【今から知っておきたい!実家じまいのこと】都心と地方、それぞれの不動産売買で知っておきたいこと

親だけが暮らしている実家を、元気なうちに対処しておかないと、いずれ“負動産”になってしまうかも!? 弁護士・税理士(通知)の長谷川裕雅さんと「シニアの暮らし 研究所」所長の岡本弘子さんに都心と地方の売り方を聞いてみた。

親も子供も元気なうちにとりかかるのが理想

将来子供が利用する予定がないのなら、親が今住んでいても、すでに空き家になっていても、その家はいずれ処分することになる。つまり、実家じまいは既定路線ということ。とはいえ、いつごろから考えはじめ、どんな流れで、どう動けばいいかなど疑問が満載。

長谷川さんによると、親のどちらかが亡くなったのを機に実家じまいをするケースが多いとか。主な理由は、「ひとりだと家が広すぎる」「高齢の親のひとり暮らしは親子ともに心配」「相続を意識する」といったところ。

「親が施設に入ったのを機にという考えもあると思いますが、そのタイミングで実家を処分すると、親によっては『もう家に戻れないんだ』と悲観し、一気に衰える場合もあります。なので本来は、親が元気なうちに行うのが望ましいですね。また、家じまいは、手続きから不要品の処分まで、かなりの気力と体力が必要。実動部隊となる子供が元気なうちにとりかかるのがおすすめです」(長谷川さん)

岡本さんは、「親が70代になったら準備を始めたほうがいい」とアドバイス。

「その年代になると、親が子供を頼りにする傾向が強くなってきます。特に情報収集は子供世代のほうが得意。実家の処分方法や住み替え先など、子供が情報を集め、親と一緒に考えていただきたいですね」(岡本さん)

家の立地や状態によるので プロに査定を依頼して

Q.都心なら高く売れる?

A.家の立地や状態によるのでプロに査定を依頼して
空き家が増えている今、首都圏でも駅から距離があり、スーパーや医療機関が近くにないなど生活利便性が悪いエリアの不動産の売却はむずかしいよう。一方で、都心は中古物件でも高値で売買されるなど、不動産バブルもささやかれている。ということは、実家が都心にあれば、高額で売れる⁉

「不動産価格は、物件の築年数や状態、立地によって決まります。都心でも、騒音がひどかったり、線路や墓地に隣接といった場所では、相場より低くなりがち。戸建ては、土地の形状や向き、道路との接地状況などで価格が大幅に変わりますし、オーナーの個性が強すぎる注文住宅も敬遠されます」(長谷川さん)「購入時の金額や近所の相場から憶測せず、必ずプロに査定してもらって」(岡本さん)

Q.地方の古い空き家なので売れるか心配

A.海見えなど魅力的な物件なら需要はあります
「リモートワークの普及で地方の戸建てに移り住む子育て世代が増えていますし、都心と田舎という二拠点生活も注目されています。海が見える、温泉が近いなど魅力的なエリアなら一定の需要はあるでしょうから、不動産会社に相談しては? 空き家バンク(自治体が運営する空き家所有者と居住希望者のマッチングシステム)もありますが、苦戦しているのが現状。それは最後の手段とし、まずは家の中を整え、庭の手入れをするなどして市場での売却を目ざしましょう」(長谷川さん)

今年4月27日から、一定の要件を満たせば相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属法」が施行される。対象になるのは土地なので、空き家を解体して更地にし、10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付する必要などはあるものの、こうした制度の利用を検討するのも一案だ。

弁護士・税理士(通知) 長谷川裕雅さん

弁護士・税理士(通知) 長谷川裕雅さん

はせがわ ひろまさ●「永田町法律税務事務所」代表。新聞記者を経て現職に転身。ベストセラーになった『磯野家の相続』シリーズをはじめ、『老後をリッチにする家じまい』等著書多数。講演会やメディアでも活躍。
「シニアの暮らし 研究所」所長  岡本弘子さん

「シニアの暮らし 研究所」所長 岡本弘子さん

おかもと ひろこ●有料老人ホーム等の紹介センターで1万件以上の入居相談に対応し、’09年、「シニアの暮らし研究所」創設。有料老人ホーム・高齢者住宅選びの専門家として、メディアや講演など幅広く活動。

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