「それがそうでもないんです。宝塚時代はお稽古場にずっといがちでしたが、今は基本的に稽古時間が決まっていますからね。稽古以外の時間をどう使ったらいいか、余白の時間の扱い方に困っています」と苦笑いする。
ひとりの舞台人として、役や作品への向き合い方も少しずつ変わりつつある。
「宝塚時代は大人数なので、みんなで稽古してそれをまとめ上げることがまずは大事でした。でも今は、このご時世もあって稽古終わりで出演者同士ごはんには行けないし、ディスカッションできる時間も限られています。そのぶん稽古の中で、役としていかにお互い刺激し合えるか、影響し合えるかが問われていて、これがとても楽しいんです。自分でまず役を掘り下げて稽古場に持ち寄り、そこで感じたものを消化して、また翌日持ち寄るというプロセスも新鮮で。そうか、宝塚をやめたんだなあという感じがしましたね」
望海さんは6月開幕のミュージカル『ガイズ&ドールズ』に、ナイトクラブのダンサー、ミス・アデレイド役で出演。
「大好きなんです、この作品。出られるだけでうれしいのに、アデレイドをできるなんて。“本当にいいんですか?ギャンブラーその1とかその2じゃなくて?”と確認しましたもん(笑)」