女性にとっての人生の大きな節目、「閉経」。閉経後の人生をより豊かなものにするには、生活習慣の見直しを。中でも特に重要な食事、睡眠、運動について、どんなことを意識すればよいのかを、産婦人科医の善方裕美先生がアドバイス。今日から実践して、老年期障害を未然に防いで。
教えてくれた先生
よしかた ひろみ●よしかた産婦人科院長・横浜市立大学産婦人科客員教授。更年期の女性に対し、ホルモン補充療法、漢方薬、生活指導など多方面のアプローチで治療にあたる。著書は『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム新社)など。
食事
タンパク質、ビタミンD&K、カルシウムを毎日の食事に
食事の基本はバランスよく食べることだが、閉経後に意識してとりたい栄養素も。
「閉経後は、骨を守るために欠かせないカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的にとりましょう。カルシウムは小魚、乳製品、緑黄色野菜や、豆腐や納豆などの大豆製品に、ビタミンDは魚やきのこ類などに多く含まれます。納豆や緑黄色野菜にはビタミンKも豊富。
また、年齢を重ねるほど不足しがちなのがタンパク質。鯖缶ならタンパク質もカルシウムもビタミンDもまとめて手軽にとれるのでおすすめ。スーパーのお総菜ですませる場合も、表示をチェックし、タンパク質やカルシウムの含有量が多いものを選ぶようにして不足分を補いましょう」
睡眠
入浴のタイミングや照明の工夫などで睡眠の質を高めて
睡眠時間と死亡率を調べた研究では、男女とも7時間睡眠の人が最も死亡率が低いという報告があるという。
「ただ、これはあくまでも目安。加齢とともに必要な睡眠時間はゆるやかに減っていきます。なにより睡眠は“質”が重要。寝る2時間ほど前に入浴すると、上がった体温が下がるタイミングで自然と眠気が訪れやすくなります。
また、眠気を誘うホルモン“メラトニン”は光の刺激が弱まると脳内で分泌される量が増える性質があるので、夜はスマホなどの強い光を避け、暖色系の暗めのムーディな明かりに。寝室だけを暗くしても寝る前に過ごしていた部屋が明るいとメラトニンは出づらいのでリビングやダイニングの照明も調整すると効果的です」。
運動
生活の中に“ながら運動”を組み込んでロコモ予防を
閉経後は筋力が低下しやすいからこそ、運動習慣をつけることが重要に。「加齢に伴い、誰でも“ロコモティブシンドローム”になりやすくなります。筋肉や関節、骨など運動器の機能が衰えて、歩く・立つといった動作がむずかしくなり、要介護のリスクが高まってしまう状態のことです。
予防するためには特に足腰の筋力を落とさないことが大切。下のようなエクササイズを取り入れるのがおすすめです。また、時間がない人は、“ながら運動”でも十分。棚の物をとるときにゆっくり背伸びをしたり、下に置いた物をとるときにスクワットをしたり、階段を上るときに足を少し高めに上げたりといった動きを取り入れるだけでも効果的です」。
毎日この2つだけでも!
骨盤底筋を鍛えるエクササイズ
背すじを伸ばして立ち、かかとをつけてつま先は開く。息を吐きながらかかとを上げて10秒キープし、かかとを下ろす。これを10回。棚の物をとるときなどに行うのも◎。骨盤底筋が鍛えられ、尿もれ予防にも。
下肢筋力をつけるエクササイズ
脚を肩幅程度に開いて立ち、おしりを後ろに引きながら2〜3秒かけてゆっくり膝を曲げる。膝がつま先より前に出ないように注意。次にゆっくりもとに戻す。これを5〜6回で1セットとし、一日3セットほど行って。
取材・原文/和田美穂 イラスト/正田えり子(asterisk-agency) ※エクラ2026年10月号掲載