コロナ禍も大きく関係!?「自分は正しい」症候群はこうして生まれる【増えてます「自分は正しい」症候群】

ここ数年特に増えているように思える「自分は正しい」症候群。蔓延している理由として専門家が指摘する2つの“社会問題”とは!?

教えてくださった先生

精神科医 片田珠美さん

精神科医 片田珠美さん

大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学博士課程修了。ベストセラーになった『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)や『「自分が正義」の人に振り回されない方法』(大和書房)など著書多数。

相手を支配し、屈服させることで快感が生まれる

自分の考えが正しいと主張して譲らず、他人の意見に耳を貸さない。自分の価値観が絶対だと疑わず、それに当てはまらない人を攻撃する。なんでも他人や周囲のせいにして、“自分に非があるかも”とは考えない。自分の知識や経験はすばらしいと思い込み、上から目線で他人にダメ出しする。そんな身勝手で、ひとりよがりな困った人々が増えているのは、いったいなぜ!?

「自分は正しいと声高に主張した結果、相手がそれを受け入れてくれると、ある種の満足感や快感が得られます。その快感が忘れられず、繰り返し行うのが、『自分は正しい』症候群。そもそも人間は、相手を支配し、屈服させることで、なんらかの満足感や快感を得るものではありますが、最近特に増えているのには、2つの背景があると思います」と指摘するのは、精神科医として臨床に携わった経験をベースに、犯罪心理や心の病の構造などを分析している片田珠美さん。背景のひとつ目は、多くの人が現状に対して不満や怒りを抱いているということ。

「その最大の理由は、経済的な不安。ここ数年アベノミクスで景気が上向いたといわれながら、潤ったのは大企業や一部の富裕層だけで、多くの人は実感できずにいました。そこに新型コロナウイルスの流行がダメ押しとなり、収入減や失業など、経済的困窮に陥る人が多数出てしまった。かといって、勤務先やコロナウイルスを責めるわけにもいきません。そこで、怒りの矛先をほかの人たちに向けることで鬱憤(うっぷん)を晴らそうとしているのです」

背景の2つ目は、SNSの浸透。

「芸能人の不倫ひとつとっても、昔はここまでバッシングされませんでしたし、活動自粛に追い込まれるケースも少なかったと思います。それは、時代がおおらかだったことに加え、自分の意見を簡単に発信する手段がなかったから。ところが今は、SNSなどを利用すれば、自分自身は表に立たずとも、相手を簡単に、容赦なく攻撃できる。多くの人々が悪をたたく様が可視化できるようになったため、『それなら私も』と、自分の正義を声高に主張する人が増えたのでしょう」

ということは、「自分は正しい」症候群はまだまだ蔓延するということ!?

「それはわかりませんが、どんな時代でも一定数はいるでしょうね。本来は、そうした困った人とは距離を置き、相手にしないのが一番なのですが、親戚やご近所、仕事関係など、付き合わざるをえない相手もいると思います。しかも、どんなにがんばっても『自分は絶対正しい』と思い込んでいる相手を変えることはほぼ不可能。なので、被害を受けない、あるいは最小限にとどめるための策を、自分自身で講じることが重要です」


その第一歩は、“敵”を知ること。次回は「自分は正しい」症候群のタイプと、その精神構造を学ぶびます!

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