築20年を経た外国人仕様のマンションはクラシカルな趣が漂い、仕上げの素材も上質。広々としたクローズドキッチンは「来客の際も、キッチンで集うことができ、リビングにいてもキッチンの気配を感じることなくくつろげるのがいい」と気に入ったポイントのひとつだった。そこで、4LDKの間取りはそのまま、必要な家具をプラスしてカスタマイズすることに。リビングのオープンシェルフをはじめ、テレビボードやダイニングのサイドボードなど、収納を兼ねた家具をアクセントに、自分たちの暮らしにふさわしい住まいに仕上げた。
壁一面のオープンシェルフをメインに、布張りのソファやパーソナルチェアが心地よさを醸し出すリビングが住まいの中心。
「スタイルにとらわれないのが信条。全身をブランドで固めるのではなく、カジュアルなアイテムやヴィンテージを加えて着こなすファッションと同様、インテリアもアレンジを楽しみながら自分らしく仕上げたい」
そう話すようにイタリアのハイブランド「ミノッティ」のソファに、大理石が美しい「フレックスフォルム」のテーブルを合わせて、ダイニングテーブルとチェアは’50年代のイタリアの会議用家具をセレクト。住みながら気に入るものを探し求め、1年がかりでコーディネートを完成させた。住まいを彩るのが敬愛するフォトグラファーの作品。本棚にも若いころから大切にしている’80年代のファッション雑誌や、影響を受けてきたシャネルの写真集を並べるなど、そこかしこにインスピレーションの源がちりばめられている。
「ブランドを始めたのも、これまでの思いを形にした結果。同じ時期に住まいをリセットしたことで、より自分の好きなものにフォーカスでき、イメージがクリアになった気がします」
多忙を極める日々で、ひとり静かにデザインを考えるのは自宅リビング。朝起きてシャワーを浴びて、テラスで鳥の声を聞きながら。静かな夜にお気に入りの写真集を開きながら。好きなものだけに囲まれた空間で、新たな発想が生まれる。