【一人暮らしの親のケア】会話をする相手がいない場合は、子供が率先して情報提供を

気になる一人暮らしの親にするべきケアを、専門家が指南。一人暮らしで会話をする相手がいない問題について、まずは真っ先にトライしたいのが、子供が情報提供をすること。
専門家がアドバイス!
特定社会保険労務士 池田直子さん

特定社会保険労務士 池田直子さん

いけだ なおこ●あおぞらコンサルティング所長。仕事と介護の両立および企業向け介護支援セミナーを実施。『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(KADOKAWA)監修。
介護作家・ブロガー 工藤広伸さん

介護作家・ブロガー 工藤広伸さん

くどう ひろのぶ●2度の介護離職を経験し、現在は、企業や自治体などでの講演や執筆活動をしつつ、母の遠距離在宅介護を続ける。著書に、『親が認知症!? 離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)ほか。
心理学博士 小野寺敦子さん

心理学博士 小野寺敦子さん

おのでら あつこ●’84年、東京都立大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授を務める。近著、『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)が話題に。

暮らしのケア編

《人付き合い》

子供からの情報提供とトライ&エラーの気持ちが大切

一人暮らし=家に会話する相手がいないということ。友人・知人が多く、習い事やサークル活動に積極的ならいいけれど、家にこもりがちで、社会とのつながりが乏しいとしたら、子供としては、いろいろ心配に。

「言語能力をキープするには、社会との接点は不可欠。外に出かけず、テレビだけが友だちという状態では、身体機能も認知機能も衰えやすくなりますし、気持ちもふさぎがちに。特に父親は、会社以外のコミュニティをもたずに生きてきた世代でしょうから、孤独に陥りやすい傾向があります」と、小野寺さん。工藤さんも、「介護が始まれば、ヘルパーさんが出入りしてくれたり、デイサービスを利用したりと、社会との接点は意外と増えるもの。介護前の今が、一番悩ましい時期かもしれません」と、指摘する。

親に社会との接点をもたせるために、子供が真っ先にトライしたいのは、情報を提供すること。

「今や、情報はネットを通じて収集する時代。裏を返せば、ネットを利用しない親は、どこで、何が行われているか知らないから、外出しないだけかもしれません。まずは、親が興味をもちそうな情報を提供することから始めてみては?」(小野寺さん)

「地域包括支援センターは、高齢者向けの行事や集まりの紹介もしています。親が気乗りしないなら、子供だけでも、情報収集をしに出かけてみるとよいと思います」(工藤さん)

もっとも、親の気持ちを無視して、強引に外出させようとするのは禁物。「外で人と交流するより、家で読書や趣味に没頭するほうが楽しいという親もいます。いろいろ紹介するのは賛成ですが、その時々の親の気分や状況に合わせ、『行っても行かなくてもよし』くらい鷹揚に構えていたほうが、親子ともに心穏やかでいられます。また、タイミングもあるので、一度紹介してうまくいかなくても、さじを投げず、トライ&エラーの気持ちで取り組んでほしいですね」(池田さん)

暮らしのケア編 人付き合い

交流の場の情報提供から介護申請まで。まずはここへ【地域包括支援センター】

医療・保健・介護・警察・消防・消費生活センターなどと連携し、高齢者の暮らしをサポートする機関。そのエリアに住む高齢者本人や、その家族など高齢者にかかわるあらゆる人が利用でき、要介護認定の申請をはじめ、高齢者に関する困り事や悩み全般に対応してもらえる。生活支援や介護予防の取り組みにも積極的で、高齢者向けのイベントやサークル活動などの紹介や見守り訪問サービスを行う市区町村も増えている。

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