女性にとっての人生の大きな節目、「閉経」。ポジティブにとらえる人もいれば、不安を抱く人もいて、その思いはさまざま。でも、正しい知識があれば恐れる必要はない。閉経後も健やかに、自分らしく生きていくヒントをお届け!
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みんなに聞いた、「閉経して、どう変わった?」
読者からの閉経後の体に対する不安の声
最近、太りやすくなりましたが、生理がなくなったら、体重増加がさらに加速しそう…。(49歳・会社員)
関節の可動域が狭くなってきて、さらに骨密度が低下したらと思うと震える。(50歳・主婦)
閉経後、体がどうなってしまうのか、漠然とした怖さがあります。(47歳・会社員)
高齢者に近づいているのだと思い知らされそう。(53歳・会社員)
なんとなく人生の終わりが遠くに見えてくるような……。女性らしさがなくなってしまうのではないかと寂しくなります。(52歳・自由業)
アンケート大調査! 読者194人のリアルボイス
閉経について、エクラ読者にアンケート調査を実施。何歳に閉経し、体や心にどんな変化があった? まずは、そのリアルな実情から。
Q1 閉経していますか?
※チームJマダム®、エクラメルマガ会員による、41歳以上の読者194人のアンケート回答より
Q2 閉経したとき、どう思いましたか?
ネガティブ派
これから起こりうるいろいろな老化が心配。(51歳・経営者)
子供は欲しかった~、という思いが強くなった。(50歳・パート)
女性としての喪失感。(59歳・会社員)
ガクンと年をとったような気持ちになった。(56歳・パート)
パートナーから求められなくなるのでは……。(48歳・会社員)
ポジティブ派
毎月の生理のわずらわしさから解放される!(58歳・自営業)
好きなときにスポーツができる。(58歳・会社員)
白いボトムをいつでもはける。(56歳・主婦)
閉経、万歳!(52歳・自営業)
旅行などの予定を考えるときに生理を気にしなくてすむ。(55歳・主婦)
Q3 何歳で閉経しましたか?
Q4 閉経後、更年期症状に変化は?
閉経前より症状が改善した 37人
閉経前と同じ症状が続いている 41人
閉経前より不調を感じる 46人
そのほか 20人
Q5 閉経後の体で一番不安なことは何ですか?(無回答を除く)
骨密度低下 49人
高血圧・動脈硬化 32人
認知力・記憶力の低下 28人
筋力低下 24人
免疫力低下 21人
尿もれ 17人
そのほか 17人
Q6 閉経後、どんな変化がありましたか?
マイナスの変化
ガクンと体力が落ちました。今までは一日に5カ所くらい用事をすませていましたが、今は一日に2〜3カ所の用事をすませるだけで疲れるように。また、週に1日は、どこにも出かけない日をつくらないと疲労困憊するようになりました。(55歳・自由業)
年齢的なものもあるとは思うが、シワなどが増えて干からびた感じになった。高血圧ぎみ。やせなくなり体重は常に人生最高値。(61歳・会社員)
コレステロール値が上がった。(55歳・主婦)
体中の潤い不足を感じます。(51歳・会社員)
ホットフラッシュで眠れなくなった。(59歳・パート)
気持ちは安定していますが、性欲をまったく感じなくなってしまいました。何かに対する情熱がなくなったと思います。(48歳・会社員)
仕事で集中力、粘りがなくなった、やる気も出ない。(51歳・会社員)
自分の健康、はたまた将来のことまで不安に思うことが増えました。しばらく悩んで復活するのですが、以前より心配性になりました。(55歳・会社員)
涙もろくなり子供の小さいころのことをよく思い出したりしてしまいます。うつになったらどうしよう、と思うときもあります。(57歳・自由業)
プラスの変化
健康を意識した生活になったせいか、全体的に体調がよくなった気がします。(56歳・パート)
生理がなくなって、貧血が改善。子宮筋腫の大きさが少しずつではあるが縮小。更年期症状の急激に暑くなるというものは続いてるが、特に支障はない。(54歳・自営業)
おりものが減った。胸が張らなくなった。(48歳・会社員)
ふさぎこんでいたのが少しだけ前向きになれた。(54歳・主婦)
クヨクヨしなくなってきた。(57歳・パート)
気持ち的にはどちらかというとすっきりしている。更年期を脱する5年後が楽しみでならない。(54歳・主婦)
気持ちが明るくなった。(52歳・主婦)
むしろ元気になった。生理を気にせずにいられて小学生のときに戻ったような晴れやかな気分です。(52歳・自営業)
閉経直後は、無気力だったり、ホットフラッシュ、眠りが浅いなどの症状があったが徐々に改善された。(54歳・公務員)
5年前のアンケート結果より、閉経年齢が上がった!?
読者の回答では閉経した人は74%、閉経年齢は52歳前後が多数。閉経の受け止め方は「生理からの解放感」から「女性としての喪失感」までさまざま。更年期症状は閉経後に改善した人もいる一方、閉経前より不調を感じている人も。不安なことは骨密度低下が断トツ。
また、注目したいのは、5年前に小誌で同様のアンケート調査を行ったときの結果より閉経年齢が2歳上がっている点。栄養状態の改善やライフスタイルの変化が関係しているのかも!?
閉経すると、どうなるの?
閉経とはどういう状態で、体にどんな変化が起きるのか正しく理解している人は意外と少ないかも? 産婦人科医の善方裕美先生が解説。
教えてくれた先生
よしかた ひろみ●よしかた産婦人科院長・横浜市立大学産婦人科客員教授。更年期の女性に対し、ホルモン補充療法、漢方薬、生活指導など多方面のアプローチで治療にあたる。著書は『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム新社)など。
閉経とは卵巣が寿命を迎え、役目を終えることです
まず、閉経とはどのような状態を指すのだろうか。善方先生にうかがった。
「閉経とは、卵巣が寿命を迎えることです。卵巣は肺や心臓のように一生働き続ける臓器ではなく、およそ50年で寿命を迎えます。すると女性ホルモンのエストロゲンが卵巣から分泌されなくなります。閉経後もエストロゲンは皮下組織や副腎などでごくわずかにつくられるため、完全にゼロになるわけではありません。ただ、卵巣から十分な量が分泌されなくなるため、体内のエストロゲンは急激に少なくなります。これが閉経です」
更年期症状が現れると、閉経が近づいていることをなんとなく予測することはできるが、正確な時期を前もって知ることはできないという。
「血液検査をすれば閉経の時期がわかると思われがちですが、40代ごろからホルモン値は大きく揺らぐため、検査のタイミングによって数値がまったく異なります。そのため、血液検査だけでは閉経の時期を判断することはできません。最後の月経から1年間、月経がこなかったときに初めて“閉経した”とわかる、あとから振り返って判断するものなのです」
閉経後は早期と後期で現れやすい症状が変わる
そして閉経後は、経過した年数によって体の状態が変化していくそう。
「厳密な医学的定義ではありませんが、閉経後5〜8年以内を閉経後早期、10年以上経過した時期を閉経後後期と呼んでいます。早期はエストロゲンが急激に減少する影響が強く出る時期で、ホットフラッシュやのぼせ、発汗、気分の落ち込み、不眠など、いわゆる更年期症状が現れやすくなります。
一方、後期になると、こうした症状が落ち着く人が増える半面、腟の萎縮による性交痛や、尿もれなどの泌尿生殖器症状、高血圧や動脈硬化、骨密度の低下などが起きやすくなります。エストロゲンによって守られていた血管や骨などに少しずつ影響が現れるこの時期は“アフター更年期”とも呼ばれ、この時期に起きる不調を、更年期障害に対し、老年期障害ということもあります」
老年期障害には、高血圧や動脈硬化、脂質代謝異常など、いわゆる生活習慣病と呼ばれるものが少なくない。
「閉経後はエストロゲンの恩恵が薄れるぶん、ふだんの生活習慣がこれまで以上に体に現れやすくなります。食事や運動などに気をつけないと、生活習慣病のリスクがぐっと上がるのです。だからこそ生活習慣の見直しが不可欠。閉経は、決して“終わり”ではなく、これまでとは違う視点で自分の体と向き合い、これからの健康を育てていく大きな節目なのです」
エストロゲンの減少による、閉経後に起こりやすい疾患の時系列
出典/本庄英雄、他:本邦におけるHRTの現状と副作用発現検討小委員会 日本産科婦人科学会雑誌2000;52:194-198改変
閉経後の体の変化
閉経後でも、5〜8年以内の早期と、10年以降の後期では体に現れやすい症状が異なる。それぞれの時期の傾向を知っておき、あらかじめ対策をして備えるのが理想的。
閉経とは
閉経とは……最終の月経より1年以上無月経
外科的閉経 : 両側卵巣を摘出した時点
早発閉経 : 40歳未満の閉経
血液データでは……
最終月経から1年間月経がこなければ閉経
月経周期や経血量の変化、更年期症状の出現は閉経が近づいたサイン。
「最終月経から1年以上月経がこなかったら閉経です。子宮を摘出していても卵巣が女性ホルモンを分泌していれば閉経ではありません。閉経を決めるのは子宮ではなく卵巣の状態です。
平均閉経年齢は50.6歳で、両側の卵巣を摘出した場合は外科的閉経、40歳未満での閉経は早発閉経といいます。血液検査では、脳から卵巣に“エストロゲンを出せ”と信号を送るFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が40mIU/㎖以上、卵巣から出るエストロゲンが10pg/㎖以下が閉経の基準。ただし数値は変わりやすいので、血液検査だけで閉経を判断することはできません」。
閉経後5~8年以内
エストロゲンの減少により更年期症状が出やすい
最後の月経から5〜8年以内が閉経後早期。更年期は閉経の前後5年を指すので、閉経後早期の大部分は更年期にあたる。
「この時期は、子宮や卵巣はまだ大きく萎縮しておらず、もとの状態を比較的保っています。エストロゲンの急激な減少によって、ホットフラッシュや異常な発汗、気分の落ち込み、不眠、イライラなどといった更年期症状が出やすくなります。
体力の個人差が大きくなる時期でもあり、20代までに蓄えた筋肉の貯金が失われていき、運動を続けてきた人とそうでない人との差が広がります。また、ホルモン補充療法(HRT)を始めるのに最適な時期で、閉経早期にHRTを始めた場合、動脈硬化の進行が抑えられたという報告もあります」。
閉経後10年以降
骨粗しょう症や生活習慣病のリスクが高まる
閉経から10年以上経過した時期が、閉経後後期。
「平均閉経年齢の約50歳から計算すると、60歳以上がこれにあたります。更年期症状は落ち着き、気持ちもゆったりと安定してきますが、かわりに、エストロゲンの恩恵が失われることによるトラブルが目立つようになります。例えば、骨が脆もろくなる骨粗しょう症のほか、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼ばれる腟の乾燥やかゆみ・痛み、尿もれなどといった症状です。
加えて、高血圧や動脈硬化、脂質代謝異常などになりやすくなり、生活習慣病のリスクが高まります。そのため、食事や運動、睡眠などの生活習慣をきちんと見直すことが、アフター更年期の健康を保つためのカギになります」。
閉経後の体と心、今からできること
閉経後の人生をより豊かなものにするには、生活習慣の見直しとともに、「心のもち方」も重要だという。そのヒントを、産婦人科医の善方裕美先生にうかがった。
閉経は“生殖からの解放”。新たなステージの幕開け
アフター更年期を健やかに過ごすために、まず整えたいのが生活習慣。
「10年後、20年後の自分をつくるのは日々の生活習慣です。特に意識したいのは食事、睡眠、運動の3つ。特別なことをする必要はありませんが、できるところから整えていきましょう」
善方先生がすすめる生活習慣の具体的なポイントは食事・睡眠・運動。健康を保つ土台となるものなのでぜひ実践を。ただし、それだけで十分ではなく、もうひとつ重要なのが“心のもち方”だという。読者アンケートでは、「女性でなくなる」「女性らしさが失われる」など、閉経をネガティブにとらえる人も。こうした思い込みは、どうしたら手放していけるだろうか。
「そもそも卵巣の寿命がたかだか50年ほどしかないのは、子孫繁栄のための臓器だからで、閉経はいわば“生殖からの解放”です。妊娠や出産という役目から解放されるだけで、女性でなくなることは生物学的にありえません。生殖機能があること=女性らしさだ、とするなら、女性を“産む道具”だと思っているのと同じことになってしまいます。
価値観が多様化した現代では“女性らしさとは何か?”という問いに対して統一された答えはなく、人それぞれに違うものでしょう。私は“きめ細かでていねい”なことではないかと思います。更年期が“荒れ狂う嵐の海”だとすれば、閉経後は“静かに月光を反射する湖”。女性ホルモンに振りまわされていた時期が終わり、人生のステージをグレードアップできるのですから、閉経は“人間として新しい自由を手に入れた記念日”だと思えばいいのです」
閉経を機にスピードをゆるめ、体を労って歩んでいこう
一方、閉経によって老いや体力の衰えを感じ、不安や悲しさを抱く読者も。
「男性は閉経がないぶん、体力さえ維持できていれば大きな変化を感じにくいですが、女性は閉経という節目で、どうしても老いを意識させられます。ただ、これは裏を返せば、これからの生き方を見つめ直す機会でもあるということ。
自分の体を愛車にたとえるなら、新車のうちは高速道路をスピードを出して飛ばし、できるだけ遠くまで行こうとしますよね。でも、長く乗り続けるためには、だんだん距離を短めにし、悪い道は避け、ていねいにメンテナンスしながら乗るようになっていくもの。今まで自分の体に鞭打って走り続けてきた人も、これからは無理をせず、体を労りながら歩んでいく時期なのです」
トップスピードで走り続けることがよいわけではなく、ギアを替える時期がきたと思えばいいと善方先生は話す。
「スピードを落としたぶん、今までは見えなかった道端の花のような小さなことに気づけるようになる。それも人生の豊かさです。年齢を重ねるごとに体は衰えても、感性や物事を察知する力は、むしろ研ぎ澄まされていく。いろいろな経験を積み重ねてきたからこその深みも出てきますし、好きなものも年齢とともに厳選されていきます。
だからこそ、アフター更年期はおもしろい。自分らしく心地よく生きるために、自分を慈しんでいきましょう。それも大切なセルフケアのひとつです」
閉経前から心がけたい生活習慣
生活習慣の中でも特に重要な食事、睡眠、運動について、どんなことを意識すればよいのかを、産婦人科医の善方裕美先生がアドバイス。今日から実践して、老年期障害を未然に防いで。
食事
タンパク質、ビタミンD&K、カルシウムを毎日の食事に
食事の基本はバランスよく食べることだが、閉経後に意識してとりたい栄養素も。
「閉経後は、骨を守るために欠かせないカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的にとりましょう。カルシウムは小魚、乳製品、緑黄色野菜や、豆腐や納豆などの大豆製品に、ビタミンDは魚やきのこ類などに多く含まれます。納豆や緑黄色野菜にはビタミンKも豊富。
また、年齢を重ねるほど不足しがちなのがタンパク質。鯖缶ならタンパク質もカルシウムもビタミンDもまとめて手軽にとれるのでおすすめ。スーパーのお総菜ですませる場合も、表示をチェックし、タンパク質やカルシウムの含有量が多いものを選ぶようにして不足分を補いましょう」
睡眠
入浴のタイミングや照明の工夫などで睡眠の質を高めて
睡眠時間と死亡率を調べた研究では、男女とも7時間睡眠の人が最も死亡率が低いという報告があるという。
「ただ、これはあくまでも目安。加齢とともに必要な睡眠時間はゆるやかに減っていきます。なにより睡眠は“質”が重要。寝る2時間ほど前に入浴すると、上がった体温が下がるタイミングで自然と眠気が訪れやすくなります。
また、眠気を誘うホルモン“メラトニン”は光の刺激が弱まると脳内で分泌される量が増える性質があるので、夜はスマホなどの強い光を避け、暖色系の暗めのムーディな明かりに。寝室だけを暗くしても寝る前に過ごしていた部屋が明るいとメラトニンは出づらいのでリビングやダイニングの照明も調整すると効果的です」。
運動
生活の中に“ながら運動”を組み込んでロコモ予防を
閉経後は筋力が低下しやすいからこそ、運動習慣をつけることが重要に。「加齢に伴い、誰でも“ロコモティブシンドローム”になりやすくなります。筋肉や関節、骨など運動器の機能が衰えて、歩く・立つといった動作がむずかしくなり、要介護のリスクが高まってしまう状態のことです。
予防するためには特に足腰の筋力を落とさないことが大切。下のようなエクササイズを取り入れるのがおすすめです。また、時間がない人は、“ながら運動”でも十分。棚の物をとるときにゆっくり背伸びをしたり、下に置いた物をとるときにスクワットをしたり、階段を上るときに足を少し高めに上げたりといった動きを取り入れるだけでも効果的です」。
毎日この2つだけでも!
骨盤底筋を鍛えるエクササイズ
背すじを伸ばして立ち、かかとをつけてつま先は開く。息を吐きながらかかとを上げて10秒キープし、かかとを下ろす。これを10回。棚の物をとるときなどに行うのも◎。骨盤底筋が鍛えられ、尿もれ予防にも。
下肢筋力をつけるエクササイズ
脚を肩幅程度に開いて立ち、おしりを後ろに引きながら2〜3秒かけてゆっくり膝を曲げる。膝がつま先より前に出ないように注意。次にゆっくりもとに戻す。これを5〜6回で1セットとし、一日3セットほど行って。
閉経後トラブルの治療、最前線
近年、閉経後に起きやすい症状への治療は進化し、その選択肢は着実に増えてきている。そこで、最新の治療事情をピックアップしてご紹介。
Topic 1:HRT(ホルモン補充療法)は、老年期障害の予防にも有効
更年期治療の第一選択がHRTだが、読者の中では実施者は少数。これは正しく知られていないことも一因かもしれない。
「HRTは減少したエストロゲンを補充する方法。子宮摘出後のかたを除き、子宮体がんのリスクを防ぐため、黄体ホルモンも服用が必要です。飲み薬、貼(は)り薬、塗り薬の3種類があり、さまざまな更年期症状の改善に効果があります。また、新たに登場した天然型の黄体ホルモンは、眠りの質の向上にも効果が。つらい症状があるなら我慢せず、検討してみましょう」(善方先生、以下同)
さらにHRTは、将来の病気予防のために行うという選択肢も。
「エストロゲンを補うことで骨や血管の老化を予防できます。骨粗しょう症など閉経後に増える病気の予防につながるので、更年期症状がなくてもヘルスケア目的でHRTを行うかたもいます」
また、読者からは、閉経後からでも始められるのか、何歳まで続ければいいのかといった疑問の声が多い。
「HRTは閉経後10年以内、60歳未満で始めるように推奨されています。それ以降は血栓症のリスクが高まるので、閉経後早めに始めるのがベター。
何歳まで続けるかに関しては、ガイドラインには明確な期限は示されていません。更年期症状が治まったらやめてもかまいませんし、調子がよければそのまま続けても大丈夫です。実際に70代でも続けているかたもいます。最近は、医師と患者さんが一緒に治療方針を考えていく“Shared Decision Making(シェアードディシジョンメイキング)”という考え方が主流になっています。主治医とよく相談しながら、決めていきましょう」
読者アンケート結果より
※チームJマダム®、エクラメルマガ会員による、41歳以上の読者194人のアンケート回答より
現在、HRT(ホルモン補充療法)をしていますか?
現在HRTの効果を実感していますか?
グラフを見ると、HRTを閉経前から続けている人も、閉経後に始めた人もごくわずかで、HRTをしたことがない人が圧倒的多数。一方で、実際にHRTを行った人に効果実感を聞いてみると「はい」が「いいえ」を上回り、特に「ホットフラッシュが治まった」と答えた人が多かった。
Topic 2:更年期3大漢方以外にも、メンタルケアに役立つこんな漢方が
更年期症状には漢方薬も効果を発揮する。
「冷えやむくみには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、イライラや不安には加味逍遙散(かみしょうようさん)、のぼせやほてりには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がよく用いられ、これらは更年期の3大漢方と呼ばれます。
ただ、更年期症状に有効な漢方薬はこの3つだけではありません。実際には多くの種類があり、選ぶ種類を替えることで症状が改善することも。特に心の不調に用いられる漢方薬は多数。症状を医師に詳しく伝え、自分に合うものを処方してもらいましょう」。
症状別 更年期によく用いられる漢方薬
Topic 3:腟の乾燥、性交痛にはエストロゲンの腟剤も選択肢のひとつ
膣の乾燥や性交痛などのGSMには腟剤が有効。
「閉経後は腟が萎縮し、乾燥や灼熱感、性交痛が生じやすく、この場合、腟に挿入するエストロゲンの薬が効果的。エストロゲンの中でも弱いタイプのエストリオールという成分で、子宮体がんのリスクがほとんどないため黄体ホルモンの併用も不要。症状がつらいときだけ使えば十分です。ただ、尿失禁や腟のゆるみにはあまり効果はなく、それらには腟内レーザー照射という選択肢もあります。いずれも婦人科で相談を」。
Topic 4:GSM対策にも効果的!? 腟内フローラに注目を
腸内フローラは知られているが、腟内にも細菌の集まり=腟内フローラがある。
「更年期以降は女性ホルモンの減少に伴い、腟内の善玉菌である乳酸桿(かん)菌(ラクトバチルス)が減少してバランスが乱れ、乾燥や臭いなどのトラブルの一因に。サプリメントをうまく活用して腟内フローラを整えるのもおすすめ」。
編集部のおすすめ
女性のためのデリケートケア・サプリメント「フェミフローラ」
腟内の調子を整えるラクトバチルス属の「GR-1」「RC-14」を含む「乳酸菌UREX®」を配合。フェミニンゾーンのトラブルをケアする。機能性表示食品。
60粒入り(30日分)¥5,400/わかもと製薬
Topic 5:進化しています! 骨粗しょう症予防の注射薬
近年、骨粗しょう症の治療が進化。
「これまでは骨が壊れるのを抑える骨吸収抑制薬が中心でしたが、最近は骨をつくる働きを高める注射薬(骨形成促進薬)も登場。骨折リスクの高い人には積極的に用いられ、短期間で骨密度を高めることが期待できます。更年期以降は骨密度検査を受け、必要に応じて早めに治療を始めて骨粗しょう症予防を」。
Topic 6:ついに認可目前!? 非ホルモン製剤の新薬が登場!
更年期のホットフラッシュの治療薬として、今後1〜2年ほどで非ホルモン製剤が認可される見込みだという。
「脳の体温調節にかかわる仕組みに働きかける『フェゾリネタント』という薬で、ホットフラッシュや寝汗などの血管運動神経症状に有効。ホルモン製剤を避けたい人の新たな選択肢として期待されています」。
女性にとっての人生の大きな節目、「閉経」。ポジティブにとらえる人もいれば、不安を抱く人もいて、その思いはさまざま。閉経を迎えた際「心配事がひとつ減って心が軽くなった」と語るモデル・松本孝美さんに、閉経の受け止めかたや更年期を乗り越えた経験談、そして“今だからやってみたいこと”についてお話を伺った。
先輩に聞きました!私の“閉経後”ストーリー
閉経したとわかったときは、「さよなら!」と清々しい気持ちに。心配事がひとつ減って心が軽くなった
閉経は45歳。さまざまな更年期症状が現れたことも
モデル、タレントとして活躍する一方、“50代からの人生を楽しもう!”をテーマに情報を発信するユニット『大人の女史会』のメンバーでもある松本孝美さん。閉経を迎えたときは、どのように受け止めたのだろうか。
「閉経したのは45歳のころ。私の場合は、生理の量が少しずつ減って、そのまま自然に終わっていきました。閉経したとわかったときは、スッキリさっぱり(笑)。寂しさはまったくなく、“さよなら!”という感じでした。
閉経前は撮影と生理がなるべく重ならないように気を使うこともあったけれど、もう気にしなくていい。ナプキンを持ち歩かなくていいし、白いパンツも心おきなくはける。心配事がひとつ減って気持ちが軽くなりました」
一方で、振り返ってみると更年期にはさまざまな体の変化があったという。
「一番つらかったのはむくみでした。足が痛いくらいむくんで、かかとや足の裏まで痛くなって。ほかにも、肌がすごく乾燥したり、肩が上がらなくなったり、ばね指になったり。急にやる気が全然出なくなったことも。今思えば、更年期症状だったんですよね」
そんな症状を改善するためにさまざまな工夫を重ねたという松本さん。
「当時は今のように更年期に関する情報はほとんどなく、病院へ行くという発想もありませんでした。なので、対策はセルフケアが中心。むくみをなんとかしたくて、毎日1万歩は歩くようにしたり、漢方薬を飲んだり。私にはこの2つがよく効きました。
ほかの症状には、大豆イソフラボンをとるために豆乳を飲んだり、玄米中心の食生活を試したりもしました。やってみたら、“生活習慣で体は変わるんだな”ということを実感しましたね」
そのせいか、つらい症状があったにもかかわらず、更年期そのものにネガティブな印象は残っていないという。
「まわりの更年期を経験したかたがたから“いつかは終わるよ”といわれていたので、“この症状がずっと続くわけじゃない”と思えたんですよね。そして不思議なもので、過ぎてしまえば忘れちゃうもの(笑)。今お話しするまで、あんなに大変だったこともすっかり忘れちゃっていたくらいです(笑)」
不調があってもクイズ感覚で解決策を探るタイプ。だから前向きに乗り越えられました
体の衰えは必ず訪れるもの。少し先を想像して備えたい
何か困ったことが起きても、自分で解決策を見つけること自体を楽しむ。それが松本さん流のようだ。
「私は昔から“どうしたらもっとよくなるんだろう”って考えるのが好きなんです。更年期症状も“どうしたら改善するかな”と考える。私にとってはクイズに答えるみたいなものなんです。ひとつずつ解決策を考えて答え合わせをしていく感じ。そうすると、ただ悩んでいるより楽しいんです」
変化を柔軟に受け止める姿勢は、日日の暮らしの中にも表れている。
「父が亡くなったあと、家に紙おむつが残っていたんですが、“いつか自分も使う日がくるかもしれない”と思って、一度はいてみたんです(笑)。そうしたら“こんな感じなんだ”と体感できて。体の衰えは自分にも必ず訪れるから、“そうなったらどうすればいいか”を元気なうちに考えたり、試したりしておく。少し先の自分を想像して心づもりができていれば、いざというときも不安にならずにすみますよね」
閉経後は、肩の力が抜け、手放したことで気づいた心地よさもあるという。そのひとつが“白髪染め”。
「白髪を隠すのではなく、ハイライトで生かすスタイルに変えたら、美容院へ通う回数が減って楽になったばかりか、髪色が明るくなったことで今まで着なかった色の服も楽しめるようになりました。年齢を重ねるって、失うことばかりじゃないんだなって思います」
軽やかになった今だからこそ新たに挑戦したいことも
そんな松本さんには、今後挑戦してみたいこともあるそう。
「更年期のころ、肩が上がらなくてTシャツを着るのも大変だったことがありました。その経験から、年齢や体の変化に関係なく楽に着ることができて、おしゃれな服があったらいいのにと思うようになったんです。体が変化してもおしゃれをあきらめなくていい服は、きっと必要な人がたくさんいるはず。そんな服づくりにも挑戦したいですね」
最後に、これから閉経を迎える人たちへ、こんなエールを送ってくれた。
「閉経って言葉の響きが少し寂しいですよね。でも実際には、生理がなくなるだけで人生が終わるわけではありません。更年期にはつらい症状もありますが、今は情報も治療法も増えています。だから必要以上に不安にならなくて大丈夫。この先にもきっと新しい楽しみが待っています。焦らず、自分らしく年齢を重ねていきましょう」
まつもと たかみ●’65年、大阪府生まれ。モデル・タレント。’86年、全日空沖縄キャンペーンモデルとしてデビュー。野宮真貴さん、渡辺満里奈さんとのユニット『大人の女史会』では、「50代からの人生を楽しもう!」をテーマに情報を発信、『週刊文春WOMAN』で「大人の女史会へようこそ。」を好評連載中。「大人世代あるある」を盛り込んだ商品プロデュースも手がけている。
https://www.felissimo.co.jp/niau/37736/?iid=fg_detail_OTONAJOSHIKAI
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/AYA(TRIVAL) 取材・原文/和田美穂 イラスト/正田えり子(asterisk-agency) ※エクラ2026年10月号掲載