女性にとっての人生の大きな節目、「閉経」。ポジティブにとらえる人もいれば、不安を抱く人もいて、その思いはさまざま。閉経を迎えた際「心配事がひとつ減って心が軽くなった」と語るモデル・松本孝美さんに、閉経の受け止めかたや更年期を乗り越えた経験談、そして“今だからやってみたいこと”についてお話を伺った。
閉経したとわかったときは、「さよなら!」と清々しい気持ちに。心配事がひとつ減って心が軽くなった
閉経は45歳。さまざまな更年期症状が現れたことも
モデル、タレントとして活躍する一方、“50代からの人生を楽しもう!”をテーマに情報を発信するユニット『大人の女史会』のメンバーでもある松本孝美さん。閉経を迎えたときは、どのように受け止めたのだろうか。
「閉経したのは45歳のころ。私の場合は、生理の量が少しずつ減って、そのまま自然に終わっていきました。閉経したとわかったときは、スッキリさっぱり(笑)。寂しさはまったくなく、“さよなら!”という感じでした。
閉経前は撮影と生理がなるべく重ならないように気を使うこともあったけれど、もう気にしなくていい。ナプキンを持ち歩かなくていいし、白いパンツも心おきなくはける。心配事がひとつ減って気持ちが軽くなりました」
一方で、振り返ってみると更年期にはさまざまな体の変化があったという。
「一番つらかったのはむくみでした。足が痛いくらいむくんで、かかとや足の裏まで痛くなって。ほかにも、肌がすごく乾燥したり、肩が上がらなくなったり、ばね指になったり。急にやる気が全然出なくなったことも。今思えば、更年期症状だったんですよね」
そんな症状を改善するためにさまざまな工夫を重ねたという松本さん。
「当時は今のように更年期に関する情報はほとんどなく、病院へ行くという発想もありませんでした。なので、対策はセルフケアが中心。むくみをなんとかしたくて、毎日1万歩は歩くようにしたり、漢方薬を飲んだり。私にはこの2つがよく効きました。
ほかの症状には、大豆イソフラボンをとるために豆乳を飲んだり、玄米中心の食生活を試したりもしました。やってみたら、“生活習慣で体は変わるんだな”ということを実感しましたね」
そのせいか、つらい症状があったにもかかわらず、更年期そのものにネガティブな印象は残っていないという。
「まわりの更年期を経験したかたがたから“いつかは終わるよ”といわれていたので、“この症状がずっと続くわけじゃない”と思えたんですよね。そして不思議なもので、過ぎてしまえば忘れちゃうもの(笑)。今お話しするまで、あんなに大変だったこともすっかり忘れちゃっていたくらいです(笑)」
不調があってもクイズ感覚で解決策を探るタイプ。だから前向きに乗り越えられました
体の衰えは必ず訪れるもの。少し先を想像して備えたい
何か困ったことが起きても、自分で解決策を見つけること自体を楽しむ。それが松本さん流のようだ。
「私は昔から“どうしたらもっとよくなるんだろう”って考えるのが好きなんです。更年期症状も“どうしたら改善するかな”と考える。私にとってはクイズに答えるみたいなものなんです。ひとつずつ解決策を考えて答え合わせをしていく感じ。そうすると、ただ悩んでいるより楽しいんです」
変化を柔軟に受け止める姿勢は、日日の暮らしの中にも表れている。
「父が亡くなったあと、家に紙おむつが残っていたんですが、“いつか自分も使う日がくるかもしれない”と思って、一度はいてみたんです(笑)。そうしたら“こんな感じなんだ”と体感できて。体の衰えは自分にも必ず訪れるから、“そうなったらどうすればいいか”を元気なうちに考えたり、試したりしておく。少し先の自分を想像して心づもりができていれば、いざというときも不安にならずにすみますよね」
閉経後は、肩の力が抜け、手放したことで気づいた心地よさもあるという。そのひとつが“白髪染め”。
「白髪を隠すのではなく、ハイライトで生かすスタイルに変えたら、美容院へ通う回数が減って楽になったばかりか、髪色が明るくなったことで今まで着なかった色の服も楽しめるようになりました。年齢を重ねるって、失うことばかりじゃないんだなって思います」
軽やかになった今だからこそ新たに挑戦したいことも
そんな松本さんには、今後挑戦してみたいこともあるそう。
「更年期のころ、肩が上がらなくてTシャツを着るのも大変だったことがありました。その経験から、年齢や体の変化に関係なく楽に着ることができて、おしゃれな服があったらいいのにと思うようになったんです。体が変化してもおしゃれをあきらめなくていい服は、きっと必要な人がたくさんいるはず。そんな服づくりにも挑戦したいですね」
最後に、これから閉経を迎える人たちへ、こんなエールを送ってくれた。
「閉経って言葉の響きが少し寂しいですよね。でも実際には、生理がなくなるだけで人生が終わるわけではありません。更年期にはつらい症状もありますが、今は情報も治療法も増えています。だから必要以上に不安にならなくて大丈夫。この先にもきっと新しい楽しみが待っています。焦らず、自分らしく年齢を重ねていきましょう」
まつもと たかみ●’65年、大阪府生まれ。モデル・タレント。’86年、全日空沖縄キャンペーンモデルとしてデビュー。野宮真貴さん、渡辺満里奈さんとのユニット『大人の女史会』では、「50代からの人生を楽しもう!」をテーマに情報を発信、『週刊文春WOMAN』で「大人の女史会へようこそ。」を好評連載中。「大人世代あるある」を盛り込んだ商品プロデュースも手がけている。
https://www.felissimo.co.jp/niau/37736/?iid=fg_detail_OTONAJOSHIKAI
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/AYA(TRIVAL) 取材・原文/和田美穂 ※エクラ2026年10月号掲載