女性にとっての人生の大きな節目、「閉経」。近年、閉経後に起きやすい症状への治療は進化し、その選択肢は着実に増えてきている。そこで、最新の治療事情をピックアップしてご紹介。
教えてくれた先生
よしかた ひろみ●よしかた産婦人科院長・横浜市立大学産婦人科客員教授。更年期の女性に対し、ホルモン補充療法、漢方薬、生活指導など多方面のアプローチで治療にあたる。著書は『女医が教える閉経の教科書』(秀和システム新社)など。
Topic 1:HRT(ホルモン補充療法)は、老年期障害の予防にも有効
更年期治療の第一選択がHRTだが、読者の中では実施者は少数。これは正しく知られていないことも一因かもしれない。
「HRTは減少したエストロゲンを補充する方法。子宮摘出後のかたを除き、子宮体がんのリスクを防ぐため、黄体ホルモンも服用が必要です。飲み薬、貼(は)り薬、塗り薬の3種類があり、さまざまな更年期症状の改善に効果があります。また、新たに登場した天然型の黄体ホルモンは、眠りの質の向上にも効果が。つらい症状があるなら我慢せず、検討してみましょう」(善方先生、以下同)
さらにHRTは、将来の病気予防のために行うという選択肢も。
「エストロゲンを補うことで骨や血管の老化を予防できます。骨粗しょう症など閉経後に増える病気の予防につながるので、更年期症状がなくてもヘルスケア目的でHRTを行うかたもいます」
また、読者からは、閉経後からでも始められるのか、何歳まで続ければいいのかといった疑問の声が多い。
「HRTは閉経後10年以内、60歳未満で始めるように推奨されています。それ以降は血栓症のリスクが高まるので、閉経後早めに始めるのがベター。
何歳まで続けるかに関しては、ガイドラインには明確な期限は示されていません。更年期症状が治まったらやめてもかまいませんし、調子がよければそのまま続けても大丈夫です。実際に70代でも続けているかたもいます。最近は、医師と患者さんが一緒に治療方針を考えていく“Shared Decision Making(シェアードディシジョンメイキング)”という考え方が主流になっています。主治医とよく相談しながら、決めていきましょう」
読者アンケート結果より
※チームJマダム®、エクラメルマガ会員による、41歳以上の読者194人のアンケート回答より
現在、HRT(ホルモン補充療法)をしていますか?
現在HRTの効果を実感していますか?
グラフを見ると、HRTを閉経前から続けている人も、閉経後に始めた人もごくわずかで、HRTをしたことがない人が圧倒的多数。一方で、実際にHRTを行った人に効果実感を聞いてみると「はい」が「いいえ」を上回り、特に「ホットフラッシュが治まった」と答えた人が多かった。
Topic 2:更年期3大漢方以外にも、メンタルケアに役立つこんな漢方が
更年期症状には漢方薬も効果を発揮する。
「冷えやむくみには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、イライラや不安には加味逍遙散(かみしょうようさん)、のぼせやほてりには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がよく用いられ、これらは更年期の3大漢方と呼ばれます。
ただ、更年期症状に有効な漢方薬はこの3つだけではありません。実際には多くの種類があり、選ぶ種類を替えることで症状が改善することも。特に心の不調に用いられる漢方薬は多数。症状を医師に詳しく伝え、自分に合うものを処方してもらいましょう」。
症状別 更年期によく用いられる漢方薬
Topic 3:腟の乾燥、性交痛にはエストロゲンの腟剤も選択肢のひとつ
膣の乾燥や性交痛などのGSMには腟剤が有効。
「閉経後は腟が萎縮し、乾燥や灼熱感、性交痛が生じやすく、この場合、腟に挿入するエストロゲンの薬が効果的。エストロゲンの中でも弱いタイプのエストリオールという成分で、子宮体がんのリスクがほとんどないため黄体ホルモンの併用も不要。症状がつらいときだけ使えば十分です。ただ、尿失禁や腟のゆるみにはあまり効果はなく、それらには腟内レーザー照射という選択肢もあります。いずれも婦人科で相談を」。
Topic 4:GSM対策にも効果的!? 腟内フローラに注目を
腸内フローラは知られているが、腟内にも細菌の集まり=腟内フローラがある。
「更年期以降は女性ホルモンの減少に伴い、腟内の善玉菌である乳酸桿(かん)菌(ラクトバチルス)が減少してバランスが乱れ、乾燥や臭いなどのトラブルの一因に。サプリメントをうまく活用して腟内フローラを整えるのもおすすめ」。
編集部のおすすめ
女性のためのデリケートケア・サプリメント「フェミフローラ」
腟内の調子を整えるラクトバチルス属の「GR-1」「RC-14」を含む「乳酸菌UREX®」を配合。フェミニンゾーンのトラブルをケアする。機能性表示食品。
60粒入り(30日分)¥5,400/わかもと製薬
Topic 5:進化しています! 骨粗しょう症予防の注射薬
近年、骨粗しょう症の治療が進化。
「これまでは骨が壊れるのを抑える骨吸収抑制薬が中心でしたが、最近は骨をつくる働きを高める注射薬(骨形成促進薬)も登場。骨折リスクの高い人には積極的に用いられ、短期間で骨密度を高めることが期待できます。更年期以降は骨密度検査を受け、必要に応じて早めに治療を始めて骨粗しょう症予防を」。
Topic 6:ついに認可目前!? 非ホルモン製剤の新薬が登場!
更年期のホットフラッシュの治療薬として、今後1〜2年ほどで非ホルモン製剤が認可される見込みだという。
「脳の体温調節にかかわる仕組みに働きかける『フェゾリネタント』という薬で、ホットフラッシュや寝汗などの血管運動神経症状に有効。ホルモン製剤を避けたい人の新たな選択肢として期待されています」。
取材・原文/和田美穂 イラスト/正田えり子(asterisk-agency) ※エクラ2026年10月号掲載