「閉経」すると体にどんな変化が起きる? 閉経後でも、5〜8年以内の早期と、10年以降の後期では体に現れやすい症状が異なる。それぞれの時期の傾向を知っておき、あらかじめ対策をして備えるのが理想的。産婦人科医の善方裕美先生が解説。
教えてくれた先生
よしかた ひろみ●よしかた産婦人科院長・横浜市立大学産婦人科客員教授。更年期の女性に対し、ホルモン補充療法、漢方薬、生活指導など多方面のアプローチで治療にあたる。著書は『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム新社)など。
閉経とは
閉経とは……最終の月経より1年以上無月経
外科的閉経 : 両側卵巣を摘出した時点
早発閉経 : 40歳未満の閉経
血液データでは……
最終月経から1年間月経がこなければ閉経
月経周期や経血量の変化、更年期症状の出現は閉経が近づいたサイン。
「最終月経から1年以上月経がこなかったら閉経です。子宮を摘出していても卵巣が女性ホルモンを分泌していれば閉経ではありません。閉経を決めるのは子宮ではなく卵巣の状態です。
平均閉経年齢は50.6歳で、両側の卵巣を摘出した場合は外科的閉経、40歳未満での閉経は早発閉経といいます。血液検査では、脳から卵巣に“エストロゲンを出せ”と信号を送るFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が40mIU/㎖以上、卵巣から出るエストロゲンが10pg/㎖以下が閉経の基準。ただし数値は変わりやすいので、血液検査だけで閉経を判断することはできません」。
閉経後5~8年以内
エストロゲンの減少により更年期症状が出やすい
最後の月経から5〜8年以内が閉経後早期。更年期は閉経の前後5年を指すので、閉経後早期の大部分は更年期にあたる。
「この時期は、子宮や卵巣はまだ大きく萎縮しておらず、もとの状態を比較的保っています。エストロゲンの急激な減少によって、ホットフラッシュや異常な発汗、気分の落ち込み、不眠、イライラなどといった更年期症状が出やすくなります。
体力の個人差が大きくなる時期でもあり、20代までに蓄えた筋肉の貯金が失われていき、運動を続けてきた人とそうでない人との差が広がります。また、ホルモン補充療法(HRT)を始めるのに最適な時期で、閉経早期にHRTを始めた場合、動脈硬化の進行が抑えられたという報告もあります」。
閉経後10年以降
骨粗しょう症や生活習慣病のリスクが高まる
閉経から10年以上経過した時期が、閉経後後期。
「平均閉経年齢の約50歳から計算すると、60歳以上がこれにあたります。更年期症状は落ち着き、気持ちもゆったりと安定してきますが、かわりに、エストロゲンの恩恵が失われることによるトラブルが目立つようになります。例えば、骨が脆もろくなる骨粗しょう症のほか、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼ばれる腟の乾燥やかゆみ・痛み、尿もれなどといった症状です。
加えて、高血圧や動脈硬化、脂質代謝異常などになりやすくなり、生活習慣病のリスクが高まります。そのため、食事や運動、睡眠などの生活習慣をきちんと見直すことが、アフター更年期の健康を保つためのカギになります」。
取材・原文/和田美穂 イラスト/正田えり子(asterisk-agency) ※エクラ2026年10月号掲載