より順次公開。作品ごとに公開日が異なるため、スケジュールおよび上映館は公式サイトでご確認ください。

配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
文/大輪俊江
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